数量化理論2類の方法を応用して, 乳牛の一般臨床所見および簡易臨床検査所見から, 肝臓機能が異常な乳牛を診断しようとする研究を行った。
検討1では, 51頭のホルスタイン乳牛を用いた。
その結果, 食欲・活力・糞の状態・脈拍・尿の潜血反応および尿のpHの検査所見から, 肝臓機能の異常な牛を診断するための判別方程式を求めることができた。
検討2では, 検討1で求めた判別方程式が日常の診療で, 肝臓機能が異常かどうかを診断するのに使用できるかどうかをしらべた。
その結果, BSP (プロムサルファレイン) の排泄能検査によって, 肝臓機能が異常と診断した11頭のうち9頭が, 判別方程式によっても, 肝臓機能が異常と診断された。しかし, BSP排泄能検査によって, 軽度の肝臓機能低下と診断した6頭のうち5頭が, 判別方程式による診断では肝臓機能異常牛と誤診された。肝臓機能が正常な乳牛で, 異常と診断されたものはなかった。
この研究の結論として, 軽度の肝臓機能低下牛を軽度の異常牛と考えれば, 検討1で求めた判別方程式は, 野外での肝臓機能異常牛のスクリーニング用として応用できると考える。
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