【はじめに】
Whole body vibration training(以下、
振動板
トレーニング)は、その有効性について種々の報告が行われており、我々の先行研究においても、膝関節を10度あるいは30度屈曲した肢位では、振動刺激がない状態よりも下肢の筋活動が有意に増加することを報告した.本研究では、
振動板
トレーニングにおける膝関節屈曲角度の違いが下肢筋活動に与える影響について検討したので報告する.
【対象】
対象は、本研究の主旨を説明し、同意を得られた整形疾患を伴わない健常成人男性8名(平均年齢28.0±3.7歳)とした.
【方法】
振動板
はgalileo 2000(ノボテック社製)、筋活動の測定には表面筋電図MyoSystem 1200s(Noraxon社製)を用い、被検筋は右側の内側広筋(以下VM)、外側広筋(以下VL)、腓腹筋(以下GC)、前脛骨筋(以下TA)の4筋とした.また脈拍数の測定は、パルスオキシメータ モデル3100リストックス(Nonin Medical社製)を用いた.
測定肢位は、galileo 2000に設置されている安全棒を手で軽く支持し、膝関節を10度と30度屈曲した肢位で、振動刺激なしの測定を行った後、6種類の
振動板
トレーニングをランダムに行った.
振動板
トレーニングの振動周波数は30Hzとした.
振動板
トレーニングは1分間の安静坐位の後、1つの運動を1分間実施し、休息後安静時脈拍数に戻った時点で次の運動を行った.6種類の
振動板
トレーニングは、1.足幅狭い・膝屈曲10度、2.足幅狭い・膝屈曲30度、3.足幅中間・膝屈曲10度、4.足幅中間・膝屈曲30度、5.足幅広い・膝屈曲10度、6.足幅広い・膝屈曲30度とした.そして、膝関節屈曲10度と30度の振動なしで行った運動と6種類の
振動板
トレーニングにおいて、運動中の安定した30秒間の波形を用いて平均積分値を求めた.また、膝関節屈曲10度の振動なしで行った運動の平均積分値を100%と正規化し比較した.統計処理はt検定を用い、統計学的有意水準は5%とした.
【結果】
表面筋電図による平均積分値は、VM、VLでは、膝関節屈曲10度の場合に比べ、30度の場合に筋活動が有意に増加した.一方、GCとTAは膝関節屈曲10度の場合の方が、有意に筋活動が増加した.
【考察】
VM、VLが膝関節屈曲30度の場合に筋活動が増加したのは、膝関節の固定のために働いたと考えられ、GC、TAが膝関節屈曲10度の場合に筋活動が増加したのは、振動刺激が筋紡錘を刺激し、伸張反射を促通するとされる、所謂Tonic Vibration Reflexの影響を著明に受けたためと考えられる.
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