住宅総合研究財団研究年報
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18 巻
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  • 藤本 佳子, 井上 徹
    1992 年 18 巻 p. 393-403
    発行日: 1992年
    公開日: 2018/05/01
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     この研究は,維持管理費に対する居住者の意識は,主としてどのような要因が関係しているかを居住者への意識調査によりその構造を明らかにすることを目的としている。調査対象の住宅は,関西の民間分譲共同住宅15カ所で,昭和43年から昭和55年に竣工した家族向きのタイプである。調査は居住者にⒶ対象家庭の概要,Ⓑ居住者の意識等の留置自記法でアンケート調査を行ない,また各住宅の管理人と管理組合理事長にⒶ管理形態,Ⓑ管理で困っていること等の聞き取り調査を行なった。調査の時期は,昭和59年から昭和61年で,対象住戸数は3154件,うち回収数は1088件で回収率は平均40%である。居住者の意識調査の結果をまとめると次のとおり。①住宅の選定理由は,場所・価格・間取り・管理の順で多く,場所を重視するのは賃借人に多く,価格を重視するのは区分所有者に多い。②永住意識は,新築入居の人の方が途中入居の人より高い。区分所有者は永住意識が高い。住宅に満足している人や家族人数は少なくて,世帯主年齢の高い人ほど,永住意識は高い。③住宅への満足度は,高い順に区分所有者・賃借人・社宅居住者である。永住意識があり,高年齢層になるはど満足度が高くなっている。④住まいの管理については,高年齢層ほど,また子供のいない家廷ほど,よくしているという意識がある。また専業主婦の方が管理をよくしていると思っている。⑤管理費をちようどよいと思っているのは,区分所有者に多くて,居住年数が長く,永住意識のある高年齢層の人に多い。⑥修繕積立金をちょうどよいと思っているのは,区分所有者に多く,居住年数が長く,住宅に満足している人に多い。管理費と同じように意識されている。⑦管理費・積立金に対する高い,安いという居住者の意識は,実際の徴収額と必ずしも関係がない。
  • 田中 淡, 周 達生, 宮本 長二郎, 上野 邦一, 浅川 滋男, 島田 敏男, 羅 徳啓, 黄 才貴, 郭 湖生, 楊 昌鳴
    1992 年 18 巻 p. 405-420
    発行日: 1992年
    公開日: 2018/05/01
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     88年度に行なった貴州省黔東南苗族トン族自治州での広域的な調査をふまえ,90年度には対象村落を1か所に限定して,トン族の集落に関する集中的調査を行なった。(天安門事件の影響で調査・研究のプログラムが丸1年延期された)。調査地は,第2次調査で最も斬新な知見をもたらした巨洞と同じ都柳江沿岸に位置する蘇洞上寨(住居散35・世帯数44・人口218)である。蘇洞は,従江県下江区の中心地である下江鎮に近接するため,巨洞などの僻地集落に比べるといくぶん漢化の様相が著しい。しかし,漢化もまた,トン族の文化を理解するうえでの重要なキーワードである。調査は建築班2班と民族学班1班に分かれ,建築班は集落内の主要家屋全戸の平面・断面の実測,民族学班は全世帯の家族構成・血縁および婚姻関係の把握を最低のノルマとし,余裕ができた段階で,村大工からの聞き取り,部材呼称の音声表記,通過儀礼・祭祀・禁忌に関する聞き取り,スケッチ・マップ調査などを相互協力のもとに進めた。本稿では,とくに龍脈に統制された集落の空間構造と,住居の平面・構造に映し出された漢化の様相に焦点をしぼって,蘇洞の住空間を素描してみた。
  • 大岡 敏昭, 門田 猛則, 酒井 要
    1992 年 18 巻 p. 85-100
    発行日: 1992年
    公開日: 2018/05/01
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     本論文は次の3点を目的としている。第1は,農家住宅における中廊下型への変化の実態を地域別,年代別に明らかにすること。そして,そのような中廊下型への変化の中においても,座敷構成はその地域独自の伝統的構成を現代まで根強く継承している実態を明らかにすること。第2は,中廊下型成立の要因とその歴史的意味を明らかにし,併せて,地域独自の座敷構成継承の意味を考察すること。第3は,以上の課題分析を基に,住宅発展における新しい型の生成プロセスと住生活および住空間の発展の法則性を見出すことにある。そこで,上の目的を明らかにするために,座敷構成の違いから分類した住宅型の異なる4つの地域(山形,福井,大分,宮崎)の21市町村の家屋台帳に記載されている住宅平面(9605戸)を収集し分析した。さらに,併列型住宅が集中的に分布する宮崎県山間部の五ケ瀬町坂狩上集落を対象にして悉皆調査(住宅平面と住生活の変化等)を行なった。その要点は次の通りである。①中廊下型への変化は全国4つの地域とも昭和40年を境に急激に展開している。そして,その地域独自の住宅型(座敷構成)をかなり根強く継承している地域が多い。②中廊下型成立は,それまでの住宅発展の1段階であり,内容は家族生活と接客祭礼の分離法則にある。これは1室型住宅から現代の中廊下型までの発展の基本的論理である。③その地域独自の座敷構成の継承は,新しい「家」の論理に基づいた空間的現象ではないか即ち,現代の農村には近代的な「家族」の論理を強く内包しつつも,一方で,精神的基層としての祖先信仰を前提にした「家」存続の論理が生き続けており,中廊下型はそれに規定された空間的現象と考えられる。
  • 谷村 秀彦, 吉田 あこ, 林 玉子
    1992 年 18 巻 p. 101-115
    発行日: 1992年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     住み慣れた環境で家族との関係を保ちつつ老いることは,高齢化社会における世界共通の課題である。そこで,本研究は儒教文化の伝統がなお強く残っている台湾の中南部において,在宅高齢者の居住様態と家族環境の実態を明らかにするために調査分析を行なった。すなわち,歴史的地域として彰化県鹿港鎮,農村地域として雲林県古抗郷,新興都市地域として台南県永康郷,客家人居住地として高雄県美濃鎮の4地域を選び,それぞれの地域で老人会を通して全般的なアンケート調査(調査I)および訪問聞き取りによる事例調査(調査II)を実施した。台湾の高齢者も住み慣れた居住環境で家族とともに老後生活を過ごしたい意向を強く持っていること,医療面や経済面における社会的支援を要望していることが,調査Iによって明らかにされた。 調査IIにおいては,住宅の物的な条件と高齢者の家族条件という2つの軸で調査分析を行なった。物的な条件の中では,伝統型の住宅においては,浴室・便所などの設備が戸外に設置されることが多いこと,段差が多く物的な障壁の度合いが高いことなどが大きな問題であり,また近代型の住宅においては階段の昇降が困難なことが主な問題として指摘された。また一部の合院住宅においては,家族構成の変化にともない老人室が頻繁に移動していく事例が観察された。家族条件としては,伝統型住宅が前提としている多世代同居の理想崩れつつあること,「養児防老」の考え方は強く残っているものの高齢者の家族への依存パターンは多様化し,同時に家族のサポート機能は弱体化しつつあることが示された。急速に近代化が進みつつある状況の中で,台湾においても高齢者の在宅居住を可能にするためには,家族の支えきれなくなったサポート機能を「家族」から「社会」ヘと外部化し補完する必要が生じている。伝統的な敬老の社会通念をどのように生かして,そのような補完システムを構築すればよいかさらに検討しなければならない。
  • 近江 栄, 大川 三雄, 向後 慶太
    1992 年 18 巻 p. 117-128
    発行日: 1992年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     本論では,幕末から明治・大正・昭和戦前期に活躍した3人の人物をとりあげている。これらの人物は,西洋化の波が押し寄せる中で,日本の伝統的建築を継承する立場を守りぬいた人びとである。第1章で取り上げた柏木貨一郎は幕府小普請方の家系を継いだ人物であるが,明治になってからは美術行政の分野で活躍し,日本における博物館創設の一翼を担った。また,政財界の人びとの和風都宅を数多く手掛けて工匠でもあったが,自ら鑿や鉋をもって作事にあたるのではなく,大工職人を指示する立場にあり,いわば建築家(アーキテクト)的な役割を担っていた。また,古美術や茶道具等に関する優れた鑑識眼をもち,その収集と保護に努めた近代数寄者のひとりでもある。ここでは,拍木の経歴を明らかにするとともに,工匠としての役割や性格について考察を行なっている。第2章では今井平七という大工棟梁を取り上げている。今井は関西を中心に活躍していた人物で,明治宮殿の造営や,明治期において最大規模を誇った(有)日本土木会社にも関与していた。また,関西を代表する新興財閥である藤田財閥の当主・藤田傳三郎に認められ,藤田家のさまざまな作事を担当,特に大阪網島にあった藤田家の邸宅群の建設の中心に携わった人物である。本論では,今井の残した図面資料等を整理することで,その足跡を辿っている。また,財閥系の大邸宅の一例として,戦災で焼実してしまった大阪網島の藤田邸の概要についても考察した。第3章で取り上げた北尾春道は数寄屋建築の研究者であり,その啓蒙に努めた人物である。北尾は,昭和初期の和風再考の気運の高まる時期に,多くの数寄屋建築の実例を調査し,著作としてまとめている。ここでは,北尾の経歴を明らかにし,著作を通じて数寄屋建築の研究史上における評価を試みている。
  • 人の居方から住居の公的空間を考察する
    高橋 鷹志, 西出 和彦, 鈴木 毅, 横山 勝樹, 渡辺 秀俊, 大沼 徹, 古賀 紀江, 橘 弘志, 王 青, 古谷 透
    1992 年 18 巻 p. 129-138
    発行日: 1992年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究は居間・食堂などに代表される住居の公的空間における人びとの居方を把握し,現代日本の住宅の公的空間の意味を再考することを目的とした。建築学科等に在籍する学生と家族を対象として,種々の生活シーン(ある時間に家族がどのような場所に,どのような姿勢で何をしているか)の1/50平面図を学生本人に描かせたものをデータとし,その図の読みとりから生活の場面(これを本研究では行動場面と呼ぶ)を分析し,住居研究における新たな側面に光を当てることを意図したものである。 我が国の住宅は面積・部屋数・設備など,量的・性能的にはある水準が満たされつつあるものの,公的空間が本来備えるべき,多様な生活と人びとの関係を許容する(アフォードする)場としての働き,つまり都市生活の単位としての役割の成熟度については未だ多くの課題を残しているという認識が本研究の動機となっている。133人の学生に描かせた自分の家の平面図(1/100)とその居間等の公的空間における5種類の行動場面の図(1/50)655枚を対象に分析を行なった。分析は大きく3つの視点から行なった。第1の「姿勢」に関しては集まった人びとが同一姿勢をとる椅子座の場面以外に,床座・椅子座・臥位などが混在する状況とその必然性とが示された。第2の「人びとの居方と関係」については,中心を持った集まりの場としての拠点を手がかりに,各拠点分節型のしつらいの問題点とゆるやかな関係のとれる非分離型の必要性を指摘した。第3の「集合の形態とスケール」では集合のスケールから異なる意味をもつ直径1.5mおよび3mの2つの齢(円弧)を読み取れることを示した。 最後に上記の結果を中国の住まいの行動場面の実態調査との比較対照から,公的空間の居方と空間概念の違いを得て,現在の多様とはいえ規範を欠いた我が国の公室空間における行動場面再考への手がかりを示した。
  • 菊地 成朋, 鈴木 成文, 伊藤 裕久, 黒野 弘靖, 小川 曉子, 武田 裕子
    1992 年 18 巻 p. 139-150
    発行日: 1992年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究は,日本の典型的な「散居」とされる砺波平野の村落を,個と集合の仕組みとして分析し,その構成原理を明らかにしようとするものである。砺波平野の散居村については,歴史地理学等において多くの先行研究がある。しかし,その特徴的な村落形態については,地形的・気候的要因や藩政上の要因などで説明するものが多い。本研究は,散居村をそのような因果関係ではなくシステムとして説明することを意図している。「散居」と総称される栃波平野の村落のなかにも,実際には散居とは異なる集落形態が存在している。そこでまず,平野内の村落を形態によって,境界不明確な散村・境界明確な散村・塊状村・列状村・街路材の5タイプに分類した。そして,それぞれの分布域を把握し,立地特性と開発時期との対応を考察した。つぎに,境界不明確な散村・境界明確な散村・列状村の典型例として「天正」「久保」「東開発(ひがしかいほつ)」を選び,領域構成を分析した。その結果,ともに散居である「天正」と「久保」も,領域構成ではまったく異なる状況を示すことがわかった。また,「東開発」では,散居にはない独特の領域構成がみられた。このような差異は,各村の成立経緯の違いに起因すると考えられる。散居村「天正」と列状村「東開発」を対象に,集落空間構成の分析を行なった。それによって,屋敷き内の建物や堀池や樹木から,屋敷構え,屋敷の位置,道,水路,耕地,村落全体構成に至るまで,異なるレベルの構成要素が密接な関係で結びついていることがわかった。さらに両集落ともに,水の流れによる方向性が,住宅から屋敷,集落構成に至るまでの強い規定要因となっている。 また,これらの分析結果を耕地整理前後で比較し,旧来の居住システムが,耕地整理後の村落空間では大きく変容していることを指摘した。
  • 齋木 崇人, Gaudenz Domenig, Vito Bertin, 渋谷 鎮明, 守 隆
    1992 年 18 巻 p. 151-160
    発行日: 1992年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究は中央ヨーロッパの,多様な立地条件や文化・気候条件を持つスイス連邦の「集落」を対象とし,その「集落空間」の「秩序形成原理」とその「技術」をあきらかにすることを目的とするものである。昨年度は,スイス連邦全域を対象としたフィールド調査の結果を,記述・比較・分類・論理化する手順を経て,地形的立地条件に着目した12の仮説類型を示し,あわせて,1)地形区分と農業的土地利用,2)気候と災害,3)宗教と言語,4)植生区分と建築架構の特性を考察した。本年度は初めにこれらの仮説分類を再考察し,10分類に修正し,詳細調査を行なう興型事例として,①丘陸地から山頂の屋根に立地するHemberg,②山腹の緩斜面に立地するGuarba,③扇状地の上端と下端に立地するChamson,St.Piell,④谷底の上流未端部の平坦地に立地するOberwald,Reaip,⑤山あいの支流と河川の合流点に立地するSt.Ursanne,⑥山腹から山裾にある屋根型緩斜面に立地するCorippo,⑦丘陵地の山裾に立地するBenken,⑧平坦地の中の小高い丘にあるAbanches,⑨大きな川(ライン)沿いのDiessenhofen,⑩湖岸沿いの平坦地にあるMlurtenをそれぞれ取り上げた。詳細調査では,これまでの地上調査に加えて空撮及び対象集落の所属するGemeindeの歴史的な調査資料,文献,土地利用計画等の諸制度資料の収集,さらにはインフォーマントからのヒアリング調査を実施した。それらの典型事例の諸特性と集落空間の構成要素の諸関係を比較分析することにより,以下の秩序形成技術を明らかにした。1.微地形を活かした秩序形成,2.水系を取り込む秩序形成,3.日照,徴気候に対応した秩序形成,4.災害から身を守る秩序形成,5.生業を営むための秩序形成,6.宗教観による秩序形成,7.土地割に伴う秩序形成。以上の成果をふまえて,先に示した東アジア地域の秩序形成技術を比較し,地域定住のあリ方,居住環境のあり方を考究した。
  • 大都市郊外住宅地を中心に
    高見沢 実, 和多 治, 小泉 秀樹, 清田 伯人, 町田 弘一, 杉浦 達彦
    1992 年 18 巻 p. 161-170
    発行日: 1992年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     近代都市計画制緩和の圧力が強まっている。また,東京大都市圏を中心に地価が暴騰し,この結果として,特に一戸建住宅地に対する支払い能力との関係で,規制の厳しい第1種住居専用地域において規制緩和圧力が強まっている。こうした圧力に対して単に緩和を行なうだけでは,基準値が本来目的としていた空間の形成が妨げられるばかりか,今まで確保されてきた住環境をも悪化させることになりかねない。そこで本研究は,指定された用途地域の制限,中でも容積率・建蔽率が相対的に厳しくなりつつある大都市郊外住宅地に焦点を絞り,そうした地域に発生する各種の需要,とりわけ居住水準の向上と住環境の保全を実現しながら,今後の「変容」をより望ましい方向に導く方法を,実証的スタディーの積み重ねの中から提案することを目的としている。まず第1章では,郊外住宅地の研究動向を踏まえて本研究の位置づけを行なっている。特にここでは,用途地域の指定効果に関する研究がこれまで少なかったこと,したがって規制緩和の効果に関する研究がほとんどなされておらずしたがって本研究の意義が大きいことを示している。次の第2章では,第一種住居専用地域をめぐる動向として,第一種住居専用地域の制度的側面と第一種住居専用地域指定のマクロな実態に関する側面とに分けて考察している。さらに,こうした地域の規制緩和が,東京大都市圏郊外住宅地に顕著であることを明らかにしている。続く第3章は横浜市の,第4章は川崎市のケーススタディーである。前者は容積率の緩和を後者は建蔽率と容積率の緩和を行なったが,それらがどのような結果をもたらしたかについて実態調査とアンケート調査を通して実証的に明らかにしている。第5章は,第1章から第4章を踏まえて,新しい用途地域見直し方法の具体的提案を行なっている。
  • 梶浦 恒男, 平田 陽子, 斉藤 広子
    1992 年 18 巻 p. 171-185
    発行日: 1992年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究は(1)(2)を通じて,分譲共同住宅(マンション)管理への賃借人の参加方法を考察することを目的としている。今年度は,まず第1に前年度に引き続き,賃貸共同住宅における賃借人の管理参加が規定される理由を明らかにするため,民間賃貸共同住宅における賃借入と家主の管理分担を明らかにした。賃貸共同住宅では,管理行為の性格,建物の条件(住戸数,共用施設の量と質),所有者の条件(居住地,経営規模,経営方針),居住者の条件(家族形態,居住年数,昼間不在状況,居住者組識の状態)によって家主と賃借入の管理分担がきまっている。第2には,分譲共同住宅における賃借人の管理参加の制度と実際の参加状況を把握し,賃借人の管理参加の形態とその規定要因を明らかにした。賃借人の管理参加形態は幅がみられ,賃借人の管理組合運営全てへの参加を認めている「賃借人全面受入型」から,賃借人の管理組合運営への参加を一切認めていない「所有者限定型」がある。これらは供給主体が当初設定した原始規約における賃借人の取り扱い方,建物概要(マンションタイプ,立地点,供給主体),賃貸化の状態(賃貸率,賃貸化の理由),管理形態によってとられている形態が異なっている。第3には,分譲共同住宅における不在所有者,居住所有者,賃借人,三者の賃借人の管理参加についての意向を明らかにした。三者の意向として,全体的に賃借人もなんらかのかたちで管理に参加した方がよく,時に日常的な生活とのかかわりの深いものには参加した方が良いという考えが共通してみられた。また,三者の意向は現在,その住宅がとっている賃借人の管理参加形態,不在所有者の性格(賃貸にしている理由等),賃借人の性格(家主との関係,家族形態,居住年数等)によって異なる。以上より,分譲共同住宅の賃借人の管理参加は,各住宅の条件により幅広い形態が可能となり,そのための条件を明らかにしている。
  • 宮ケ原 光正, 東川 始比古, 北川 雅章, 浜田 哲司
    1992 年 18 巻 p. 187-198
    発行日: 1992年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     都市における居住用借家の立退料が顕在化した一般的背景として,劣悪な借家事情,貸家の供給不足,家賃の上昇,地域の借家慣行,借家人の住み替え等がある。実際の立退きの理由は,貸家の建替えに伴って起こることが一番多く,その他借家の状態での売却,再開発,自己使用等がある。その際に何らかの移転補償を行なうのが通常であり,立退料支払の具体的ケースとしては,公共事業における立退補償,公営住宅建替事業の移転料,住宅・都市整備公団の建替事業の移転費用等,民事調停事件における立退料,裁判における立退料がある。しかし民間における立退料支払については明確な基準が確立しているわけではなく,相当額の場合もあれば,引越料程度で済む場合もある。立退料の最終的な決定は,鑑定評価か補償に依存しているものといえる。鑑定評価先例によれぱ,割合法を中心に決定され,基礎価格に対する立退料の割合は平均25%で,立退料の算出も地価の影響を受けている。土地収用法は借家人補償によるが,市街地再開発事業では借家権補償が中心となり,土地および建物に対する権利割合が重要となる。実際に支払われた立退料として194事例を収集し,1㎡当たり土地価格及び建物1㎡当たり月額支払賃料と建物1㎡当たり立退料との間で相関分析を行ない,次いで数量化I類を適用し,説明変数(アイテム)として借家の種別,借家期間,対象階層,立退時期,1㎡当たりの土地価格を用いて,建物1㎡当たり立退料を推定するモデルを作成した。その結果,立退料の決定要因としては,土地価格が大きなウエイトを占めた。判例における立退料と正当事由との関係及び立退料の算出方法を分析した結果,建物の老朽化が認定された場合はすべて正当事由が認められ,また老朽化の著しいものは正当事由の補完要素として低額の立退料の支払が命じられる傾向にある。しかし,土地の有効利用を図るために借家を取壊し,明渡しを求めることに対しては,原則として正当事由が否定され,相当高額の立退料の支払が命ぜられている。
  • 奥田 道大, 林 泰義, 内田 雄造, 稲葉 佳子, 塩路 安紀子, 田嶋 淳子, 和田 清美, 松井 晴子, 田辺 明子, 小菅 寿美子, ...
    1992 年 18 巻 p. 199-207
    発行日: 1992年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究は,東京における外国人居住者,中でも近年著しく急増しているNew Comersと呼ばれている外国人を対象に,彼らの日常生活住宅と住まい方,居住環境,地域コミュニティとの関係などの実態をつかみ,主として彼らの住まいと住環境に関する現状と問題点を明らかにするために,建築・都市計画グループと社会学グループの共同研究というかたちで進められた。 建築・都市計画グループは,統計的データを基に,彼らの居住地の変遷・拡大の状況をマクロに把握するとともに,彼らの出現が,地域の居住環境をどのように変えていっているのかを,フィールドサーベイにより明らかにした。また,社会学グループは,外国人居住者に直接アンケート調査を実施することにより,彼らの住意識が東京での生活の中で,どのように変容しているかを調査した。すなわち,「まち・環境」と「人」という2つの側面からアプローチし,住環境の変化と彼らの居住実態・住意識に追ろうとした点に,本研究の特徴がある。①外国人居住地動向調査…東京圏の市町村別の外国人登録者数により,外国人居住地が拡大・伸延していく過程を,地図上で示した。②外国人集住地区における地区調査…外国人登録者数が最も多い新宿区・豊島区で調査地区を設定し,外国人の集住によるまちの環境の変遷と集合住宅での居住実態を把握するため,フィールド調査を行なった。③外国人居住者調査…外国人居住者の住まいの実態,転居状況,住まいに対する意識等を把握するため,②で設定した調査地区を中心にアンケート調査を行なった。今年度調査の結果,外国人の居住地の急速な拡大状況や,まちの環境が,外国人居住者の存在によって着実に変化し,その中で,日本人と外国人が共に生活していく方策を模索している現状が見えてきた。一時滞在者といわれるNew Comersの人達にも,住まいに対する向上意識が見られるなど,今後,東京における居住問題を考えていく上で,新たな示唆を含んだ成果となっている。
  • 植木 哲, 山本 隆司, 坂東 俊矢, 今西 康人, 村本 武志, 浅岡 美恵, 石井 修二, 山川 和雄, 木村 俊郎
    1992 年 18 巻 p. 209-216
    発行日: 1992年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究の目的は,欠陥住宅に関わる様々な法律問題を総合的に研究しようとするものである。第1は,住宅の質の問題に関する法解釈学的・法政策的課題を明らかにすること,第2は,第1で明らかにされた課題に対し住宅の流通に関連し問題となる様々な問題点を,主として住宅全融との関わりにおいて比較法的・法解釈学的観点から明らかにすることを目的としている。本研究は,第1に,住宅及び造成地の品質や欠陥に関する実態調査を行なう。これにより主題につき消費者の関心がどこにあるかを知る。本調査により国民の欠陥住宅に関する被害や不満の実状を知り,これに伴う法的課題を析出する。これとの関連において住宅や造成地の欠陥に伴う法的問題点を法解釈学的・比較法的・法政策的観点から検討し,その解決策を評論する。伝統的には,通常の商品取引とは異なった不動産取引における特殊性への法約対策が必要となる。次に,住宅の品質欠陥にまつわる問題点を取り上げ,住宅の瑕疵担保責任,製造物責任,品質鑑定,不当広告と競争制限等に関わる法的問題点と,その紛争防止対策等が重要となる。本調査との関連においては,住宅の欠陥と製造物責任との関係が中心となる。第2に,欠陥住宅(造成地を含む)が販売される場合の問題点,特に融資販売の問題点を詳しく検討する。具体的には住宅ローンの問題であるが,ここでは欠陥住宅の販売に伴う融資責任の帰趨が重要となる。研究方法としてはここでも第1の場合と同じく,実態調査に基づく問題点の指摘と法解釈学的・比較法的・法政策的観点からの解決策を示すことにある。特にこの問題の解決についてはアメリカにおいて大いに発展を見ている法分野であり,アメリカにおける多くの判例を分析するとともに,消費者信用と住宅全融の結合を推進しているドイツの判例を勘案しながら,わが国の問題点を検討する一助としたい。以上の課題を明らかにした後,各々の問題点を分析し,主題に関する法約解決策を示すとともに,わが国におけるあるべき方向について提言を行いたい。
  • 関西大都市の比較研究
    巽 和夫, 森本 信明, 大森 敏江, 東樋口 護, 秋山 哲一, 髙田 光雄, 野口 美智子, 安 在洛, 毛谷村 英治
    1992 年 18 巻 p. 217-231
    発行日: 1992年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究は2カ年の継続研究である。本年度は第2年度として,前年度の研究課題を受け継ぎ発展させており,次の5つの課題から構成されている。 第1は,東京都心区と京・阪・神3都心における居住世帯の特徴を比較検討している。主に1988年住宅統計調査の結果を用いて,都心の流動層と定住層の様態を明らかにするとともに,都心流動層について,1978年と1988年との2時点間比較を行なっている。第2は,子育て期世帯からみた都心居住の検討である。都心居住の可能性と問題点をより鮮明に捉えるため,一般に都心居住には最も不適合だと考えられている子育て期世帯を対象として,その生活実態と住意識に関する調査を実施してとりまとめている。第3は,都心居住者の近隣関係の分析である。京・阪・神の都心地域のなかで,非戦災・木造一戸建・長屋建であり,永年居住者が多く旧来のコミュニティが比較的に残存している地区を選び,近隣関係のありようの3都市間比較を行なっている。また,京都については,木造戸建住宅の旧居住者層と中高層集合住宅の新居住者層との近隣関係をも論じている。第4は,生活関連施設からみた都心居住を扱っている。3都市について,日常生活に関わりの深い6つの生活関連施設に着目して,個々の施設の立地特性とその変遷を通して,都心地域の居住環境について考察を行なっている。第5は,関西3都市が実施している都心居住政策の比較検討である。各都市は,それぞれの都心居住問題の認識に基づいて活性化のための施策を講じており,今日の自治体住宅政策の二ューウェーブをつくりだしている。それらの特質を把握するとともに,問題点を指摘し,将来への展望を述べている。
  • 上野 真城子, 海老塚 良吉
    1992 年 18 巻 p. 233-242
    発行日: 1992年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     日本においての住宅政策と政策研究への関心は,政治家はもとより,学者にも,一般にも希薄であった。しかし,近年の厳しい土地・住宅問題の結果,地方自治体を始めとして,一般にも政策に対する関心が高まってきており,その一端として諸外国の住宅政策,とくに西欧諸国の住宅政策への関心も深まっている。とはいえ,日本での関心は残念ながら未だ利用可能な制度手法を学ぶことに焦点が限られているといえるだろう。1990年代はアメリカの住宅政策にとっては画期的な意味を持つものと考えられる。この動きを最も顕著に示すものが,90年秋に制定されたクランストンーゴンザレツ・ナショナル・アフォ-ダブル・ハウジング・アクトである。この法は80年代のレーガン政権による連邦政府の都市・住宅政策,社会政策全般での役割や責任の後退に対して,国内の住宅問題の基本的需要に応えるため連邦政府の方向性の変換を合意するものといえるからである。本研究は,この新しい住宅法から,その中の州政府と地方自治体の住宅政策の基盤となるハウジング・ストラテジー(住宅戦略)を取リ上げる。住宅戦略は,州政府及び地方自治体が各々の住宅問題をどう解釈するかを問うものであり,州,地方自治体の住宅政策の計画,実施,修正などへの取り組み方を示唆するものである。この住宅戦略からは,日本の住宅政策へ適応可能な政策立案と実施にかかわる具体的な考え方,手法などが学び得る。しかし,さらにはこれを通して,日本に今後早急に展開が望まれる,より広範な住宅政策と政策研究へのひとつの分野を示したい。
  • 三村 浩史, 大西 国太郎, 室崎 益輝, 吉田 孝次郎, 宗田 好史, 山崎 正史, 山川 元志, 石本 幸良, 折田 泰宏, 東樋口 護 ...
    1992 年 18 巻 p. 243-255
    発行日: 1992年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     京都の都心地区を代表してきた町家とその界隈で形成される町並みは,現在の趨勢から予測すると十数年で大きな変容を遂げる(このことは,居住者・営業者へのアンケート調査によって実証される)。その後には不調和なビルが乱立しつつあるが,これらもまた初期のものから社会的更新期を迎えている。しかし京都の実状についていうと,洛外のいくつかの地区では伝統的建造物群保存地区の指定と保全事業が進展しているものの,現代に生きる大都市の商業業務センターである中心地区については放置され,空間の不動産投機に曝されているのが現状である。このような状況に対して,本研究グループは京都の「歴史的都心地区」の性格に着目し,何をいかに保存し継承すべきか,その具体策を提案しようとするものである。このような調査と提案作業は,基本的に都市行政体たる京都市の責務であるが,その機運が熟さない現時点では心ある研究者集団が先行的に調査し実現性に富む具体策を提案して世論の形成に資するべきだと考える。第1章では,都心地区の調査対象地区について,町家単体およびそれを取り巻く近隣スポット(数戸群または向こう三軒両隣り集団),通り(街区)の存在類型を明らかにしている。また,その家屋形態,規模,群集積,用途現況,老朽・改変度等についても調査して台帳づくりを試みている。第2章では,町家で実際に居住もしくは事業を営んでいる人びとを対象としたアンケート調査を実施し,彼らの町家継承に対する努力や意向を把握することに努めている。第3章では,町家の保存と継承についての基本的なコンセプトを描き出しつつ,1章と2章で行なったデータ分析に基づき,単体保存・スポット保存・通り(街区)保存といったスケールごとの町並み形成の提案を作成し,その可能性を考察している。
  • 石田 頼房, 相羽 康郎, 青木 健, 五十嵐 敬喜, 内田 勝一, 大本 圭野, 鈴木 浩, 竹内 陸男, 野口 和雄, 日置 雅晴, 福 ...
    1992 年 18 巻 p. 257-267
    発行日: 1992年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     1980年代後半に入って地価高騰などにより大都市を中心とした住宅問題は一層深刻化した。本研究は,このような事態に対してどのような住宅政策が取られるべきかという基本テーマのもと,特に自治体の住宅政策に着目し,その役割や効果を明らかにすることを目的としている。自治体は住民の基本的な生活の場であり,自治体こそが単なる住宅供給政策を超えて総合的な政策を展開しうると考えられるからである。2年にわたる研究のうち,第1年度は,東京圏全体の住宅問題を視野におさめつつ,基礎自治体-東京23区レベルの住宅政策の実態・現状を明らかにすることを目標においた。研究の前半では,自治体住宅政策登場の背景としての住宅事情の変化を東京圏および東京都について検討した。基本的な論点は,すでに多くのレポートによって指摘されていることとかわらない。すなわち,従来からの問題がそのまま残っていること,そこに新たな問題が積み重なっていること,戦後の住宅政策がもはや有効に働きえないこと,などが明らかになる。研究の後半は,東京23区の住宅政策に対する姿勢の変化及び住宅諸施策の把握である。各区で多彩な政策が展開されているが,それらをできるかぎり網羅し論点を整理するようにつとめた。それらを,1)地価高騰に対してとられた住宅施策,2)自治体住宅政策とその供給・供給促進・借り上げが,後者では,住宅条例などに見られる自治体の主体性確立と政策の総合化が主要なテーマとなっていることが明らかとなる。これらの検討を通して,a)各種住宅施策ルーツについての「公共性」の論理と効果,b)各行政レベルの政策形成における相互関係の実態とあり方,c)都市・住宅・建築政策の政策効果の具体的把握,などがあらたな研究上の課題として浮かびあがった。
  • 森山 正和, 小林 郁雄, 遠州 尋美, 大野 隆三, 塩崎 賢明, 芝池 英樹, 成田 健一, 宮崎 竹二, 石井 昭夫, 依田 浩敏
    1992 年 18 巻 p. 269-275
    発行日: 1992年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     都市に隣接した臨海部の開発が急速に進みつつある。20年ほど前の工業を中心とした開発とは異なり,現在では事務所,住宅などの居住空間が開発の主流となってきている。このような背景のもとに,環境工学と計画・設計の研究者による共同研究を行ない,今後の臨海住宅団地のあり方を提言するものである。 1.臨海地域の自然環境 本研究では,はじめに,臨海部特有の気候特性に関する研究資料のまとめを行なっているが,主には,臨海部特有の大気中塩分の空間分布を調査した。実測調査は1か月単位の塩分付着量をガーゼ法により測定し,神戸市六甲アイランドのコンテナバースの照明塔を利用して27mまでの高度分布,及び海岸から六甲山項までの約10㎞の水平分布を風向風速などの気象条件や地形条件との関係に基づいて1年間にわたるデータを解析した。 2.臨海住宅団地の計画 従来から指摘されてきた居住環境上の問題点をふまえて,臨海住宅団地の計画理念について検討した。また,アンケート調査結果による居住環境評価の事例,さらには,ミティゲーション手法による環境保全のあり方についてアメリカの事例をまとめている。 3.ポートアイランドのケーススタディ はじめに,神戸市のウォーターフロント地域全体の整備構想を提言し,その上で日本の代表的な海上都市である神戸市ポートアイランドの環境改善スタディを行なった。居住環境上の問題点をふまえて,ポートアイランド西岸コンテナ埠頭を対象に臨海住宅団地の具体的な提案を行なった。また,ケーススタディの一環として未利用エネルギーの活用による地域熱供給計画の提案,及び景観計画における評価システムの提案を行なっている。
  • 西山 康雄, 前川 克敏, 岩田 武久, 藤木 恭長
    1992 年 18 巻 p. 277-287
    発行日: 1992年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     この『「協同のハウジング」に関する比較研究』の目的は,まず「協同のハウジング」の概念を明確にすること,つぎに,「協同のハウジング」の実践的事例を分析し,協同の実態,協同の契機を明らかにすることにある。キーワーズは,「協同」と「ハウジング」である。まず,「協同」では,各国の住宅地計画を,歴史的に,また相互に比較しながらながめた時,ある社会・経済的条件の下では,「公」でも「私」でもない「協同」の力による建設が強くあらわれ,「公」と「私」を補完していることに注目した。貧しい時代のコ・パートナーシップ・ハウジング(協同出資型住宅),豊かな時代のコープ住宅などである。そして各国の住宅地計画を「協同」の系譜として捉えようと努めた。 また「ハウジング」概念は,第三世界の都市現実に学んだターナーの理論に依拠した。住宅地の計画・建設・管理のプロセスに,いかに住み手が主体的に関与しうるかが,いい住宅地の条件であるという捉え方である。取り上げた事例は,今世紀はじめのイギリスのブレンサム田園都市郊外,同じく今世紀はじめのフランスのドラビエル田園都市郊外である。ことに前者は,新たに資料を発掘することができ,細かに分析できた。そして,よりよい住まいをもとめる「住み手」と慈恵家,住み手の間の協同の努力,富をなしたものの協力,すさまじいばかりの「自助の努力」などを発掘することができた。「相互扶助,自助,土地の共同経営」である。こうした努力の背景には「繁栄の共有」という考え方があった。いかにして取り残された人びとに,その豊かさを分かち与えることができるか,という点である。効率を求め達成された豊かさを,公平,平等にいかに振り向け得るか。その問いかけは意味深い。
  • 佐藤 健二, 井腰 圭介, 内田 雄造, 大串 夏身, 大月 隆寛, 大本 圭野, 小川 徹太郎, 重信 幸彦, 竹中 英紀, 中川 清, ...
    1992 年 18 巻 p. 289-298
    発行日: 1992年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究の目的は,東京市社会局が行なった調査実践の全体像を明らかにすることにある。東京市社会局は,大正8(1919)年に東京市に設置された組織で,都市社会問題に関するさまざまな政策や調査を行なった。これらの調査は,近代日本における社会調査の歴史にとって重要であり,住宅問題をはじめ職業・生活の諸側面から都市下層の実態にせまるこれらの記録が,いかなる問題意識と方法論のもとで生み出されたのかという問いかけがもつ意味は大きい。しかしながら,これまで東京市社会局が行なってきた調査については,わずかに刊行された報告書のリスト作成などが試みられているにすぎない。しかし刊行にまでいたらなかった調査実践も多く,さらには単なるタイトルと刊記条項を記したにすぎない文献リスト形式の資料集成では,調査実践の特質にせまることはできない。それゆえ,まず本研究においては,共通の資料基盤をつくることを重要な第一歩と考え,別なアプローチを選択した。さまざまな図書館に,偶然残されている報告書からだけではなく,年報や季報・時報といった活動報告のなかの調査関連の記事を組織的に集成し,また同時代に東京市の社会局調査掛員によって編纂された調査リストと対照させながら,調査実践のすべてを洗い出した。それらによって,社会局が活動をした1920年から1938年までのあいだの調査実践として,最終的には343タイトルの調査が浮かびあがってきた。これらに関するさまざまな記載情報を整理し,編集して,基礎資料集成を作成した。またさらに,いくつかの索引を工夫し,今後の研究の基礎となるように試みたところに本研究の意義がある。
  • 小林 克弘, 佐々木 龍郎, 姜 鎬元, 中沢 健, 安藤 貴昭, 岡本 美樹
    1992 年 18 巻 p. 299-308
    発行日: 1992年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究は,18世紀以来,短期間の内にめざましい発展を遂げたオーストラリアおよびニュージーランドにおける住宅建築と住宅地計画を研究対象とする。周知のように,オセアニアの住宅および住宅地計画は,イギリスやアメリカといった国々からの影響を強く受けながらも,豊かな自然や広大な国土といった特有の風土,気候,またそこから生まれた新たな生活様式に対応する形で独自の発展を遂げた。しかしながら,日本ではオセアニアの住宅を対象とした研究は,これまでほとんどなされてはいない。本研究は,実地調査および現地での資料収集を基にまとめられている。実地調査は1990年10月から11月にかけて約1か月間,オーストラリアにおける主要な地域のかなりの部分を対象に行なわれ,約400件の住宅を見,かつ写真として記録した。また集めた文献資料は,書物にして100点,パンフレット類で300点を数える。本研究テーマに関しては,様々な角度から検討,分析を進めたが,今回の研究では,特にオーストラリアの18世紀末から19世紀末までの住宅を対象とし,その様式的発展を考察した内容を整理してある。というのも,オーストラリアの住宅に関する従来の研究では,イギリスやその他の国々からの影響については触れられているものの,個々の作品に関する造形面,様式面での分析はおおよそ不十分だったのである。すなわち,様々な様式が,オーストラリアにどのような形で移植され,またオリジナルの作品に対していかなる変形を見せたのかといった問題に対する考察が明快になされていないのである。こうした立場から,今回の研究報告では,代表的な建築家および作品を実例としつつ,具体的な考察,分析を行なうことにより,オーストラリアの住宅建築の造形的,様式的特徴を明らかにすることを試みた。
  • 茂木 計一郎, 片山 和俊, 大行 征, 豊田 聡朗, 手嶋 尚人
    1992 年 18 巻 p. 309-323
    発行日: 1992年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     騎楼とは,街路沿いの家の道路に面した1階部分を,柱楼として幅3~4mほど開放し,それが連続してできた空間をいう。中国南部・台湾・東南アジアにかけて見られ,夏季の強烈な日射しと連日のスコールという気候条件の中で生み出された建築装置であって,遮陽避雨空間の役割を担っている。同時に車から隔離された安全な歩行者空間として,買物や立ち話など,人間の屋外での様々な生活行為や活動を吸収し受け止める都市のセミ・パブリックスペースでもある。 数年にわたる中国民居の調査旅行中に騎楼を見掛け,我々は,統一感ある町並みとそこに展開する生活に興味を抱き,今回のテーマに取り上げた。主な研究の目的は,1つに都市型民居として,騎楼の空間と生活の仕組みを抱えること,2つに騎楼という建築形式の分布状態と発生・伝播の系譜を明らかにすることであった。そのために,騎楼が見られる福建・広東省の諸都市と浙江・安徽省の臨水街,そして台湾の諸都市で実測調査と資料収集を行なった。中国南部都市の事例的特徴は,主に擬洋風のファサードをもつ騎楼であり,古い形式を伝えるものは少なかった。むしろ臨水街の方に,伝統的な雰囲気が感じられた。一方台湾では,騎楼のことを享仔脚と呼ぶ。大陸の騎楼が特定都市に急造された傾向が見られるのに対して,台湾では全島的な広がりをもち,研究事例も多い。2つ目の研究課題については,騎楼が華僑の進出と共にあること,シンガポールを起点として東南アジア,中国南都都市,台湾へと波及したこと(黄論文)などがわかっているが,中国の伝統的な民居形式がそこにどう反映したかについては,これからの研究に待ちたい。いずれにしても建築の一形式が,近代の欧米列強の東南アジア・中国への進出など,大きな歴史の流れに関係し,東洋と西洋の重なりの反映であることは確かである。対象の広さと深さを思うと研究は端緒に者いたばかりのようである。
  • 木村 建一, 田辺 新一, 岩下 剛
    1992 年 18 巻 p. 325-334
    発行日: 1992年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究の目的は,居住空気環境の評価方法を確立する際に,温熱環境との相互作用を把握することによって,最も省エネとなる居住環境を造成するための基礎資料を提供することにある。昨年度の研究助成で行なった前報告では室内空気温度が臭気感覚へ及ぼす影響について報告したが,本年度の研究では,空気温度・湿度一定の空間において換気回数,表面風速,ローディングファクターを変えた場合に知覚空気汚染物質発生量がいかに変化するかを調査する。実験は居室サイズのアルミパネル製のチャンバー,及び4つの測定箱を用いて行なった。測定箱の寸法はどれも0.3×0.45×0.3H(m)であり,嗅ぎ口に設置したベンチレーターによって換気されている。チップボード,カーペット,ラバー,ゴザを試験部材として用い,4つの測定箱には30㎝角の面積になるように切ったものをそれぞれ床面に設置した。各測定箱には換気用のファンの他に風速制御用のファンが床面に設置されており,このファンの回転数を変えることによって,4段階の風速を作りだした。各試験部材によって汚染されたボックスA~D及びチャンバーからの空気は12名からなる訓練パネルによって(decipol)値で判定した。各部材のボックスA~D,チャンバーにおける平均知覚空気汚染度(decipol)から,各部材の単位表面積あたりの知覚空気汚染物質発生量(以下SERと称す)を計算したところ,4つの部材のどれも風速が増すにつれSERが増大することがわかった。知覚空気汚染物質の発生量を算定する際には風速の影響を考慮することが必要であろう。また,被験者をゴムカーペットのある室に暴露し,彼らの嗅覚疲労について調査したところゴムカーペットによって汚染された空気に対する順応(Adaptation)の進行は,タバコ煙・体臭に対する順応に比べ遅かった。
  • 都市の具体的音環境の把握と評価
    安岡 正人, 平手 小太郎, 土田 義郎, 木村 英司, 川井 敬二
    1992 年 18 巻 p. 335-346
    発行日: 1992年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     現代の都市空間設計では「アメニティ」が重視される。音環境の生理・心理的評価においては場合によって騒音となったり,情報として不可欠な音となるので,量的な評価尺度にもある程度限界がある。本研究では音源の種類,情報性,環境の質といったことに着目し,その実態を調査した。まず,都市の音環境サーベイとして,東京近郊を対象としたインタビュー調査を行なった。1日を通じての認識音,良いと感じた音,耳を傾けて聞いた音,自宅で聞いた音と職場などで聞いた音,懐かしいと感じる音,春夏秋冬の季節を連想させる音,といった項目について1年間調査を続けた。回答者総数は重複無しで228人である。その結果,いわゆる交通騒音の他に,人間活動に関する音や,意図的に使用される信号のようなものも重要であることが示唆された。特定の場の音環境の具体例として,東京都心部及び近郊にある3駅において音環境の現状調査を行ない,各駅の特徴を明らかにし,駅の音環境設計について総括的に考察した。その結果,駅の業務形態や放送設備の運用法で音環境に違いが生じ,音量に限っても一考の余地があることがわかった。アナウンスやベルなどの音記号の人間工学的,心理的基礎について今後検討する必要性が示峻された。また,各種の音記号の時間的な構造,空間的な構造,意識状態との関わりについて考察した。それらの現状とその設定法について認知科学,心理学,人間工学等の知見を踏まえて体系的に整理した。
  • 鎌田 元康, 千田 善孝, 倉渕 隆
    1992 年 18 巻 p. 347-356
    発行日: 1992年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     昨年度に行なったアンケート調査結果,実験・数値計算結果を踏まえ,実際のガスレンジを用い,熱上昇流の実測と給気を想定した吹出しの影響把握を目的とした実験と,更に同時給排気型レンジフードを用い,主に捕集効率,短絡率の測定により,効率的なレンジフードの運転方式に関する一連の検討を行なった。レンジ単独の実験からは,熱上昇流の温度,速度分布は発熱量,鍋の有無に無関係にほぼ相似となること,鍋ありの条件での熱上昇流には縮流領域の認められること,熱上昇流の周辺は風速10㎝/s以下の極めて静穏な気流状態となっていることがわかった。また,給気を想定した吹出しの影響に関し,今回の条件ではフード想定高さからの吹降ろしの場合,熱上昇流の著しい拡散が観察されるのに対し,レンジレベルからの吹上げ条件では影響は小さいこと,吹出しのある場合,全般的に熱量通過率の抵下と通過流量の増加を招き,給気による捕集効率の改善は難しいものの,吹上げの外側給気の場合は,比較的変化の少ないことが確認された。 また,同時給排気型レンジフードを用いた実験からは,補集効率は給気率(排気風量に対する給気風量の比率)に強く依存し,今回の条件では0.25~0.7の範囲ではほぼ一定となるものの,0.7を超えると効率は顕著に抵下し,捕集効率の抵下を抑制するためには給気率の上限を0.7とする必要があること,短絡率は給気率の増加にともない減少するが,捕集効率に比べて変化は少なく,捕集効率を優先して給気率を決定すべきであり,給気率0.7の場合の短絡率の実験結果は,0.6程度となること,捕集効率,短絡率の変化を考慮して適切な給気率を設定すれば,室内排気風量が少なく,かつ捕集効率の高いレンジフードの運転が可能であり,今回検討したレンジフードで0.7付近の給気率を用いれば,給気の短絡により排気単独型に比べ,室内排気風最は4割低減可能なことがわかった。
  • 加藤 裕久, 吉田 倬郎, 小松 幸夫, 野城 智也
    1992 年 18 巻 p. 357-366
    発行日: 1992年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究は,建物の寿命を統計的な手法によって予測する方法の開発を第1の目的とし,さらに,その手法を用いて,固定資産台帳に基づく住宅寿命実態調査を行なったものである。寿命予測手法は,ある調査時点における新築年次別の現存棟数と1年間の滅失棟数を知って,仮想建物集団の経年による残存率の推移を求めるというのが骨子である。具体的な方法としては,まず,信頼性工学で用いられる「累積ハザード法」を応用し,生命表の考え方を取入れて,仮想建物集団の経年別の残存率分布を求めるのが第一段階である。第二段階は長期的な傾向を予測する等の目的のために,得られた残存率分布に,正規分布・対数正規分布・ワイブル分布といった理論分布曲線を当てはめることになるが,その際に最小2乗法を適用した計算機プログラムを開発し,作業精度の向上と高効率化を図った。第2の目的である住宅寿命実態調査については,木造・鉄筋コンクリート造・鉄骨造それぞれについて,専用住宅と共同住宅の計6種類の住宅と,比較対照用に鉄筋コンクリート造と鉄骨造の事務所を合せて8種類の建物を対象とした。調査方法は,全国の都道府県庁所在地および,政令指定都市から48都市を選び,1987年における各都市の固定資産台帳に基づく新築年次別の現存棟数(2月1日現在),および,年間滅失棟数をアンケート方式により調査し,それらを建物種類別に合計したものについて分析を行なった。住宅寿命を集団の50%が滅失するまでの年数とすると,木造専用住宅は約39年,鉄筋コンクリート造専用住宅は約44年,鉄骨造専用住宅は約34年,木造共同住宅は約33年,鉄筋コンクリート造共同住宅は約53年,鉄骨造共同住宅は約32年という結果が得られた。なお,比較対照用の鉄筋コンクリート造事務所は約33年,鉄骨造事務所は約29年となり,住宅とあまり変らないか,やや短いという結果になった。
  • 徳田 哲男, 児玉 桂子
    1992 年 18 巻 p. 367-377
    発行日: 1992年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究の目的は,実験室内に各種日常生活モデル機器を設置し,操作高の変化に対する作業者の操作感や操作力の変動をとらえることで,高齢者と若年者間で顕在化する年代的特異性や共通性について明らかにすることにある。モデル機器は,ドアの開閉やコンセント等の引き抜き操作を想定した押引力機器と,ドアノブ,水道蛇口や鍵,ガス元栓等の操作を想定した回転力機器の合計10種類とし,操作高の変化によるモデル機器活用時の操作感と操作力を計測した。計測対象者は,高齢女性12名,(68~78歳)と若年女性12名(19~23歳)であった。年代的特徴については,各操作機器ともに高齢者群の操作しやすい高さとその範囲は若年者群に比較して低く,また狭い傾向を呈した。若年者群の最大操作力は高齢者群に比較して全般的に強い傾向を示し,特に回転操作は押引操作に比較して年代差が顕著であった。一方,最大操作力に対する様々な操作力による教示筋力比は,高齢者群の方が高率を示す操作機器が多数を占めた。操作高や操作力の特徴としては,操作機器の種類により最適操作高には差がうかがえたが,一部の操作機器を除き最適操作高は肘頭高よりも低めに位置しており,特に回転操作機器では肘頭高と大転子高のはば中央を最適とした。また操作高の違いにより最大操作力には差を認め,両群ともに最適操作高において最も強い操作力を示した。体格と操作高や操作方の関係では,身体寸法と最適操作高,及び上部,下部で操作し難い高さの間には対応関係が成立しており,とりわけ縦型取っ手やドアノブの操作は身体寸法との間に強い相関関係を認めた。また握力と最大操作力の間にも対応関係の成立を見たが,押引操作での相関は回転操作に比較して弱い傾向にあった。
  • 安藤 正雄, 藤澤 好一, 布野 修司, 古阪 秀三, 松留 慎一郎, 松村 秀一, 村上 心, 野城 智也, 吉田 倬郎, Steven ...
    1992 年 18 巻 p. 379-392
    発行日: 1992年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     2年間にまたがるこの研究は,日英両国における住宅生産枝術の変化を戦後の産業構造の変遷という文脈の中で比較分析しその要因を探ろうとするものである。初年度の作業は,統計資料の比較可能性の検討,住宅生産関連の各セクターの成り立ち,および工業化住宅の比較を中心にとりまとめられた。統計システムを比較する作業においては,住宅生産に関連する統計項目を抽出し,その内容を厳密に比較対照することが行われた。日英の統計項目はほぼ同様であるが,内容的には定義や分類が異なるものも少なく,用語の意味上の類似性によって対応付けることは危険である。それらには,住文化の伝統及び制度の違いが反映されており,目的に応じ統計の集計区分を変えることも必要となる。広範な統計ソースについてそのための整理がなされたことが成果の第一である。公表されている統計二次資料による比較研究の可能性を具体的に検討した部分では,住生産の産業構造と住宅供給セクターの抽出が題材に取り上げられた。企業活動の総体としての産業構造を記述する要素は規模および業種であるが統計項目の定義・分類の差異以前にそれらのデータのカバレッジと信頼性が問題となることが確かめられた。ただし,英国の建設工事統計がプロジェクトごとの報告を義務づけているため,日本より正確な産業構造の把握が可能となっている。民間の住宅建設活動が把握しにくいということは,すなわち民間住宅供給セクターの抽出が困難であることを意味する。しかし,これに関連して,日本の「町場-野丁場」と英国の「修繕・メンテナンス-新築」という異なった軸が,規模による棲み分けの基本的構図となっていることが明らかにされた。また,これに日本の住宅統計に独特の「構造別」および「利用関係別」(持ち家,分譲,貸家等)の区分と,英国における「投機的」住宅建設の概念とを重ね合わせることにより,住宅供給の産業化の過程を浮き彫りにできることが示唆された。技術変化に関する検討は,このような在来的手法の産業化という文脈の中で扱われる予定である。
  • 企業による供給・流通を中心に
    蒲池 紀生
    1992 年 18 巻 p. 15-28
    発行日: 1992年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
  • 欧米との政策比較を通じて
    住田 昌二
    1992 年 18 巻 p. 29-52
    発行日: 1992年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
  • 荒川 俊介
    1992 年 18 巻 p. 3-14
    発行日: 1992年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
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