【はじめに】
高速道路橋梁で塗装剥離作業中に心肺停止となった症例を経験したので紹介する。
【症例】
20代の男性、高速道路橋梁で塗装剥離作業中に倒れているのを発見されたもの。
現場到着時、傷病者は橋脚上(高さ約7m)におり作業に使用されていた梯子で橋脚上まで行き傷病者に接触する。
橋脚上は狭く活動スペースが限られており、更に熱気及びシンナー臭が漂っており隊員にも二次災害危険があり活動困難な現場であった。
【経過】
観察の結果、意識レベルJCSⅢ-300、呼吸感ぜず、総頸脈触れず、心肺停止状態。
体表面に熱感があり、爛れている部位が確認できる。
傷病者がいる場所では活動できないため、活動できるスペースまで移動させ心肺蘇生開始。
現場到着から50分後に救助隊によりクレーンで地上へ救出し救急車内へ収容した。
【結果】
帰署後、搬送病院からベンジルアルコール中毒の可能性が高く、他の作業員も体調不良を訴え受診していると連絡をいただいた。また、体調不良を訴える隊員がいればすぐに受診するよう助言をいただいた。
今回の症例について組合全体で共有し、注意事項、今後の対応等を検討した。
また、情報共有として県内の各消防本部へ連絡をした。
【おわりに】
本症例の中毒事故は、近年増加しており厚生労働省からも案内が出ており今後も発生することが予想される。今回は救急隊及び救助隊での活動となったが、今後は早期に応援要請、隊員の安全確保、対応方法、病院との情報共有等が円滑にできるよう検討を行い、今後、より良い対応を行いたい。
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