港湾区域及び空港区域には、蚊族が船舶・航空機を介して侵入し、定着する可能性があることから、検疫所においては検疫法第27条の規程に基づき、蚊族の生息状況や病原体の保有状況を定期的に調査し、衛生状況の把握に努めている。
今回の成田空港検疫所において平成13年に実施した調査結果についてとりまとめたので、その結果を報告する。
成虫の調査は、捕虫網、ライトトラップを用いて実施し、幼虫の調査はオビトラップ及び柄杓を用いて実施した。
空港区域において蚊の成虫生息調査を実施した結果、5属8種19,612頭を採取した。その内訳は、シナハマダラカ161頭、コガタイエカ1,061頭、アカイエカ(チカイエカ含む)17,530頭、ヒトスジシマカ152頭、キンイロヤブカ360頭、ヤマトヤブカ31頭、オオクロヤブカ33頭、キンパラナガハシカ34頭及びその他トラフカクイカ、クシヒゲカ等250頭であった。また、航空機内においてシナハマダラカ1頭を捕獲した。幼虫については、調査地点39ヶ所中16ヶ所についてアカイエカ、コガタイエカ、ヒトスシジマカ、シナハナダラカ等の生息が認められた。
捕獲した蚊の成虫のうち、感染症に関与するものについて各種の病原体保有状況の検査を実施した。シナハマダラカについてはマラリア原虫抗原検査、ヒトスジシマカ、イエカ属については黄熱、デング熱、日本脳炎、ウエストナイルウイルスの検出を目的としてフラビウイルスの遺伝子学的検査を実施した結果、いずれも陰性であった。
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