本研究では, 3ヶ所のロータリーキルン式産業廃棄物焼却施設で, CFC-11, 12, 113, HCFC-22の4種類の回収フロンを用いて16回の分解処理実験を行い, フロン類の導入技術を示し, 施設の特性を明確にするとともに, 安全・確実にフロン類を分解処理するための適切な施設の条件と運転管理の条件を明らかにした。
すなわち, まず各施設の廃棄物の特性と焼却条件の特徴を定量的に示す方法を提案し, 3ヶ所の施設の特徴を明らかにした。つぎに, 焼却ガス温度850℃程度以上, ガス滞留時間が2秒以上, 水素とハロゲンとの元素比が約30以上, 排ガス中酸素濃度6%以上とすれば, いずれのフロンも99.99%以上分解可能であり, 他の有害な揮発性有機塩素化合物の生成もないことを実証した。また, ダイオキシン類の生成抑制には, 排ガスの冷却速度を大きくする必要があることを示した。
また, 分解に伴って生成する塩化水素やふっ化水素に対する装置の耐久性や排ガス処理設備の能力等を考慮した適切なフロン類の導入量を決定する方法を示し, さらに, 排ガス処理に必要なアルカリ量とそめコストを試算した。
抄録全体を表示