北海道富良野市の東京大学北海道演習林において, 人工的に凸•平•凹部の三つの微地形を設定した地はぎ処理を1979年8月に行い, 各微地形における
エゾマツ
実生の発生定着を22年間にわたり調査した。地はぎ処理を行った翌年の秋までに発生定着した
エゾマツ
実生の数は微地形によって有意に異なり, 他の微地形に比べて平部で少なかった。凹部では最初多くの
エゾマツ
実生が発生したが, その後急激に減少し, 最終的な調査である22年目に残存していたのはごくわずかであった。この要因は, 暗色雪腐れ病菌が多く存在するリター層が凹部に堆積し,
エゾマツ
実生が暗色雪腐れ病に感染したためであると考えられた。本調査地では, 地はぎ処理から22年目の現在でも, 十分な量の
エゾマツ
後継樹が確保されており,微地形を設定した地はぎ処理は
エゾマツ
天然更新の補助作業として有効であると考えられた。現在の
エゾマツ
は, 混交したダケカンバの被陰下にあるため, ダケカンバの密度管理が今後の課題である。
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