数量化理論II類の方法を応用することにより, 野外で肝臓機能異常牛をスクリーニングできることをすでに報告した。
今回は, 更に精度の良い判別式をうるために次の点を改善して分析を行った。
1.調査頭数の増加, 2.内的基準の再検討, 3.外的基準の分類の明確化
また, 前報は, 計算によって得られた最大固有値に対応する固有ベクトルの判別式Iのみで判別を行ったが, 今回は, 次に大きな固有値に対応する固有ベクトルの判別式IIをも求め, 判別式Iの判別得点を
x座標, 判別式IIの判別得点を
y座標とする二次元平面上で各個体の判別を行った。
この結果, 臨床的に肝臓機能障害を疑われた乳牛192頭について調査した一般および簡易臨床検査所見から, 肝臓脂肪沈着 (一・+~〓・〓) 3群を以下の判別的中率で判別できた。
一群 (43頭/50頭) 86%, +~〓群 (29頭/36頭) 81%, 〓群 (40頭/43頭) 93%
結論として, 前報の判別式は, 肝臓機能異常群の判別精度は高かったものの, 軽度低下群および正常群は低かったのに対し, 今回求めた判別式は, 各群とも高い精度で判別でき, 野外診療における肝臓機能の診断に応用できることが示唆された。
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