目的 看護補助者は無資格者でも勤務することができる職種である。介護福祉士は介護の専門家であるが,病院の看護部で働く場合,看護補助者として勤務することになる。しかしながら,介護福祉士は専門職者であるため,無資格者の看護補助者とは異なる看護マネジメントについて検討することは重要である。看護師および准看護師(以下,看護専門職者と略す)における「介護福祉士と共に働くことへの意欲」に関連する因子を探り,それを通して,病院の看護部にて介護福祉士を有効に活用するための方策について検討した。
方法 本研究に参加した病院は,25か所の中小規模病院である。これらの病院に勤務する3,725名の女性の看護専門職者に無記名式の自記式調査票を配布し,2,503枚の調査票が回収された。この研究で使用した調査項目の中で,1つでも欠損値のある調査票を解析対象から外し,2,140枚の調査票を解析した。介護福祉士に対する心象や意見について因子分析を行った。その後,因子分析で抽出された各因子と「介護福祉士と共に働くことへの意欲」との関連性を重回帰分析にて検討した。
結果 因子分析の結果,「看護の専門性を尊重した上での人間関係」,「介護福祉士の仕事に対する姿勢」,「介護福祉士の専門性を発揮できる環境づくり」という因子が抽出された。重回帰分析の結果,年齢が低いほど,看護の専門性を尊重した上での人間関係が良いほど,介護福祉士の専門性を発揮できる環境であるほど,介護福祉士と共に働くことへの意欲は高くなっていた。
結論 年齢の高い看護専門職者に介護福祉士を活用することの重要性を理解してもらう必要がある。病院の経営者は介護福祉士に対して看護専門職者の専門性を尊重することの重要性を指導すると共に,介護福祉士の専門性を発揮できるような環境を整える必要がある。
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