本研究はUlatowskaら(1981,1983)の方法に準じ,健常者と脳損傷者を対象として,(1)2群の
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ースの理解面の比較,(2)2群の被験者が表出した
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ースの基礎データの比較,(3)健常群の表出した
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ースから“superstructure”を抽出できるかの検討,(4)健常群の“superstructure”を基準に脳損傷者の
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ースを分析すること,の4点を目的として実験を行った.その結果,(1)理解面,および(2)表出面の基礎データでは健常群に比べて脳損傷群は低下している,(3)健常群の結果から“superstructure”を抽出することは可能,(4)(3)を基準にした脳損傷群の分析結果では,“superstructure”の数が不足している,ことが示された.今後は物語文,手続き文などさまざまな種類・長さの
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ースについて同じ方法で分析し,
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ース間の難易度を数値化して表し,
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ースそのものの分析方法を検討していくことが重要であると考える.
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