穀類に存在する結合型
ナイアシン
の難利用性の原因を明らかとするために, 米ヌカを試料として, 各種加水分解酵素の
ナイアシン可溶化効果および結合型ナイアシン
の有効化を検討し, 効果の認められたセルラーゼとエステラーゼに対する結合型
ナイアシン
の挙動をDEAEーセルロースイオン交換カラムクロマトグラフィーで示した。
1) 米ヌカに至適条件で酵素を作用させた結果, セルラーゼ, タカジアスターゼ, エステラーゼで可溶化率が高かった。結合型
ナイアシン
の有効化はセルラーゼ, プロテアーゼで高かったが, いずれもアルカリ分解には及ばなかった。また, ヘミセルラーゼの効果は最低だった。
2) 最も効果のあったセルラーゼを反応させた後, さらに他の加水分解酵素を作用させた結果, 第2段階にエステラーゼを作用させた場合で
ナイアシン
の可溶化および有効化に効果が認められた。
3) 米ヌカ水抽出物のクロマトグラフィーで, 結合型
ナイアシン
が溶出する非吸着部と遊離型
ナイアシン
が溶出する吸着部の総
ナイアシン
の比は, 5: 4であった。
4) 米ヌカのセルラーゼ処理物のクロマトグラフィーでは, 結合型
ナイアシンの大部分が吸着部遊離型ナイアシン
に転換した。
5) 米ヌカにセルラーゼーエステラーゼを連続作用させると,
ナイアシン
の大部分は遊離型あるいはアルカリ分解せずに本定量菌に利用される型 (仮性遊離型
ナイアシン
) に転換した。
6) セルラーゼ処理物の非吸着画分にエステラーゼを作用させると, この画分の約30%の
ナイアシン
が遊離型となって吸着部に移行し, 非吸着部に残った
ナイアシンも仮性遊離型ナイアシン
に変換した。
以上より, 米ヌカ結合型
ナイアシン
の難利用性の一因柔, セルロースにあると考えられる。穀類中結合型
ナイアシン
の有効利用のためにセルラーゼ続いてエステラーゼ処理を行ない, 可溶化および遊離化させるプロセスを提案する。
終りに, 本研究の実施にあたり, 米ヌカを提供していただいた毛利精穀研究所に厚くお礼申しあげます。
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