本論文は21世紀の日本の教育心理学についての試論的な未来展望であり, 4つの部分に分かれている。第1の部分では, 日本の心理学史を簡単にたどった。第2の部分では, 「日本の教育心理学の不毛性」に関する議論に焦点をあてた。この議論は50年間以上行われており, その主な原因は教育心理学研究と教育実践の乖離に由来すると考えられてきた。今日では, 「不毛性議論」の不毛性さえ指摘されてはいるものの, 学校心理学が「不毛性」を克服する新しいムーブメントとして期待されている。第3の部分では, モード論という新しい知識構築のスタイルを紹介した。第4の部分では, 教育心理学にとって適切な方法論について議論し構築することが重要だと指摘した。これらの議論に基づいて著者は, 教育心理学を発展させるための最も重要な方法のうちの1つは, 研究者と実践者が「教育」という概念について共有することだと指摘した。
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