マウスの生理的な情報を得ることを目的として, 自発運動量を測定し, その周期リズムを時系列解析手法を用いて検討した。
マウスの自発運動をAnimex (A群) , Wheel (W群) , Photo Cell (P群) の3種の装置を用いて経時的に測定した。その運動量についてコレログラム分析を行うと, 自発運動は, 周期変動の合成型循環変動模型の振動波を形成した。その振動波は, 測定装置に関係なく, 暗期24時に頂点をもつ大きな山と, AおよびP群に見られた明期12時に頂点をもつ小さな山が得られた。これらの山は, 24時間で反復し, 日周期リズムと考えられた。また, AおよびW群では, 明暗, 暗明移行時の前後に24時間間隔で出現すると考えられる小さな山が観察された。
パワースペクトル分析による周期成分は, AおよびP群では, 4時間付近に最高スペクトルが得られ, 2, 6時間付近にも小さなスペクトルが観察された。W群では, 2時間付近に最高スペクトルが得られ, 6, 8時間に小さなスペクトルが観察された。
マウスの自発運動は, これらの周期で起こる振動波が合成され, 日周期リズムに統合されたものと考えられた。
以上から, マウスの自発運動の時系列解析に, コレログラム分析とパワースペクトル分析の併用が有効な一手段と考えられた。
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