本稿の目的は、山口幸男・加藤幸雄が提起した「司法福祉」の定義について、矯正施設でソーシャルワーカーとして勤務した立場から考察を行うことである。
山口の定義に従えば、「司法」を「裁判」と考える場合、「矯正」は「司法福祉」に馴染まないことになる。なお、山口は、少年院や保護観察所などといった施設・機関を「司法」に属する機関ではなく、「行政」に属する機関であると言っている。
加藤は、「司法」の必要性と「福祉」の知見などの必要性について触れながら、「司法福祉」について定義しようとしている。しかし、山口と同様、加藤も「司法」について定義していない。
両者は、「司法福祉」の定義を提起する際、「司法」の枠内にとどまって「司法」を考え、「行政」について整理することができていない。そのため、「矯正」についても触れることができていないものと推察できる。
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