DICにおける多臓器不全 (MOF) の進展は, 多発した微小血栓による微小循環障害が主因と考えられてきた. この度, これに加えて, 血管作動性物質である一酸化窒素 (NO ; 代謝産物はNOX) およびエンドセリン (ET) がDIC病態に関連していないかどうかラットDICモデルを用いて検討した. Wistar系ラットを用いて, LPS誘発DICモデルはLPS50mg/kg, TF誘発DICモデルはTF3.75単位/kgを尾静脈より4時間かけ点滴静注し作成し, 血中D-dimer, NOX, ETを測定し, 腎糸球体フィブリン沈着 (GFD) を病理学的に検討した. LPS誘発DICモデルにおいては, 血中ETの有意な上昇, 腎糸球体フィブリン沈着は高度であったが, D-dimerの上昇は軽度であった. 一方, TF誘発DICモデルにおいては, 血中D-dimer, NOXの上昇は著明であったがフィブリン沈着はまったくみられなかった. 血管作動性物質は, LPSモデルにおいては臓器障害の進展 (ETによる微小循環障害) に, TFモデルにおいては臓器障害の阻止 (NOによる血流維持) に関連している可能性があり, 今後検討すべき点と思われた.
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