2001年4月から2004年3月までに, 北海道湧別町において37農場でBVDV感染を認めた。そのうち28農場に対してPI牛摘発を目的に全頭検査を行い, 58頭のPI牛を摘発した。PI牛は胎令40-125日の胎子感染によって生じることから, PI牛の生年月日からBVDV感染時期を推定し疫学調査を行った。また町内全酪農家に飼養管理に関するアンケートを行い, ロジスティック回帰分析を用いてBVDV感染の危険因子を検討した。BVDV感染は季節性, 地域性なく町内に広がり, 農場内感染において単一期間から複数のPI牛をもたらしたり, PI牛の出生により別なBVDV流行が生じて新たなPI牛をもたらしたりすることが分かった。またBVDV感染と相関のある危険因子として, 共進会の出陳, 外部導入, グラスサイレージの給与ならびに焼烙による除角法が示された。今後は得られた危険因子についてBVDV関連との因果関係を検討するとともに, 共進会の出陳牛に対する上場条件の強化 (ワクチン接種とBVDV検査) と外部導入牛ならびにその産子に対するBVDV検査を提案したい。
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