【背景】
平成23年に傷病者の搬送及び受入れの実施に関する基準が制定され、10年が経過した。脳卒中疑について重要なポイントや症状、訴えはないかを再調査し、少しでも脳卒中疑いとして搬送することができれば市民へより質の高い救急を提供できると考え調査した。
【対象と方法】
調査の対象は、砺波地域消防組合管内の平成29年から令和3年までの5年間分の救急報告書を調査し、統計を抽出。富山県実施基準の脳卒中疑い分野の各キーワードの適合率を調査。
救急件数 平成29年:4,656件 令和3年:4,603件
脳卒中者(転院搬送含) 平成29年:353名 令和3年:332名
富山県実施基準(脳卒中のみ) 平成29年:201名 令和3年:197名
上記表は、調査した一部である。
【結果】
平成29年から令和3年までの5年間において脳卒中と診断された傷病者数は1,675名。富山県実施基準に該当有の傷病者数は810名であった。
富山県実施基準に該当有の脳卒中者に一番多い症状等は、麻痺や痺れがあるもので60%を超えていた。次いで呂律が回らない等が23.4%であった。また、視力や視覚障害は0.2%と非常に稀であることも判明。
【考察】
令和3年で富山県実施基準(脳卒中)に該当されなかった138件について調査したところ、麻痺を認めたものが25件と非常に少なかった。しかし、高血圧であったものが82件、発症危険因子保有が47件、意識障害ありが74件であった。このことから麻痺がない場合でも脳卒中の可能性が少なからずあることが分かった。神経学的所見のみで判断するのではなく総合的に判断し、今後の活動の一助としたい。
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