(目的)
ダチョウ
は現存する鳥類の中で最も大きく,その肉や卵を食料として利用できる. 今や
ダチョウ
は日本全国で飼育されており, 飼料も近年トウモロコシなどを混ぜるなど、変わってきている. そこで, スポンジケーキを調製し, 白色レグホーン種鶏卵で調製したケーキと比較検討した.
(方法)茨城県下で飼育した
ダチョウ
(アフリカンブラック種, Oudtshoorn Hybrid)が, 2006, 2007年に産卵した無精卵(以下
ダチョウ
卵)を用いた.対照とした鶏卵は一般的な白色レグホーン種鶏卵で群馬産, 産卵後3日以内の市販品を用いた. 卵は, 卵構成を測定し, pH , 色, テクスチャーを測定した. スポンジケーキの分量は, 各卵150g, 砂糖(_(株)_三井製糖, 上白糖)90g, 薄力粉(日本製粉, 市販名ニップン薄力小麦粉ハート)90gを用い, 共立て法で行った. 泡の比重, バッターの比重, 焼成後の体積, 重量を測定し, ケーキ中央部のテクスチャー, 色, 組織構造を調べ, 官能検査を行った.
(結果) 飼料の変化により,
ダチョウ
卵の卵黄は, 黄色が強くなり, b値は鶏卵と差が少なくなった. このため調製した
ダチョウ
卵のケーキの色も鶏卵製品と差が少なくなった. 卵液を固くあわ立てるまでの時間では
ダチョウ
卵は鶏卵より多く必要であり, その泡の比重は低い傾向を示した.
ダチョウ
卵のケーキは,卵黄の割合が高いほどケーキの体積は大きくなり, 鶏卵同様の傾向であったが焼成後の体積は鶏卵より20%程度小さかった.
ダチョウ
卵のケーキは, 鶏卵製品より硬さ応力が高く, 凝集性はほとんど変わらなかった. 分析型嗜好試験では, ケーキのきめの細かさ, やわらかさで
ダチョウ
卵が有意に好まれ, 総合的評価で好まれる傾向が得られた.
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