東海公衆衛生雑誌
Online ISSN : 2434-0421
Print ISSN : 2187-736X
2 巻, 1 号
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  • 藤田 ひとみ, 小嶋 雅代, 永谷 照男, 細野 晃弘, 荒井 健介, 辻村 尚子, 岡 京子, 岡本 尚子, 神谷 真有美, 鈴木 美奈, ...
    2014 年2 巻1 号 p. 77-83
    発行日: 2014/07/19
    公開日: 2018/12/01
    ジャーナル フリー

    目的:敷地内全面禁煙は,非喫煙者を受動喫煙による健康被害から守り,喫煙者の禁煙を促すのに有効な方法と考えられる.名古屋市立大学では2006年6月よりキャンパス敷地内全面禁煙となり,6年が経過した.そこで,キャンパス敷地内全面禁煙化後の医学生の喫煙率や,喫煙に関する意識の変化を調べた.

    方法:喫煙に関する意識調査として2007年12月に全学職員・学生を対象に実施したものと,2012年4月に医学部学生を対象として実施したものについて,医学部1~5年生の集計結果を比較検討した.

    結果:回収率は2007年調査では57.0%,2012年調査では92.6%であった.男子喫煙率は全学年で9.94%から5.39%,女子喫煙率は2.37%から1.65%といずれも減少しており,2012年調査では1年生の喫煙者は男女ともに0名だった.キャンパス敷地内全面禁煙については「知っていた」と回答した割合は84.9%から66.2%と有意に減少し,喫煙環境に無関心な非喫煙者が増えている状況がうかがえた.また喫煙者の平均年齢は,2007年調査時は22.3±4.2歳であったが,2012年調査では25.9±4.2歳と有意に高かった.

    結論:キャンパス敷地内全面禁煙化から6年経ち,喫煙率は低下した一方,敷地内全面禁煙の認知度が低下していたことから,今後の防煙教育や禁煙対策に向けた新たな課題が明らかになった.

  • 大西 丈二, 小林 隆司, 小山 博史
    2014 年2 巻1 号 p. 84-88
    発行日: 2014/07/19
    公開日: 2018/12/01
    ジャーナル フリー

    目的 独立行政法人 国立がん研究センターが運用するWebサイト「がん情報サービス」およびその他のがん関連情報源についての利用状況を明らかにする。

    方法 三重県度会郡南伊勢町にて、町内全6,080戸対象に無記名式アンケートを実施した。調査項目には性別、年齢、インターネット利用有無、「がん情報サービス」利用歴、がん関連の情報源の意向、がん診断時に相談できる人の有無等を含めた。有効回答1,768部(回収率29.1%)につき分析した。

    結果 インターネットは全体の28.5%が利用していたが、「がん情報サービス」の利用があるものは3.7%に限られた。がん関連の情報源としては「がん診療連携拠点病院の相談窓口」73.7%、「家族または友人、知人」34.8%、「がん診療連携拠点病院以外の病院や診療所」25.5%、「がん情報サービス」23.5%の順に多く挙げられた。年齢別では「がん情報サ―ビス」などが年齢の高くなるにつれて低下した一方、「役場・保健所・保健センター」は逆に有意に増加した。

    結論 「がん情報サービス」の利用は低率に限られていた。がん関連情報へのアクセシビリティ維持・向上のため、インターネット普及および高年齢層向けに医療機関や公共機関における情報提供・相談窓口の整備が行われるとともに、一般向けのがんに関する情報が、インターネット以外でも利用されやすい環境整備が求められる。

  • ~7年間の取り組みとその成果~
    糠谷 敬子, 森山 恭子, 北村 洋子, 宇野 智子, 外ノ池 隆史
    2014 年2 巻1 号 p. 89-93
    発行日: 2014/07/19
    公開日: 2018/12/01
    ジャーナル フリー

     平成15年に健康増進法が施行されて以降,広く受動喫煙防止対策が行われるようになった。敷地内全面禁煙とした大学もあるが,周辺での喫煙が増え近隣からの苦情が出ているところが多い。また愛知学院大学日進キャンパスでは,禁煙に対しては教職員の抵抗が非常に強く,保健実務担当者が2名の体制では強制的な対策を行うだけのマンパワーも不足していた。そこで学生・職員が主体的に参加する形で,毎年「受動喫煙防止キャンペーン」を行い,主として喫煙マナーの徹底を呼びかけていくことにした。さらに職員の喫煙に対する意識を変えるため希望者に禁煙治療を行い,禁煙に成功した者を禁煙サポーターとして,今度は禁煙を支援する側に回ってもらった。キャンペーンは次第に規模が大きくなり,地域にも広がっていった。やがて大学本部の考え方も変化し職員がキャンパス内を巡回してくれるようになり,キャンパス内の喫煙マナーは随分向上し分煙が進んだ。学生の喫煙率も次第に低下している。学生・教職員の自主性を尊重したことで,喫煙者と非喫煙者が大きく対立すること無く受動喫煙防止対策を進めることができた。

  • 三浦 康平, 山口 和輝, 佐野 真奈美, 和田 昌樹, 村本 あき子, 津下 一代
    2014 年2 巻1 号 p. 94-100
    発行日: 2014/07/19
    公開日: 2018/12/01
    ジャーナル フリー

    目的 超高齢社会に突入した本邦において,サルコペニアは重要な健康問題である。先行研究において筋量や筋力,身体機能からサルコペニア高齢者を選定するカットオフ値や診断アルゴリズムが報告されている。しかし,先行研究の方法では特別な機器の使用や体力測定の実施によるコストやマンパワーもかかり,一般住民へのスクリーニングには適していない。そこで本研究では,簡便で効率の良い抽出方法として,厚生労働省地域支援事業実施要綱にある基本チェックリストとその他質問を活用した方法を開発し,その有用性の検討を目的とした。

    方法 愛知県3市町(東海市,大府市,東浦町)在住の高齢者を対象に基本チェックリストの運動器項目「No.6 (階段を手すりや壁をつたわらずに昇っていますか) AND/OR No.7 (椅子に座った状態から何もつかまらずに立ち上がってますか)」,尚且つ栄養項目「No.11 (6ヶ月間で2~3kg以上の体重減少はありましたか) AND/OR No.12 (BMI<22)」を抽出条件とし,該当した1,639名から身体状況と運動習慣に関する質問条件に合致する66名74.9±5.7歳(男性25名75.8±4.7歳,女性41名74.3±6.3歳)の筋量測定(DXA法)を実施した。骨格筋量指標(SMI=四肢筋量(kg)/身長2(m2))を算出し,日本人のサルコペニア参照値(男性:6.87kg/m2,女性:5.46kg/m2)をもとに評価した。

    結果 SMIは男性6.22±0.47kg/m2,女性5.39±054kg/m2であった。男性では92.0%,女性では53.7%がサルコペニアに該当した。男性では基本チェックリストのNo.7該当者のSMI平均値は,No.6該当者のSMI平均値に比べ,小さい傾向がみられた。

    結語 質問のみで簡便に行える本法のサルコペニア該当者抽出率は男性に対してとくに高かった。65歳以上であれば誰に対しても実施可能である基本チェックリストを用いた本法は,サルコペニアの疑いのある者を各市町村が簡便で効率よく抽出するために有用と考えられる。

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