山梨英和短期大学紀要
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32 巻
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 小菅 健一
    原稿種別: 本文
    1998 年 32 巻 p. 1-14
    発行日: 1998/12/10
    公開日: 2020/07/20
    ジャーナル フリー
    "言語芸術"としての文学作品における小説と"映像芸術"の映画やテレビの関係性をめぐって、<ことば>で表現されているものを映像化していく際に生起する問題、特に、同じ原作素材を扱った場合に見られる、それぞれの長所・短所をイメージの観点から考えて、その相違点を単に表現メディアの違いということで片付けないために、両者の中間項的なメディアである、コミックの存在を考慮に入れることで、新たな視点からの考察を行なっている。サブカルチャーとして批判の対象になり、正当な評価を受けることがなく、さらに、擁護者でも、作家や作品に対して、無意識の神聖視や神格化があり、コミックの持つ雰囲気やイメートジを感覚的に論じるので、印象批評や鑑賞文的なものが多く、存在意義を的確に捉える<ことば>や文体、方法意識が、まだ十分に確立されていないので、本稿において、メディアとしてのコミックに内在されている、"言語芸術"的側面と"映像芸術"的側面、それぞれの特性に客観的な限を向けて、一般的には、作者のイメージ表現や読者の感覚的な刺激の限界、想像力の衰退と考えられる問題の生産的な再検討と、今後のコミック論展開のための基礎固めを試みた。
  • 白倉 一由
    原稿種別: 本文
    1998 年 32 巻 p. 15-31
    発行日: 1998/12/10
    公開日: 2020/07/20
    ジャーナル フリー
    『与兵衛おかめ ひぢりめん卯月の紅葉』は宝永三(一七〇六)年竹本座初演で上演された。世話物の最初の作品『曽根崎心中』は観客に好評であったので、『卯月の紅葉』は『曽根崎心中』を踏襲し、構成を如何に変えるかに近松の創作意図があった。主題は作者の思想・観念が根底になるものであって、短期間で大きな変化がなされるものではない。従って『卯月の紅葉』は世話物四作目であるので、『曽根崎心中』とはば同じような主題である。与兵衛お亀の愛を中心とした時代思想との相克である。『卯月の紅葉』の特殊性は構成にある。構成を考える場合大切な事は事件の真実である。この事件の真相を伝えるものは現在残っていなく、『道具屋おかめ与兵衛歌祭文』しかないのでこの作品との比較等によって、『卯月の紅葉』 の虚構性を考えた。『卯月の紅葉』は虚構の構成によっている。登場人物を多くし内容を複雑化し、相続の問題等で悲劇の葛藤を構成した。登場人物はそれぞれ個性的な実存的な人物である。蔵入り等幾つかの独自の場を構成し、その場での人物を表現した。なお、場の構成においては演劇性を考えている。
  • 山田 吉郎
    原稿種別: 本文
    1998 年 32 巻 p. 33-43
    発行日: 1998/12/10
    公開日: 2020/07/20
    ジャーナル フリー
    立原道造は、詩人として本格的な出発を果たす以前の昭和六年、前田夕暮主宰の短歌結社白日社(機関誌『詩歌』)に入会し、一年ほど自由律短歌の創作を試みている。こののち立原は、短歌から身を引くのと踵を接する形で詩作に専念し、周知のように昭和詩史の上に清らかな独自の航跡を残してゆくのであるが、小稿は、立原の文学的生涯の中で初期の『詩歌』時代がいかなる意味を有するのか検討を加えたものである。当時の立原は、前田夕暮の散文集『線草心理』を耽読したと想像される。その『緑草心理』の感覚の美しさが若き立原にいかなる影響を与えたのかという点に焦点を据えて考察し、それをふまえた上で立原の自由律短歌作品の特質を分析した。死と虚無感の揺曳、夢と現(うつつ)のあわいを縁どる少年性といったモチーフをはらむ立原の文学世界を、現実的社会的側面を重視しがちな当時の短歌界の潮流や、さらにモダニズムの大きなうねりと対比させつつ考察を進めた。
  • 稲垣 伸一
    原稿種別: 本文
    1998 年 32 巻 p. 140-129
    発行日: 1998/12/10
    公開日: 2020/07/20
    ジャーナル フリー
    ハリニット・ビーチャー・ストウは『妻と私』の中で、女性が家庭で担う役割の重要性を説き、スビリチュアリストでフリーラヴ思想を持っていたヴィクトリア・ウッドハルを嘲笑的に描いた。一方『妻と私』出版の翌年ウッドハルは、ストウの実弟ヘンリー・ウォード・ビーチャーの密通事件を自ら発行する雑誌で暴露し、結婚制度の欺瞞性とフリー・ラヴ思想の正当性を主張した。本稿では、家庭における女性の役割の重要性と結婚制度不要論という表面上対立する主張を、19世紀後半のアメリカにおける女性読者層の増加とそれに伴う出版市場の拡大という現象と、カルヴィニズムに対して不安を抱いた人々の意識という二つの点から検討する。そして二つの主張がいずれもフェミニズム的社会改革を志向しながら、一方は穏健な、他方は急進的思想へ発展していった事情を考察する。
  • 宅間 雅哉
    原稿種別: 本文
    1998 年 32 巻 p. 118-96
    発行日: 1998/12/10
    公開日: 2020/07/20
    ジャーナル フリー
    Old English set and on frequently occur with 'town'-type place-names like Oxnaford "Oxford" and Wintanceaster "Winchester." This paper deals with æt- and on-phrases which contain 'town'-type place-names and examines the origin and meaning of each place-name in order to investigate the relationship between the occurrence of these prepositions and the spatial features denoted by 'town'-type place-names.
  • 和田 万紀
    原稿種別: 本文
    1998 年 32 巻 p. 84-72
    発行日: 1998/12/10
    公開日: 2020/07/20
    ジャーナル フリー
    Effects of combinations of an apology and different kinds of excuses (Experiment 1) and the effects of the timing of an apology (Experiment 2) were evaluated from the victim's viewpoint. A social predicament was visually introduced to female undergraduates (54 for Experiment 1 and 30 for Experiment 2) who were asked to project themselves upon the victim of the social predicament. An apology primarily mitigated the injured emotions of the imaginary victim. Providing cues for the causal perception of the offender's behavior, excuses affected the imaginary victim's emotions and evaluations of the offender's sociality. The combination of an apology and a "good" excuse was found to be most mitigative. When an apology alone was provided, its timing influenced the evaluation of the offender's sociality as well as the imaginary victim's emotions. These results suggested that apologies and excuses can give different effects on victim's reactions.
  • 斎藤 信平
    原稿種別: 本文
    1998 年 32 巻 p. 70-60
    発行日: 1998/12/10
    公開日: 2020/07/20
    ジャーナル フリー
    本研究は、まず、十七世紀ロンドンにおけるコヴェント・ガーデン・ピアッツァの成立過程を考察し、その後ピアッツァの形式が継承されない理由を、清教徒革命に絡む美意識の変化として捕える。次に、ブルームズベリー・スクエアーの開発を、庭園史の中における「芝」の持つ意味と関係づけ、「スクエアー」開発における方位の問題を考察する。
  • 木田 獻一
    原稿種別: 本文
    1998 年 32 巻 p. 58-54
    発行日: 1998/12/10
    公開日: 2020/07/20
    ジャーナル フリー
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