豆類もやし製造における原料豆の貯蔵と浸漬,潅水の温度条件などによる発芽,生長につき検討した。
1. 原料豆の吸水,発芽は浸漬水温,潅水温度や時間に左右される。各原料豆とも浸漬水温30℃が最適であり,収穫後5~7カ月貯蔵の原料豆が最高の吸水,発芽率を示した。原料豆の貯蔵温度は本研究の範囲内では,0℃・(RH85%)が最適であった。貯蔵温度が高く,浸漬水温が低い場合では吸水速度は遅く,原料豆は軟弱となり胚軸部の離脱が多発する。吸水要時間は5~9時間,発芽率は大豆,小豆で82~83%,緑豆90~91%となった。結果,浸漬,発芽は速やかに行い原料豆組織の破壊をまねかぬ様処理することが重要である。浸水,吸水が速やかであれば発芽率も良好で以後の胚軸部の肥大生長も良好で栽培操作が良好となる。また, 30℃・4時間毎15分潅水処理が最適であり,潅水温度は原料豆を軟化,腐敗させる原因となった。
2. 豆類もやしの生長度は,栽培初期(1~3日)に胚軸部の肥大生長期を示し,次いで胚軸部伸長と根部伸長となり,漸次根毛発生から本葉発生へと進行するので,豆類もやし栽培において初期1~3日間の潅水処理が重要不欠可となる。生体重増加は栽培日数の増加とともに大となるが,胚軸部重量は栽培初期より緩慢に低下する。小豆もやしは大豆,緑豆の上述の様相と異り,栽培中期まで増加し,以後漸次重量は低下する。栽培7日以上となると双葉,根毛が発生し,豆もやしの市場性は消失する。
3. 総合的には,原料豆は収穫後5~7カ月間0℃・(RH85%)で貯蔵し, 30℃・5~7時間浸漬し,発芽床に移し30℃・4時間毎15分間潅水を行なえば大豆,小豆で80~83%,緑豆: 90~91%の良好な発芽率となり,以後の栽培もきわめて順調となる。栽培5日前後が市場性最適のもやしとなり大豆15~17cm,小豆7~8cm,緑豆15~17cmの長さとなり,胚軸部の太さは,大豆もやし3.5mm,緑豆もやし2.7mm,小豆もやし3.0mmとなり,良質の豆類もやしが栽培,製造された。
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