富山救急医療学会
Online ISSN : 2434-8457
Print ISSN : 2185-4424
32 巻
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一般演題
  • 山本 翔人
    原稿種別: 一般演題抄録
    2014 年 32 巻 p. 1-
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/10/22
    ジャーナル フリー
    平成26年3月、当消防本部管内である北陸自動車道のSA内にて集団救急事故が発生した。SA内で高速バスが駐車中の大型トラックに追突した後、さらに別の大型トラックに衝突し26名の死傷者が発生した事案である。今回の事案では、指揮隊1隊、消防隊2隊、救急隊 6隊、救助隊1隊、搬送車(バス)1隊が出場し、25名の傷病者を8医療機関に搬送している。その他、警察及び道路公団とも活動を実施。今回のような多数傷病者(重傷者複数名)が発生する事案は稀であり、今後の救急活動をより迅速に行うため、現場における傷病者情報の共有や交通規制、現場への医師要請等について消防機関、医療機関、道路公団、警察、マスコミの連携をさらに強化する必要がある。考察も含めこの事案を報告する。
  • 川野 恒太
    原稿種別: 一般演題抄録
    2014 年 32 巻 p. 2-
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/10/22
    ジャーナル フリー
    過日、高岡消防署管内において、JR駅ホームから成人男性が転落し、走行してきた列車に礫かれる事故が発生しました。
    軌道敷内で災害が発生した場合には、普段立ち入ることのない危険な場所での救急活動を行うこととなるため、関係機関相互に安全管理の徹底が必要となります。
    救急隊員がそのような状況下で、ホームから軌道敷内に進入し、列車下部で傷病者に接触後、狭隘なスペースでの観察・判断・処置、医師搬送、プライバシー保護等の救急活動を実施しました。
    列車人身事故では稀な生存事案であるとともに、救急隊、救助隊及び消防隊の活動は特殊な対応が求められることから、隊相互の連携を含め検証した結果を発表します。
  • 本松 大輔
    原稿種別: 一般演題抄録
    2014 年 32 巻 p. 3-
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/10/22
    ジャーナル フリー
    【背景】
    現在の救急活動において、集団災害にとどまらず、複数の傷病者が出た場合や2名以上の重症傷病者が発生した場合は、数台の救急車によって医療圏または隣接医療圏の病院に搬送している。隣接医療圏への搬送は渋滞等で長時間搬送となり、ドクターによる救命処置が遅れるだけではなく、傷病者の痛みの負担、予後悪化にも影響を及ぼすことになる。
    【考察】
    複数の傷病者が発生した事故は医療圏にとらわれず、病院搬送を分散しなければいけない。そこで救急車不在時間の短縮、搬送時間の短縮、傷病者の負担からも現在ある消防防災ヘリコプターを活用したほうがよいのではないかと思う。
    【結語】
    スムーズで時間的に無駄のない活動を実施するときは、各通信司令員及び救急隊が窓口の広い消防防災ヘリコプター運航基準を知ること。救急隊員がヘリの安全管理上の注意点を知り、合同訓練を行い実動に備えること。 現実的にはなかなか難しいことかもしれないが、救急活動における搬送方法の1つとして考慮していただきたい。
  • 廣田 順一
    原稿種別: 一般演題抄録
    2014 年 32 巻 p. 4-
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/10/22
    ジャーナル フリー
    日頃からCPAの傷病者を搬送する事が度々ありますが現場に到着するまでに心肺蘇生がなされていない事が多いのが現状です。少しでも救命率を高め社会復帰をさせるためには心停止の傷病者に居合わせた一般の方すなわちバイスタンダーが心停止の早期認識と通報そして心肺蘇生を行い救急隊へとバトンタッチする事が重要です。119番通報での口頭指導でも心肺蘇生の指示をする事もできますが蘇生法を知っていないと効果のある心肺蘇生ができない可能性が高いです。自分の署では学校、保育所などの公的機関などがメインで救急講習をおこなっていますが事業所など民間の機関などでの講習は少ない状態です。より多くの人に心肺蘇生法を知っていただくためになるべくたくさんの団体や企業などの方々に講習を受講していただくのがよいと考えますがほほすべての機関となると難しいというのが現状です。講習以外にもDVDやインターネッ トなどでの動画での説明やチラシの配布、広報紙などへの掲載などをして一般の方へ周知させる方法もありますが、これから心肺蘇生法の講習や普及活動などをやっていくうえで少しでも多くの人に知っていただくためにどのような方法がよいのか考察します。
  • 竹内 宏至
    原稿種別: 一般演題抄録
    2014 年 32 巻 p. 5-
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/10/22
    ジャーナル フリー
    I.目的・結果
    急変対応した新人看護師の心理的支援を行う示唆を得るため、新人看護師9名に半構成面接を行い、急変対応時の新人看護師の心理を明らかにした 。その結果、【患者に対する思い】【家族に対する思い】【先輩看護師に対する思い】【経験不足・知識不足から生じる思い】の4カテゴリーに分類された。

    II.考察および結論
    新人看護師は、患者の命を助けたいが十分な対応ができず、自責の念を抱いていた。未熟な技術や知識不足は、急変に対する恐怖・不安につながっていた。また、悲嘆過程にある家族に対応することも、自責の念を抱く一因であった。一方、新人看護師は、他者の支援により不安が軽減すること、フィードバックにより、急変対応の経験が自信に繋がることが示唆された。また、急変対応後も自責の念を抱くことがあり、他者の精神的支援の必要性が示唆された。
  • 野田 均
    原稿種別: 一般演題抄録
    2014 年 32 巻 p. 6-
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/10/22
    ジャーナル フリー
    平成21年3月から救急救命士による、傷病者に処方されている「エピペン」の投与が可能となり、以後、教育機関や消防機関から、学校や保育所等と救急隊が連携するよう通知が出され、救急事案に対処する事となっています。 しかしながら、平成24年12月に東京都調布市にてエピペンを処方されていた小学生が給食後にアナフィラキシーショックを起こし死亡する事故が発生しており、その後、全国各地で保育所へのエピペンの持ち込み禁止や、園児の入園拒否等の問題が報道され ています。
    こうした中、当署管内において、保育士によるエピペン使用を控えている保育園があり、通園する子供の保護者から消防署へ緊急時の対応について問い合わせがありました。その後、当署と保育園において、緊急時のエピペンの使用等、救急隊と連携して対処するよう調整しました。
    このようなことから、社会問題となっているアレルギー疾患への対応について、当市における現状と事故を未然に防ぐ対策を考察しました。
  • 藤井 真広, 原田 樹, 栗田 康寿, 渕上 貴正, 伊藤 宏保, 原田 淳, 吉田 昌弘
    原稿種別: 一般演題抄録
    2014 年 32 巻 p. 7-
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/10/22
    ジャーナル フリー
    H市にある工場内での溶解炉爆発事故における当院の対応について報告、検証する。
    【概要】平成26年4月●日18時頃に工場内で溶解炉爆発事故が発生し、死者1名、負傷者4名(うち4名は重症熱傷)で熱傷患者のみの多数傷病者発生事案であった。
    【当院の対応】出動途上の救急隊より当院に一報が入り、「災害モード」に切り替わった。即座に2名の当直救急医に加え、2名の救急医と必要な物資を患者搬送前に確保した。5名の患者が発生(赤3名、黄1名、緑1名)し、当院には赤3名が搬送された。2名を当院入院とし、残り1名を金沢医科大学へ転院搬送とした。事故翌日には金沢医大氷見市民病院から1名の転院依頼を受け、市立砺波総合病院へ転院調整を行った。
    【検証】最先着救急隊の機転と重症患者を一度集約し転院調整を行うことで早期の分散搬送に成功した。本事案を検証することで地方における局地型災害の対応の一助となると考えられた。
  • 長尾 兼嗣, 芝 みちる, 松井 恒太郎, 小浦 友行, 有嶋 拓郎, 若杉 雅浩, 奥寺 敬
    原稿種別: 一般演題抄録
    2014 年 32 巻 p. 8-
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/10/22
    ジャーナル フリー
    原因不明の意識障害、アシデミア、高カリウム血症に対して、血液透析を行い救命ののち原因究明に至った症例を経験したので報告する。
    【症例】80歳女性。午前中に普段通り畑仕事をした後、昼に自室に戻ったところで様子がおかしいことに家族が気づ き当院へ救急搬送された。来院時は昏睡状態(JC100)で縮瞳、尿失禁を認めた。血圧130/106mmHg、脈拍84整、呼吸数20、10Lマスク酸素投与でSpO2 100%とバイタルサインは安定していたが、血液ガス分析にてpH7.255、pCO2 33.5、HCO3- 14.4、Na 141、K 7.1、AG 15.9とAG開大性代謝性アシドーシスと高カリウム血症を認めた。気管挿管、人工呼吸下に緊急血液透析を行ったところ高K血症、アシデミアは速やかに改善し以後再発することはなかった。翌日には意識レベルも改善し抜管した。覚醒後に病歴を聴取したが病因は確定できず、後に来院時の尿・血液の薬物分析を行ったところエチレングリコールが検出され起因薬物と推察された。
  • ―出血性合併症への配慮―
    圓角 文英, 宮島 謙, 山本 博道, 栗本 昌紀
    2014 年 32 巻 p. 9-
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/10/22
    ジャーナル フリー
    【目的・対象】脳梗塞治療には再発の予防として抗血小板薬・抗凝固薬が使用され、抗血小板薬の適応拡大や新規抗凝固薬の登場により、その使用頻度が増えている。その効果の一方で出血性合併症を来す症例も増えている。その現状を把握するために2004年より10年間に黒部市民病院脳神経外科に入院した2727例について後方視的に検討した。
    【結果】10年間で当科に入院した症例数は減少傾向にあり、出血症例も増加傾向は認めていない。しかし出血症例の中に同薬使用例は10~20%程度だったものが最近では20~30%を占めている。また、一剤だけでは無く、二剤、三剤と服用している症例も増加している。非外傷性疾患の場合は、同薬使用例の予後は非使用例に比べて著しく不良であったが、全外傷症例では有意差がなかった。これは外傷症例の中に比較的予後良好な慢性硬膜下血腫症例が多く含まれていたためであり、急性期外傷症例に限るとやはり同薬使用例の予後は不良であった。
    【考察】抗血小板薬・抗凝固薬は脳梗塞治療には外せないものではあるが、このような合併症があることを医療者は留意し適切な使用を心がける必要がある。また、救急隊にとっても回合することの多い頭蓋内出血症例の中には同薬の合併症によるものがあることを認識し、速やかに適切な対処が出来るように情報を収集し病院を選定する必要がある。そのためには車内収容の際に現在服用中の処方薬やお薬手帳を家族に確認するか、「いのちのバトン」の様な活動を全県に拡大し、処方内容が確認出来ることが望ましい 。
  • 廣田 幸次郎, 大鋸 立邦, 齊藤 伸介, 家接 健一
    原稿種別: 一般演題抄録
    2014 年 32 巻 p. 10-
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/10/22
    ジャーナル フリー
    砺波医療圏では、3月に北陸自動車道小矢部SAでのバス事故のほか、7月には東海北陸道城端トンネル内でもバイクとバスの衝突事故が発生した。二つの事故には、①早朝あるいは休日の、病院としては速やかなマンパワーの確保が困難な時間帯であった。②特に城端の事故では、高速道路のトンネル内という特殊な場所であった。③小矢部の事故では、病院への第一報は事故発生約1時間後であり、現場への医師派遣要請もなかった。④小矢部の事故は上り線であり、金沢や高岡市内の病院を含めた複数の医療圏に分散搬送が行われた。また、緑のトリアージを受けた傷病者のうち1 名は搬送先の病院で脾損傷と診断され、手術目的に転院搬送となった。などの特徴があった。今後は、これらのような事故については県レベルでの事後検証が必要であり、トンネルが多いという東海北陸道の特性も踏まえ、トンネル内での事故を想定した訓練を行うなどのエ夫が必要であると考えられた。
指定演題
  • ―フライトナースの役割について―
    小池 伸享
    原稿種別: 指定演題抄録
    2014 年 32 巻 p. 11-
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/10/22
    ジャーナル フリー
    ドクターヘリに搭乗するフライトナースは、患者の病態の変化や処置内容を予測し、種々の状況に対応できることが必要であり、そのために医学的知識に裏づけされた観察力、判断力が重要である。
    救急出動現場において、フライトナースは、治療、処置の補助、バイタルサインの測定、フィジカルアセスメント、患者、家族の精神的援助、現場でのコーディネーションなどを行っている。プレホスピタルは、病院内とは違う特殊な環境下において、限られたマンパワー、限られた医療資機材、移動を前提とした限られた時間で、迅速かつ確実な技術が要求される。そのような状況下において、フライトナースは活動を行っている。また、救急隊など消防機関、フライトクルー、通信センター、警察など様々な職種との連携が必要であり、関係者間の調整機能も担っている。
    本報告会では、群馬県ドクターヘリのフライトナースの役割について症例なども含め皆様にご報告いたします。
教育講演
  • 岡田 眞人
    原稿種別: 教育講演抄録
    2014 年 32 巻 p. 12-
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/10/22
    ジャーナル フリー
    ドクターヘリは地域の社会医療システムである。そして医療機関だけではなく、消防機関や種々の行政組織、そして県民の協力の下で成り立っているシステムである。
    まずドクターヘリシステムというものの共通認識を関係する人々が共有する必要がある。ドクターヘリの目的、運用方法、そしてその効果などをお互いに確認し、どのように関わっていくのかを知ることである。そのためには医療サイドから医学的な効果と地域医療システムにおいてどのような役割を果たすのかを説明する事が重要である。さらに具体的な運用システムについても説明し、その限界についても述べる。また各県には消防・防災ヘリコプター、県警ヘリコプターが配備されそれぞれとの違いや協力体制についても共通認識を持つ必要がある。さらには大災害時の運用(24時間体制・他県への応援)などについても共通認識を持っておく必要がある。
特別講演
  • 小濱 啓次
    原稿種別: 特別講演抄録
    2014 年 32 巻 p. 13-
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/10/22
    ジャーナル フリー
    厚生労働省のドクターヘリ事業は、平成11年10月1日からの1年半にわたる試行的事業により、医師の搭乗したヘリコプターが、傷病者発生現場、また、搬送中にも治療を継続することによって、救命率の向上と予後の改善に有効であるとの結果を得て、平成13年4月1日より正式の運航が開始された。平成25年度において全国36道府県に43機のヘリコプターが47箇所の救命救急センターに配備されている。平成25年度においては、年間20,632件の出動件数があっ た。今後の課題としては、ドクターヘリと消防防災ヘリの協力体制の構築をどのようにするのか、特に災害時は、厚生 労働省のDMAT事務局の傘下に入るのか、それとも消防防災ヘリと共同して傷病者の救命に当たるのかの関係を明確にすることであろう。
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