計量国語学
Online ISSN : 2433-0302
Print ISSN : 0453-4611
特集号: 計量国語学
30 巻, 6 号
特集 WWWコーパスを用いた研究
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
特集 WWWコーパスを用いた研究
巻頭言
招待論文A
  • 語史研究の情報源としてのWebコーパス
    田野村 忠温
    原稿種別: 招待論文A
    2016 年 30 巻 6 号 p. 326-343
    発行日: 2016/09/30
    公開日: 2024/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     Webコーパスの満たすべき定義的な条件は“インターネット上にある文書を大量に収集,蓄積したもの”ということであろう.Googleブックス,国立国会図書館デジタルコレクション,各社新聞記事アーカイブなどのサイトはその条件を満たさないが,Webコーパスに連続する面を持つ.そうしたサイトをWebコーパスと見立てて利用することにより,近現代の語史の考察のための強力な情報源とすることができる.近年そうしたことが可能になったのは語史研究の方法論に関わる革命的な出来事と言っても過言ではない.
特集・論文B
  • 松田 真希子
    原稿種別: 論文B
    2016 年 30 巻 6 号 p. 344-356
    発行日: 2016/09/30
    公開日: 2024/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     日本語の深層格のバリエーションは研究者によって隔たりが大きく,これらの提示根拠がコーパスベースで分析されたものは少ない.本研究では助詞ガ,ヲ,デ,ノについてWeb日本語Nグラムコーパスに深層格情報を付与し,出現頻度を検証した.検証の結果,下記の結果が得られた.助詞ガで最頻度で出現する深層格は非対格自動詞主語(32%(TYPE; 以下同))と対象(27%)であり,動作主体は8%にすぎなかった.助詞ヲで出現する深層格は対象(非変化)であり,全体の8割を占め,対象(変化)を合わせると9割を超えた.出発点や経路はそれぞれ全体の0%であった.助詞デで出現する深層格はその他(51%)が最多で,次いで材料・手段(29%),行為の場所(11%)であった.助詞ノで出現する深層格は限定・修飾(47%)が多く,所有は3%にすぎなかった.本研究によって導かれる結果には,Webコーパスの特性の影響が否めないが,深層格の偏りをコーパスベースで検証したことは言語研究上意義があると言える.
一般投稿
研究資料
  • 計数データを用いた言語研究への適用
    石井 正彦
    原稿種別: 研究資料
    2016 年 30 巻 6 号 p. 357-377
    発行日: 2016/09/30
    公開日: 2024/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     医学・医療統計の分野で用いられることの多い「リジット解析」という統計手法が,言語研究における計数データの分析において,各群あるいは各変数カテゴリーの相対的な大きさやその差を直観的に評価する手法として有用であることを述べる.リジット解析は,本来,群×質的変数の分割表があるとき,変数の順序カテゴリーをリジットという尺度値に変換し,それをもとに各群の平均値(平均リジット)を求める(数量化する)もので,その考え方と計算法はきわめて平易である.小稿では,リジット解析を先行調査研究のデータに適用することによって,本来の質的データの群間比較のほかにも,量的データの群間比較,さらには,2変数の分割表におけるそれぞれの順序カテゴリーの数量化にも適用できることを示し,その(探索的な手法としての)有用性を確認する.
解説
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