(はじめに)
富山県のドクターヘリ運用が開始されたのは平成27年8月24日からです。
射水市では平成28年7月27日現在、10件の出動要請をし、うち5件の搬送とドクターヘリを活用しました。当消防本部は、外傷ばかりではなく内因性の急病においても積極的にドクターヘリを活用するよう取り組んでいるところです。
運航開始3ヶ月目に労災事故が発生、新湊消防署東部救急隊が出動し、ドクターヘリ要請を行いました。
この症例は改善すべき点が多く、今後の活動に活かせるよう報告します。
(症例)
発生日時:平成27年10月■日 覚知10時■分
概要
工事現場で労災事故、又聞き通報のため詳細不明との指令内容で出動する。
出動途上に追加情報として作業員が海中に落ちたもの、CPAの疑い。
傷病者は陸へ上がっている。詳細は誘導員に確認してくださいとの続報。
現場到着後、傷病者の首から上がかろうじて浮かんでいる状態で、足場の不安定な場所で3名の作業員が沈みそうになっている傷病者を必死で引き上げようとしている状況を確認。さらに覚知約15分前から水中にいたことも聴取。現場の状況から救出に時間を要する症例であることを認識できた。
救出完了し、車内収容直後に指揮隊からドクターヘリ要請をする指示を受けた。
(考察)
本症例では、多くの教訓を得た。傷病者接触時にドクターヘリを呼んでいたら、現発時には何らかの方法でドクターが接触でき、医療介入時間の短縮を図れたのではないか。
救急隊は、指令から現着までの間、概要しか分らなかった。実際には覚知15分前から傷病者が溺水し、結果的に溺水してからドクター接触までのトータル時間は52分ということになってしまった。
早期のドクターヘリ要請が傷病者に対する医療介入時間を短縮できることを再認識させられた症例であった。
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