今回われわれは分類困難潰瘍,びらん症例を中心に,
回盲弁
上潰瘍,びらん性病変について臨床,病理学的に検討した.1984~1991年の全大腸内視鏡検査数2,392件で,
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上に潰瘍,びらんを認めたものは47例(2%)で,その内訳はCampylobacter腸炎15例(32%), Salmonella腸炎2例(4%),起因菌不明感染性腸炎4例(9%),クローン病6例(13%),潰瘍性大腸炎3例(6%),腸管べーチェット3例(6%),分類困難潰瘍3例(6%),分類困難びらん11例(23%)であった.大腸内視鏡像の検討から,感染性腸炎か炎症性腸疾患かの鑑別が推測可能であったが,生検組織像では各疾患に特異所見はえられなかった.
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潰瘍,びらんの発症原因は,
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への高圧が主要因と推測された.今回検討した分類困難な潰瘍,びらん症例は,症状なく検査成績でも異常所見はみられず,スクリーニングの大腸内視鏡検査で認められた.現時点で新たな疾患単位の可能性は低く,分類困難潰瘍,びらんの診断が最も妥当と考えられた.
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