土木学会論文集B2(海岸工学)
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Print ISSN : 1884-2399
ISSN-L : 1883-8944
73 巻, 1 号
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和文論文
  • 稲垣 賢人, 仲座 栄三, 田中 聡, SCHAAB Carolyn
    2017 年 73 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/01/20
    ジャーナル フリー
     東北地方太平洋沖地震によって発生した大津波によって甚大な災害を受けた東北地方では,沿岸部の丘が果たした役割に着目し,沿岸部の低地に「緑の丘」を築くプロジェクトが復興シンボルとして進められている.本研究においては,津波対策工として,植生帯,丘,護岸が単独で設置された場合の減勢効果を比較した上で,丘と植生帯,あるいは丘と護岸とを同時に設置した場合の減勢効果を示し,さらにそれらが一体的に設置された場合の複合効果について実験的に調べている.複合的効果は,無対策の場合と比較して,対策工の背後域における浸水深,流速,比エネルギーを下げ,さらに津波到達時間を遅らせることが示されている.最後に背後域における輸送水量が調べられ,複合的対策工の有効性が示されている.
  • 中原 真哉, 平岡 喜代典, 大道 優平, 山本 民次
    2017 年 73 巻 1 号 p. 12-18
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/20
    ジャーナル フリー
     アサリは,近年漁獲量の減少が著しい.アサリが育つ干潟の再生には,主要な餌料である底生微細藻類などの増殖を促進する必要がある.そこで,本研究では,施肥材とあぜ板の組み合わせによるアサリ漁場の改善効果について検討を行なった.その結果,施肥材散布区では,間隙水中のDIN,DIP濃度及び底泥のクロロフィル a量の増加が確認されたが,溶出効果は半年程度と考えられた.アサリの総重量は,試験開始後4 ヶ月で対照区で7.2倍,試験区で10.4-12.6倍となり,1600g区では個体重量が有意(t-test, p<0.05)に高い値を示した.このことから,施肥材とあぜ板設置の組み合わせは,アサリの漁獲量増加を促進する方法として期待できる技術と考えられた.
  • 永島 弘士, 米山 望
    2017 年 73 巻 1 号 p. 19-32
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/20
    ジャーナル フリー
     津波来襲時に河川を遡上する津波に伴い塩水が河道内に浸入すると,河川から取水している浄水場においては高濃度の塩水の混入を防ぐために取水停止を余儀なくされ,災害時に水道水の供給に支障をきたす可能性がある.本研究では,津波来襲時の河道内の塩水挙動を数値解析により予測することを目的として,特定の領域の三次元塩水挙動解析と広域の平面二次元津波伝播解析を同時に実施できる広域津波連動型河道内塩水挙動解析モデルを開発した.この解析モデルを具体的に南海トラフ巨大地震津波来襲時の淀川大堰周辺域における塩水挙動解析に適用したところ,様々な河川流量下での河道内の塩水の空間分布や時間変化を定量的に予測し,塩水による取水への影響を評価することができた.さらに,取水への影響を軽減できる対策案を得た.
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