本研究は、ベテラン日本語教師が、ジェンドリンとヘンドリクスが開発した、現象学を背景に持つ内省手順TAE(Thinking At the Edge Steps)を用いて、10年間の教育実践を振り返った内省プロセスを、考察するものである。内省者が書き込んだTAEシートの記述と、終了後に、シートを見ながら内省プロセスを振り返った語りを資料とした。TAE手順に沿って、意味を考慮せず形式的に作った文とフェルトセンス(意味感覚)を行き来することにより、フェルトセンスが構造化され、論理的な言語表現が産出されるプロセスを、可視化することができた。