本研究の目的は, 幼児期における静的平衡性及び
動的平衡
性の構成因子を明らかにすると共に, 各構成因子の発達特性とその性差, 及び両平衡性の構成因子間の発達関係を明らかにすることであった. 標本は, 3.5歳から6.5歳の幼児540名(男児282名, 女児258名)であった. 静的平衡性及び
動的平衡
性のテストは, 種々の条件を考慮しそれぞれ17変量, 及び7変量が選択され, 因子構造を捉えるためにそれぞれの変量群から作成された相関行列に因子分析を適用した. 各姿勢保持及び運動パターンの成就に特有な7つの具体的な静的平衡性と3つの
動的平衡
性が解釈された.
動的平衡
性因子には性差は殆どなく, 4歳頃から加齢と共に比較的一定に発達するが, 各静的平衡性因子の加齢に伴う発達パターンは必ずしも同じではなく, それらの多くは女児の方が勝り, 5歳以降性差が拡大すると推測された. 更に, 男女とも6歳児において両平衡性を構成する多くの因子間に有意な関係が認められたが, 5歳以下では殆ど認められなかった. 静的平衡性及び
動的平衡
性因子間の関係は男女によって異なり, この相違は, 特に各静的平衡性因子における加齢に伴う発達パターンの性差によると推測された.
抄録全体を表示