健康医学
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19 巻, 4 号
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  • 佐々木 紘一, 本藤 裕, 岸井 利昭
    2004 年 19 巻 4 号 p. 551-555
    発行日: 2004/12/20
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    目的:人間ドックの尿定性検査について特に尿潜血反応はどこからを有意ととるべきかについて検討する方法:神奈川県労働衛生福祉協会で,平成14年10月1日~15年9月30日の間に人間ドックを受けた男性3,685人,女性1,811人,計5,496人の尿定性所見について検討した.結果:尿潜血+以上の陽性率は,男性13.1%,女性32.2%であった.また,尿潜血2+以上としたときの陽性率は,男性4.4%,女性14.4%であった.尿蛋白+以上の陽性率は,男性5.5%,女性2.3%であった.尿糖+以上の陽性率は,男性1.3%,女性0.3%であった.結論:腎機能障害は,尿潜血陽性率よりも,尿蛋白陽性率との間により関連性があると思われた.現在用いられている試験紙による方法では,尿潜血反応2+以上を有意と判定するのが妥当と思われた.尿潜血反応+の場合,まず尿沈渣を調べ,赤血球が少数のときは軽度異常とすべきである.尿中赤血球5-6/HPFが尿潜血反応+に相当するような尿試験紙があれば,最も理想的であろう.
  • 高橋 英孝, 山門 實, 中館 俊夫, 吉田 英機
    2004 年 19 巻 4 号 p. 556-559
    発行日: 2004/12/20
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    目的:ED(erectile dysfunction)治療薬に対する本人の希望と実際のEDとの関連を明らかにするために国際勃起機能スコア簡易版(5-item version of the international index of erectile function:IIEF5)による調査を実施した.方法:人間ドックを受診した40歳から69歳の男性658人を対象として,ED治療薬に対する希望とIIEF5スコアとの関連を調査した.結果:ED治療薬の使用を強く希望するほどEDの重症度が高かった.結論:問診票にED治療薬使用に関する項目を採用することは受診者のQOL(quality of life)向上につながると考えられた.
  • 野平 知雄, 福元 工ツ子, 佐多 静香, 藤田 位江, 山澤 〓宏
    2004 年 19 巻 4 号 p. 561-564
    発行日: 2004/12/20
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    目的:子宮頚がんの予防,早期発見にはまず細胞診の検査が不可欠である.わが国の検診体制は,自由検診と行政検診の2方式で運用されている.そのうち行政検診は平成10年以降国の手から離れ市町村事業となり,費用が一般財源化したため,一部の自治体では負担増のため補助金カットなどにより地域間の格差が広がり,ひいては受診率の低下にも影響しかねない.今回,当センターにおける過去5年間の細胞診について東京産婦人科医会(東母)の資料とも対比した.結果と考察:検診率45%で,そのうちクラスIII以上のケースは0.84%(90例)を示した.東母の資料(行政検診)では毎年の検診率は10%以下の低率を示し,特に平成10年は前年比で2万人の受診者数の減少であった.クラスIII以上を示した90例は,過去の受診回数別では初回が33例(36.6%)で最も多く,年齢別では,50-54歳,次いで35-39歳が高率を示した.なかでも20歳代が7.7%に認め,東母の資料からも若年化傾向がうかがえた.がん征圧に向けて定期的検診の奨励,検診対象年齢を20歳代に引き下げるなどの実施により検診効果を上げる.一方自分の健康は自分で守る心構えを基調とした啓蒙活動を強化し,広く人々への関心を一段と高めることが責務と考える.
  • 那須 繁, 大石 周子, 小田 千恵美, 吉村 理江, 吉本 雅彦, 戸田 武二, 古賀 俊逸
    2004 年 19 巻 4 号 p. 565-568
    発行日: 2004/12/20
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    当施設では喫煙受診者に対して,「お試しセット」と名づけてニコチンパッチ(nicotine patch:NP)1枚と禁煙のためのパンフレットを販売し,NPを実際に試用してもらうことにより禁煙への動機づけを行っている.平成12年8月から平成13年2月までに男性喫煙受診者472名中95名(20.1%)がNPを購入していた.次に,平成13年4月から平成15年3月までにNPを購入した65名に対し,NPの試用状況と禁煙の実行状況について調査した.NP購入者65名中39名(60.O%)がNPを実際に試用し,39名中21名(53.8%)は禁煙を実行していた.NPの効果を自覚した27名中20名(74.1%)は禁煙を実行していたが,効果を自覚しなかった者では12名中1名(8.3%)に過ぎなかった.NPへの好奇心を利用したこの取り組みは,喫煙者に対して一定の禁煙への動機づけを行うことができた.また,NPの試用を禁煙の実行に結びつけるためには,NPの効果を自覚することが重要であった.
  • 福井 敏樹, 桃井 篤子, 安田 忠司, 吉鷹 寿美江
    2004 年 19 巻 4 号 p. 569-573
    発行日: 2004/12/20
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    目的:インスリン抵抗性は,単なる糖尿病の原因にとどまらず,すべての生活習慣病の根源であるという認識が広まってきている.また,肥満抑制が生活習慣病予防のために非常に重要であり,インスリン抵抗性と肥満の密接な関連についても多くの報告が蓄積してきている.方法:今回我々は,当院人間ドック受検者に対して,空腹時インスリン値(fasting plasma insulin concentration:F-IRI)を測定し,糖尿病および肥満との関連について検討した.対象は,当院の人間ドックにて糖負荷試験を施行した1,386名.正常群,耐糖能異常群(IGT群),糖尿病群(DM群)に分け検討した.結果:F-IRIは動脈硬化の危険因子数の増加につれて有意な正の相関を持って増加した.正常群のF-IRIは62±0.1,IGT群78±0.3,DM群6.6±0.3であり,IGT群は,正常群およびDM群に比して有意に高値であった.また,F-IRIはBMI25以上の群では8.9±02,BMI25未満の群では5.5±0.1と25以上の群で有意に高値を示した.BMIに関係なくIGT群は正常群より有意にF-IRIが高値であったが,BMI25以上の正常群のF-IRIは,BMI25未満のIGT群よりも有意に高値だった.また,インスリン抵抗性の指標であるHOMA-RとF-IRIは,r=0.935という非常に高い相関を示したので,F-IRIのみでインスリン抵抗性の指標となることが示唆された。結論:これらの結果よりF-IRIは,肥満を基礎に持つ生活習慣病全般にわたる共通危険因子として測定する意義があると考えられた.
  • 宇野 邦子, 池田 敏, 柳本 奈津子, 谷 理恵子, 森 直美, 横谷 利子, 戸羽 祥二, 後藤 彰夫
    2004 年 19 巻 4 号 p. 574-579
    発行日: 2004/12/20
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    目的:健診で発見された肥満のない脂肪肝例について生活習潰病との関連を中心に検討した,方法:人間ドック受診者のうち,body mass index(BMI)25kg/m2未満の男性625人,女性679人を対象とした.結果:腹部超音波検査(US)により男性30.2%,女性13.4%に脂肪肝を認めた.脂肪肝例と非脂肪肝例の比較では男女とも脂肪肝例で尿酸,GPT,γ-GTP,空腹時血糖が有意に高値で,HDLコレステロールが有意に低値であった.検査異常の出現率も,脂肪肝例で高血圧,高GPT,高γ-GTP,高コレステロール(TC),高中性脂肪(TG),耐糖能異常の出現が有意に高率であった。検査異常の出現を目的変数としたロジスティック回帰分析を行い,高血圧,高TG,耐糖能異常の出現に対し,脂肪肝はBMとは独立した危険因子であった.脂肪肝の発症を目的変数とした検討では性,高TG,高血圧,BMIの順に有意であり,すなわち男性で高TG,高血圧を有する人に脂肪肝のリスクが高く,BMI25kg/M2未満でもBMIが増えると脂肪肝のリスクが上がることが示された.結論:非肥満例でも高率に脂肪肝が発見され,脂肪肝は生活習慣病発症の危険因子の1つと考えられた.脂肪肝が発見された例は,BMが正常範囲であっても他の生活習慣病の危険因子に注意し,食事や運動を中心とした生活指導が必要と考えられた。
  • 桃井 篤子, 安田 忠司, 吉鷹 寿美江, 福井 敏樹
    2004 年 19 巻 4 号 p. 580-585
    発行日: 2004/12/20
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    目的:近年,中高年男性の健康管理において,睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome:SAS)の重要性が認識され,SASスクリーニング検査が健診にて導入されてきている.SASのスクリーニング検査には過眠症状の指標となるESS(epworth sleep iness scale)など問診が最初に行われるが,この場合検者自身の主観に依存する傾向がある.そこで,今回我々は,このような問診に,睡眠中のパルスオキシメーター検査を加えて,SASスクリーニング検査を試みた.方法:対象は,当院にて一泊二日人間ドックを受検した1,496名で,全員にESSスコアを含む睡眠に関する問診を行い,宿泊施設あるいは自宅にて携帯型パルスオキシメーターで睡眠中の動脈血酸素飽和度を測定した.問診からSASが強く疑われる者,ESSスコア高値であった者および酸素飽和度低下指数(oxygen desaturation index:ODI)3%が10以上となった者をSAS疑いの二次検査対象者とし,簡易睡眠モニター検査,もしくはポリソムノグラフィー(polysomnography:PSG)検査を施行した.結果:ODI3%値が10以上は全体の17%の209名で女性は16名のみだった.ODI3%値を規定するパラメーターはBMI(body mass index),いびき,無呼吸の指摘などで,特にBMIとは強い相関を認めた.さらに,二次検査受検者の約85%が無呼吸低呼吸指数(apnea hyponea index:AHI)10以上の睡眠呼吸障害(sleepdisordered breathing:SDB)と診断され,AHI30以上で加療が不可欠と思われた者は53名にのぼっ た.PSG検査のAHIは,パルスオキシメーター検査のODI3%と強い相関を認めたが,ESSスコアとは全く相関を認めなかった.結論:今回の結果より,SAS,SDBをスクリーニングするには問診,ESSスコアなど自覚症状のみでは限界があり,人間ドックでのスクリーニング検査としてはパルスオキシメーター検査も併用するのが有用であると考えられた.
  • 西村 和司, 吉田 由紀, 上野 利恵, 石川 峰子, 田中 雅美, 青木 みつ子, 濱 香織, 奥村 容子, 平田 美紀
    2004 年 19 巻 4 号 p. 586-589
    発行日: 2004/12/20
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    目的:頸動脈超音波検査の動脈硬化スクリーニングとしての有用性について,頸動脈病変の経年変化に注目し,動脈硬化危険因子との関連とともに検討を行った.方法:武田病院および関連施設において,超音波法を用いて,頸動脈病変について5年の経過をおいて観察が可能であった66例を対象とした.頸動脈病変は,内膜中膜複合体厚(intima-media complex thickness:IMT),プラークスコアについて検討を行った.結果:観察期間は1,835.9±110.1日であった.観察前後で,IMTは0.12±0.16mm(p<0.0001),プラークスコアは0.87±1.67(p<0.0001)の有意な増加が見られた.動脈硬化危険因子との関連については,危険因子を有する群で増加傾向を示したが,統計学的には有意差を認めなかった.プラークの石灰化病変に注目した検討では,石灰化が存在する群で増加傾向を認めた.特に,新たに石灰化を認めた群では,より強い増加傾向を認め,プラークスコアは有意に増加した(p=0.0002).結論:頸動脈超音波検査によるIMT,プラークの観察およびその石灰化病変の観察が,動脈硬化スクリーニングとしての指標となることが示唆された.
  • 石井 史, 屋代 庫人, 田中 美紀, 杉山 茂樹, 橋本 洋
    2004 年 19 巻 4 号 p. 590-594
    発行日: 2004/12/20
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    目的:炎症性腸疾患の患者は増加してきており,特に潰瘍性大腸炎は人間ドックの便潜血反応陽性を契機に発見されることがある.方法:ドックの便潜血反応陽性で発見された潰瘍性大腸炎の例を呈示し検討した.結果:ドックの便潜血反応陽性で大腸検査をした症例201人中の2例(1%)に潰瘍性大腸炎を認めた.この2症例はともに軽症例(直腸炎型,左側大腸炎型)であり,迅速に治療を開始し,治療経過は良好であった.診断後に問診を詳細に取り直してみると,潰瘍性大腸炎によると思われる症状があっても気付いていなかったり,血便は痔からによるものと自己判断していた.結論:便潜血反応検査は大腸癌のスクリーニングが主たる目的であるが,潰瘍性大腸炎症例の増加に伴い,ドックの便潜血反応陽性を契機に診断される症例が増えると予想される.潰瘍性大腸炎を無症状あるいは軽い症状で発見できることは有意義であり,ドックで行っている便潜血反応検査もその一助を担っていると思われる.
  • 村瀬 昌希, 佐野 公子, 小嶋 享, 青木 茂生, 片山 善博, 片岡 純也
    2004 年 19 巻 4 号 p. 595-597
    発行日: 2004/12/20
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    目的・方法:平成15年1月よりフィルム・スクリーンシステムからデジタルシステムへ移行し,検出器にフラットパネルを用いた胸部デジタルシステムをスタートさせた。また,特殊検診の1つである塵肺検診に必要であるコンピューテッド・ラジオグラフィーも同時に導入することになった。そこで実際の被曝線量を胸部ファントムで測定し,線量の違いを認識した。また実際写真とした画像の評価を医師・技師により視覚評価をし,画質について検討した。結果:フラットパネルシステムはコンピューテッド・ラジオグラフィーに比べ低線量で画像も同等もしくはそれ以上の画質であった。結論:利用者のほとんどが健常人である我々健診施設における低被曝は1つの利用者サービスであり,さらに低被曝での撮影を検討することが必要であると感じた。
  • 笹森 典雄
    2004 年 19 巻 4 号 p. 598-646
    発行日: 2004/12/20
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
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