目的 静岡県西部地域における糖尿病の実態を明らかにするとともに、糖尿病有病状況と関連する要因を明らかにし、今後の生活習慣病対策に活かすことを目的とした。
方法 平成22年度静岡県市町国保特定健診受診者データを用いて、1.静岡県西部健康福祉センター管内の特定健診受診者38,356人の男女別、年齢階級別の健診結果を県平均と比較した。2.標準的質問票回答結果を用いて、生活習慣指標(12項目)の県平均を基準として標準化該当比を算出した。3.健診結果と生活習慣指標のクロス集計を行い、県計と西部管内計を比較した。
結果 1.健診結果では、西部管内の糖尿病有病状況(40-74歳)は、男性では有病者15.2%(県平均14.8%)、予備群24.0%(県平均21.5%)、女性では有病者8.7% (県平均8.1%)、予備群25.7%(県平均22.1%)と、いずれも県平均より高かった。一方、メタボリックシンドローム、肥満、高血圧、脂質異常の割合は県平均より低かった。年齢階級別では男女とも壮年期から糖尿病有病者と予備群の計は県平均より高かった。
2. 生活習慣指標の標準化該当比で西部管内に好ましくない傾向がみられたのは、男性では「運動習慣:いいえ」(該当比104.5)、「歩行程度の身体活動1日1時間以上:いいえ」(該当比107.2)、「食べる速度:速い」(該当比103.7)の3項目であった。女性では「運動習慣:いいえ」(該当比105.5)、「歩行程度の身体活動1日1時間以上:いいえ」(該当比112.0)、「歩行速度が速い:いいえ」(該当比105.0)、「食べる速度:速い」(該当比101.7)の4項目であった。
3. 糖尿病判定結果と健診結果・生活習慣指標項目とのクロス集計では、「肥満」、「20歳から+10kg以上の体重増加」、「この1年間で±3kg以上の体重変化」に関連がみられた。生活習慣改善済みの割合が少ない40-59歳のクロス集計では、糖尿病有病と有意な関連がみられた生活習慣は、男性では「歩行程度の身体活動1日1時間以上:いいえ」、「食べる速度:速い」の2項目、女性では「食べる速度:速い」の1項目であった。
結論 当地域における健康課題として糖尿病予防対策が必要であることが確認された。その対策は日常的な身体活動量を増加させる習慣づけが効果的であると考えられるので、関係市町や団体、健康づくり地区組織などに情報発信し、改善をすすめていく必要がある。
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