男性252名を対象として,全身持久力が動脈硬化危険因子に与える影響を検討した。検討項目は年齢,BMI,推定最大酸素摂取量,収縮期血圧,拡張期血圧,血清中性脂質,血清総コレステロール,HDLコレステロール,および血清総コレステロール,HDLコレステロールから算出した動脈硬化危険指数(RFI)とした。RFIと正相関が認められた項目は,年齢,BMI,収縮期血圧,拡張期血圧,血清中性脂質,血清総コレステロールであった。逆相関が認められた項目は,HDLコレステロール,推定最大酸素摂取量であった。さらに,男性の最大酸素摂取量の維持目標値下限である37ml/分/kgを境界とし,High群とLow群の2群に分類して,各項目における差を検討した。その結果,年齢,BMI,拡張期血圧,血清中性脂質,RFIでLow群がHigh群より有意に高かった。さらに加齢の影響を考慮し、年齢補正したうえで再検討した結果,推定最大酸素摂取量は収縮期血圧,血清中性脂質,血清総コレステロール,RFIとで有意な負の相関が認められた。以上の結果から、全身持久力を一定水準以上に保つことで,動脈硬化危険因子を低減させる可能性が示唆された。したがって,有酸素運動の実施を習慣化して,全身持久力の向上に努めることが,動脈硬化の予防ためにも有用であろう。
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