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クエリ検索: "真菌学"
5,130件中 1-20の結果を表示しています
  • 佐藤 俊樹
    日本医
    真菌学
    会雑誌

    2019年 60 巻 1 号 11-14
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/03/04
    ジャーナル フリー
    東北真菌懇話会は,1975年に東北大学皮膚科第4代教授の高橋吉定先生の門下生の方々が,東北から真菌の灯を絶やすまいと結集して設立した「みちのくピルツ同好会」が前身である.1989年に東北真菌懇話会と改称し,真菌に興味のある方は誰でも参加できるようになった.例会は年1回開催され30回を重ねている.永らく笠井達也先生が運営されていたが,2016年から出光俊郎先生が会長として携わっている.2018年からは日本医
    真菌学
    会支部会としても活動し,ハンズオンセミナーも開催している.皮膚科以外でも広い分野で参加を募り,また,些細な疑問でも相談できるような会を目指して,医
    真菌学
    に興味を持つ方々を増やすことができるよう,活動を続けている.
  • 岸井 兼一
    日本薬理学雑誌
    2006年 127 巻 5 号 408-414
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    ルリコナゾールはジチオラン骨格を有し,光学活性な新規イミダゾール系抗真菌薬である.糸状菌,カンジダ属菌,癜風菌等に広い抗菌スペクトルを有し,特に皮膚糸状菌に対して強力な抗真菌活性を示した.Trichophyton (T) rubrumおよびT. mentagrophytesに対するMIC90値は,0.001 μg/mLであった.1%ルリコナゾールクリームをモルモット足底部皮膚に単回または反復塗布したとき,皮膚角層中に高濃度の薬物の貯留が認められ,モルモット足白癬モデルにおいて,短期間塗布で対照薬(塩酸テルビナフィン,ビホナゾール)より優れた治療効果を示した.作用メカニズムは真菌細胞膜の構成成分であるエルゴステロール合成系のラノステロール-14α-デメチラーゼ活性の阻害作用である.これまで実施されてきた足白癬に対する臨床試験では,その殆どが4週間の塗布期間でおこなわれてきた.ルリコンの臨床試験では塗布期間を半分の2週間で行い,塗布開始後4週間目に有効性判定した.第III相試験では足白癬に対し,ルリコンクリーム1%は2週間塗布(その後2週間はプラセボ塗布),対照薬(1%ビホナゾールクリーム)は4週間塗布で比較試験を実施し,塗布開始後4週目の時点で判定した結果,皮膚症状改善度はそれぞれ91.5%,91.7%,
    真菌学
    的効果は76.1%,75.9%となり,ルリコンクリーム1%および対照薬の皮膚症状改善度ならびに
    真菌学
    的効果はいずれもほぼ同等であり非劣性が検証された.ルリコンクリーム1%は短期間塗布で優れた臨床効果を示した.足白癬以外にも生毛部白癬,皮膚カンジダ症,癜風に対する臨床効果においても,これまで実施されてきた半分の塗布期間である1週間塗布で行い,優れた有効性安全性を確認した.また,ルリコン液1%は,2週間の塗布でルリコンクリーム1%とほぼ同等の有効性,安全性結果が得られた.
  • 西本 勝太郎
    Medical Mycology Journal
    2016年 57 巻 3 号 J113-J116
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    真菌症の診断は,皮膚科領域において重要な部分であるにもかかわらず,その教育は十分に行われていないとの指摘がある.皮膚病診療において必要な医
    真菌学
    的知識の取得や,技術的な支援をどのように行うべきかを,研修の各時期について検討した.
    皮膚科専門医への研修期間を通じて強調すべきものが,皮膚真菌症の診断技術を上げることによって得られる,患者側と医療側双方の利益を確認させることであり,これには単なる治療効果のみならず,現行の保険制度における技術の評価,報酬まで含ませるべきである.
    全国的には,原因菌種の同定から治療に際しての適切な助言を与えられる数ヵ所の施設を整備し,機関誌などを通じて周知させることである.このような施設での,専門的な研修コースも学会としての取り組みの1つとしたい.現在行われている地域ごとの研修会や講演会と同時に,医真菌症の専門医として現場からの要請に応えて技術的な助言と支援のできる,地域に密着した身近な相談窓口となる医師の推薦も必要である.
    皮膚科医としての研修を始めた初期の段階の医師に対し,まず真菌症に興味をもたせることが第一にすべきことである.このためには,単に真菌症についての解説のみならず,皮膚疾患のなかにおける真菌症の位置づけ,
    真菌学
    的検査によって得られる成果などとともに,自然界における真菌の生態までを含めた解説も必要となる.
  • 深沢 義村
    日本医
    真菌学
    会雑誌

    1992年 33 巻 1 号 65-66
    発行日: 1992/01/25
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
  • 秋葉 朝一郎
    真菌と真菌症
    1960年 1 巻 1 号 2
    発行日: 1960年
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
  • *山口 英世
    日本医
    真菌学
    会総会プログラム・抄録集

    2006年 50 巻 MI
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    わが国の医
    真菌学の発展に中心的役割を担ってきた日本医真菌学
    会は、本年創立50周年を迎えた。本学会の半世紀の歴史の重みとともに、医
    真菌学
    の重要性がますます大きくなっている現状に新たな感慨を覚える。それと同時に、本学会創立の遙か以前からわが国における医
    真菌学
    が辿ってきた道程にも思いをはせざるを得ないのである。 丁度40年前、本学会創立10周年にあたって故高橋吉定名誉会員は「わが国医
    真菌学
    の回顧」と題する記念講演を行った。そのなかで高橋博士は、第1期(明治20年頃?大正期末)、第2期(昭和期初頭?昭和20年)、第3期(昭和21年以降)、の3つの発展段階に分け、それぞれの時期の特色としてヨーロッパの医
    真菌学
    の影響が強いこと、太田正雄によるわが国独自の医
    真菌学
    の確立、および米国の医
    真菌学
    の影響が強くなったこと、をあげている。この第1期と第2期は、真菌症といえばほとんどすべてが表在性真菌症とくに皮膚糸状菌症であり、したがって研究の対象となる真菌も皮膚糸状菌にほぼ限られ、もっぱら光学顕微鏡的形態学に基づく分類学が主流となっていた。それを代表する研究者が太田正雄であり、彼の優れた研究者、教育者としての活躍によってわが国の医
    真菌学
    の基礎が築かれることとなった。 高橋博士がいう第3期は、日本の医
    真菌学
    にとっても大きな変革の時期であった。それをもたらした最大の原因は、昭和30年代に顕在化した全身性、侵襲性のカンジダ症やアスペルギルス症をはじめとする深在性真菌症の発生率の急激な上昇である。それまでほとんど皮膚科領域でのみ扱われていた真菌症が、今や大半の臨床医学領域が直面するより深刻な問題と化し、昭和30年の文部省科学研究費総合研究「カンジダ症」班の発足に続いて、翌年本学会の設立をみるに至った。 さらに昭和期後半には、生物学のあらゆる分野において研究もその方法論も急速に進歩した。生物学の様々な知識と合わせて、微細形態学(電子顕微鏡法)、生理・生化学、血清・免疫学などの新しい手法の導入によって、医
    真菌学
    の基礎研究および臨床研究は飛躍的に発展したのである。加えて、有用な抗真菌薬の相つぐ開発と実用化は、この発展をさらに加速させることとなった。これらの状況を背景に、皮膚真菌症から深在性真菌症へと診療・研究の対象が拡大するとともに、従来主流とされた分類学をはじめとする真菌生物学(菌学)中心の研究から、新しい診断法、治療法の開発を目標とする臨床応用的研究へと流れが変わった。 続く平成の時代に入って、医
    真菌学
    は第4期ともよぶべき新たな発展段階を迎えた。その原動力はいうまでも分子生物学(遺伝子操作、ゲノミクス、プロテオミクス)とコンピューター技術(インフォマティクス)の急激な勃興と進歩であり、医
    真菌学
    研究の分野にも大きなブレークスルーをもたらしつつある。
  • 福田 俊平, 楠原 正洋, 十亀 良介, 谷 直実, 大畑 千佳, 橋本 隆
    日本皮膚科学会雑誌
    2014年 124 巻 2 号 167-171
    発行日: 2014/02/20
    公開日: 2014/03/19
    ジャーナル 認証あり
    本邦における10歳代の足白癬の頻度や実態を把握する目的で,福岡県久留米市の中高一貫校生徒を対象に足白癬の疫学調査を実施した.全生徒(1,068名,男子生徒993名,女子生徒75名)における罹患率は1.97%(男子生徒2.10%,女子生徒0%)であり,病型としては趾間型が大半を占め,角質増殖型や足爪白癬の合併はみられなかった.菌学的所見より同定した分離菌はすべてTrichophyton mentagrophytesであり,分子生物学的にはすべてTrichophyton mentagrophytes var. interdigitale/Arthroderma vanbreuseghemiiと一致した.自宅通学生徒と比較し,寮生徒の罹患率が高い傾向にあった.これまでの全年代を対象とした疫学調査と比較すると,中学・高校生における足白癬罹患率は低いものの,寮生活など集団内で感染リスクが高くなる可能性も示唆されたことから,中学・高校生を中心とした10歳代においても足白癬の積極的な診断・治療が不可欠である.
  • 庭野 吉己, 金井 和夫, 浜口 洋, 内田 勝久, 山口 英世
    The Japanese Journal of Antibiotics
    1995年 48 巻 1 号 146-149
    発行日: 1995/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    抗真菌剤Lanoconazole (LCZ) の白癬菌に対する殺菌的活性, およびLCZ耐性獲得の可能性をin vitro条件下で検討した。セロファン膜測定法により測定したLCZのTrichophyton mentagrophytes6株およびTrichophyton rubrum 6株に対する最小殺菌濃度 (MCC) は0.063~0.5μg/mlの範囲内に分布し, 対照薬剤のBifonazole (MCC: 16~32μg/ml) よりも強い殺菌的活性を示した。LCZ含有サブロー平板培地上でT. mentagrophytes 2菌株を15代に亘って継代培養を行った結果, その間LCZ感受性の1/4以下の低下は認あられなかったことから, T. mentagrophytesのLCZ耐性獲得能は低いことが示唆された。
  • 澁谷 和俊
    日本医
    真菌学
    会雑誌

    2023年 64 巻 4 号 103-105
    発行日: 2023/10/31
    公開日: 2023/11/30
    ジャーナル フリー
     わが国における医
    真菌学
    の黎明期から今日に及ぶ病理学との関わりについて概説した.基礎医学や臨床医学のみならず,農学や獣医学などの幅広い研究分野からなる医
    真菌学
    の一部は,病理学ときわめて近い連関性を有している.医
    真菌学
    が学会として組織的に活動を開始した当初は,病理学に造詣の深い医
    真菌学
    者の講演が目立つ.やがて,病理診断学の発達や研修医制度の施行と相まって病理学の専門性が高まり,病理学の専門家として病理医が医
    真菌学
    に関与するようになった.この過程でわが国の医
    真菌学
    に大きな足跡を残した先達の病理学者数名の業績を紹介した.最後に医
    真菌学
    と病理学の協同進化の重要性に触れた.
  • 中嶋 弘
    医療
    1970年 24 巻 2 号 131-139
    発行日: 1970/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    Dermatomycosis in which the pathogenic microorganisms could be recognized in this hospital were summed up to 561 during two years from January 1, 1967 to December 31, 1968: these cases occupied about 11.5% of the total number of the new patients and about 8.4% of the total skin-diseases during the same period. Trichophytia was 82.0% of the total dermatomycosis and it was all superficial trichophytia except each one case of Kerion Celsi and sycosis trichophyticus s, parasitaria. The dermatophytes were cultivated as to all the cases of trichophytia and 230 strains were obtained during 198: there were contained 170 strains of Tricltophyton rubrum (73.9%), 56 of Triclzq hytcn nuntagrcphytcs (24.3%), 3 of Epidermophyton floccosum, and 1 of Microsporum gyfreum. The successful separation ratio was about 83.6%. Pityriasis versicolor was about 5.3% of the total-dermatomycosis, which contained a case of a 4- month-old girl whose forehead was attached with the disease. Cutaneous candidiasis was about 11.9% of the total dermatomycosis and was all caused by Candida albicans. Interdigital erosion was most observed next to paronychia and onychia. An obvious relation was seen between these types of candidiasis and washing or scullery work, considering the particular circumstances in this district. Candidiasis was found in the parts under goldring, sticking-plaster and adult-diaper as uncommon cases;these cases were much or less “interitrigo”: only one case on the nose having no relation with “intertrigo” was seemed to be a medically caused disease due to corticosteroid ointment. Among the cases of Trichophytia, there were observed con-siderably many cases seem to be medically caused. Though erythrasma were observed in three patients, its precise reports are shown in a table only here as it is now thought to be a bacterial disease. As Atami district is a warmer part in Japan and one of the most famous spa and resort, there are seen particular structures of population and occupation in this district. Considering such circumstances, dermatomycosis was studied clinically and mycologically, but extreme difference was not observed comparing the findings at Atami with the reports about other districts in Japan, except the relations between occu-pation and some of candidiasis.
  • 庭野 吉己, 近江 哲人, 金井 和夫, 浜口 洋, 内田 勝久, 山口 英世
    The Japanese Journal of Antibiotics
    1995年 48 巻 1 号 140-145
    発行日: 1995/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Candida albicans保存株9株および皮膚カンジダ症患者から得られたC.albicans新鮮分離株10株に対するLanoconazole (LCZ) のin vitro抗菌活性をSABOURAUD's glucose broth (SGB) を用いた液体希釈法ならびにSABOURAUD's glucose agar (SGA) およびCasitone agar (CA) の2種の培地を用いた寒天希釈法により測定した。その結果, 保存株および新鮮分離株ともCAで測定したLCZのMICは0.63~5μg/mlの範囲に分布し, SGBおよびSGAでのそれに比し8~64倍低い値となった。また, 試験培地ごとに得られたLCZのMICの分布範囲およびその幾何平均値を保存株と新鮮分離株で比較すると, 両者間に大差は認めず, 両者は基本的に同一感受性をもつことが示された。
    上記の成績より, C. albicans保存株および新鮮分離株のいずれもLCZに対して基本的に同一感受性をもっこと, およびLCZの抗カンジダ活性はSGBやSGAに比しCAでより高感度に検出されることが明らかとなった。
  • 竹中 基
    日本皮膚科学会雑誌
    2022年 132 巻 9 号 2115-2124
    発行日: 2022/08/20
    公開日: 2022/08/23
    ジャーナル 認証あり

    表在性真菌症では,部位や年齢によって主たる原因真菌が異なる.頭部・顔面・体部では,20歳以上ではTrichophyton(T.)rubrumだが,0歳~9歳ではMycrosporum(M.)canis,10歳~19歳では,T. tonsuransである.また,M. canisは,頭部・顔・体部白癬では10歳以上でも1~2割程度検出される.それ以外の白癬では,年齢にかかわらずT. rubrumが最も多い.ただ,その傾向は,年代によって変化してきている.深在性真菌症では,免疫抑制状態に基づくとされる黒色菌糸症や皮膚クリプトコッカス症は増加傾向であり,免疫抑制状態に左右されないスポロトリコーシスや黒色分芽菌症は減少傾向である.近年菌名の変更が行われており,T. mentagrophytesT. interdigitaleSporothrix(S.)schenkiiS. globosaとなっている.

  • 第2報臨床的検討
    渡辺 晋一, 高橋 久, 中村 遊香, 中村 絵美, 西山 雄一, 手塚 万由里, 山口 英世, 内田 勝久, 富澤 尊儀, 下妻 道郎, 長田 厚, 河野 志穂美, 中内 洋一, 湧川 基史, 後藤 敦子, 上田 純嗣, 松川 中, 久保 正英, 皆見 春生, 有川 順子, 相馬 良直, 池 亨仁, 玉置 邦彦
    The Japanese Journal of Antibiotics
    1996年 49 巻 12 号 1095-1108
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    承認後10年目を迎えたイミダゾール系外用抗真菌剤Bifonazoleの足白癬に対する有用性を評価するために, 141例の足白癬患者に対してBifonazole 1%含有のマイコスポール®クリームを1日1回, 4週間投与し, その臨床効果と副作用, 分離真菌の薬剤感受性と
    真菌学
    的効果との関係および過去の成績との比較を検討し, 以下の成績が得られた。
    1.
    真菌学
    的効果真菌陰性化率は, 小水疱型63.2% (36/57), 趾間型94.1% (32/34), 足白癬全例では, 74.7% (68/91) であった。
    2. MIC別
    真菌学
    的効果原因真菌に対するBifonazoleのMICと真菌消失率との間に相関性が認められなかった。
    3. 皮膚症状改善度皮膚症状の改善率は, 小水疱型82.5%, 趾間型85.7%, 足白癬全例では83.7%であった。
    4. 総合臨床効果有効率は, 小水疱型61.4%, 趾間型88.6%, 足白癬全例では71.7%であった。
    5. 安全性副作用は, 127例中5例 (3.9%) に接触皮膚炎と考えられるものがみられたが, いずれの症例も軽快または消失した。
    6. 有用性有用率は, 小水疱型64.9%, 趾間型88.6%, 足白癬全例では73.9%であった。
    7. 過去の成績との比較今回の臨床試験で得られた成績は, 新規外用抗真菌剤の開発段階で実施された二重盲検比較試験で本剤が投与された足白癬症例の成績とほぼ同等であった。
    以上の結果から, マイコスポール®クリームは, 承認後10年にわたり皮膚真菌症の局所療法として汎用されておりながら, 今日においても有用な薬剤であることが確認された。
  • 加納 塁
    日本医
    真菌学
    会雑誌

    2024年 65 巻 1 号 7-10
    発行日: 2024/01/31
    公開日: 2024/02/29
    ジャーナル フリー
     Trichiohyton indotineaeによる白癬は国内においても2020年から散見され,今後拡大する懸念がある.そのため皮膚科診療の参考となるように,分離同定および薬剤耐性機構,国内外の分離状況について解説したい.患部の落屑・痂皮などの鏡検後,菌体成分を確認し,定法に従ってマイコセル寒天培地などの皮膚糸状菌分離培地上に試料を接種する.マイコセル寒天培地およびサブローブドウ糖寒天培地上では発育が旺盛で,集落は白色から淡黄褐色の扁平で短絨毛状または粉末状で,Trichophyton interdigitaleと酷似している.そのため同定法としては,臨床所見(広範囲な体部白癬),ウレアーゼ試験を参考にして,分離株のリポソームのinternal transcribed spacer(ITS)領域のシーケンスを行い,National Center for Biotechnology Information(NCBI)サイトのBasic Local Alignment Search Tool(BLAST)検索にかけて,登録されているT. indotineaeと100%と一致すれば同定することができる.著者が把握している国内での分離状況は,東北,関東,九州の複数個所における体部白癬から分離されている.患者の多くは外国籍であるが,海外の渡航歴のない日本人からも分離され始めたので,国内の感染拡大が危惧される.渡航者も使用する可能性のある共有物から感染する可能性があるため,公衆衛生の指導が必要である.
  • 西本 勝太郎, 一ノ瀬 弥久, 竹中 基, 室田 浩之
    日本医
    真菌学
    会雑誌

    2024年 65 巻 1 号 1-5
    発行日: 2024/01/31
    公開日: 2024/02/29
    ジャーナル フリー
     長崎県諫早市の一皮膚科診療所における,粘着セロファンテープを利用した,体部白癬,股部白癬の,最近12年間における原因菌検索結果を報告した.
     検索を行った試料は254検体,同定された菌株は,Microsporum canis 49(男7,女42),Trichophyton tonsurans 39(男31,女8),Trichophyton rubrum 73(男42,女31),その他18で,培養陽性率は70.5%であった.
     M. canisは年少者と年長女性に多く,ペットとの接触による感染をうかがわせた.T. tonsuransはほとんどが高校の接触競技者とその関連であり,男性が79.5%であった.この両菌種は一時の全国的な流行の後,菌相の一員として定着しているものと考えられた.
     T. rubrumはわが国における最も重要な菌種であり,今回の調査でも性別,年齢をこえて分離され,特に男性高齢者に多い傾向があった.足白癬,爪白癬との関連で注意を要する菌である.
     粘着セロファンテープを利用した試料の採取は簡単で,そのまま同定が可能なこともあり,患者の診療のみならず,疫学的なデータの収集にも有用なことを確認した.
  • 小山 智史, 小川 尊資, 小川 祐美, 比留間 政太郎, 池田 志斈
    日本医
    真菌学
    会雑誌

    2023年 64 巻 4 号 99-102
    発行日: 2023/10/31
    公開日: 2023/11/30
    ジャーナル フリー
     頭部白癬は,毛髪に白癬菌が寄生した状態で,近年の主たる原因菌はMicrosporum canisTrichophyton tonsuransである.ケルスス禿瘡は,頭部白癬の病型の1つで,白癬菌の寄生した毛髪(毛包)を中心とした急性化膿性病変である.頭部白癬の経過中に膿疱が出現し,腫脹,結節,膿瘍を形成し,しばしば瘢痕脱毛を生じる.湿疹と誤診されてステロイド外用により誘導される症例も多く,早期の適切な診断と治療が必要である.
     今回われわれは,発熱および倦怠感を生じ入院加療を要した5歳児のケルスス禿瘡の1例を経験したので報告する.
  • 掛屋 弘
    日本医
    真菌学
    会雑誌

    2023年 64 巻 3 号 73-76
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/31
    ジャーナル フリー
     日本医
    真菌学
    会では,これまでに代表的な深在性真菌症の診断・治療ガイドライン〔侵襲性カンジダ症(2013年),侵襲性カンジダ症に対するマネジメントのための臨床実践ガイドライン(2021年に改定),アスペルギルス症(2015年),クリプトコックス症(2019年)〕を発刊してきた.今回,澁谷和俊理事長を委員長に,発症頻度はまれであるが臨床的に重要な真菌症であるムーコル症,トリコスポロン症,フサリウム症,スケドスポリウム症,マラセジア症,および輸入真菌症(ヒストプラスマ症,コクシジオイデス症,パラコクシジオイデス症,ブラストミセス症,マルネッフェイ型ペニシリウム症),さらに注目されているCandida auris等を対象として,それらの眼病変や病理像の解説を加えた「希少深在性真菌症の診断・治療ガイドライン」を作成中である.また今回,設定した複数のクリニカルクエスチョンに対して有志によるワーキンググループがシステマティック・レビューを行い,新たなエビデンスの創出にも挑戦している.
  • 猿田 隆夫, 矢口 貴志, 佐野 文子, 猿田 祐輔
    日本医
    真菌学
    会雑誌

    2023年 64 巻 2 号 67-69
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/05/31
    ジャーナル フリー
     Nannizzia fulvaによる足爪白癬の1例を報告した.17歳女性.約1年前から右第1趾爪に白色混濁肥厚がみられた.直接鏡検で真性菌糸が認められ,マイコセル培地25℃の培養で比較的すみやかに発育する乳白色絨毛状のコロニーが得られた.スライドカルチャー所見で,特徴的な大分生子が豊富にみられた.スライドカルチャー所見および分子生物学的解析結果から,N. fulvaと同定した.イトラコナゾール内服,5%ルリコナゾール外用により5ヵ月後略治した.文献検索の結果,これまでにN. fulvaによる爪白癬の報告はなく,国内第1例目の症例と思われた.
  • 仁木 誠, 掛屋 弘
    日本医
    真菌学
    会雑誌

    2023年 64 巻 2 号 59-66
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/05/31
    ジャーナル フリー
     深在性真菌症はひとたび免疫不全宿主に発症すれば急速に進行する予後不良の感染症であり,早期の診断と適切な抗真菌薬の選択が不可欠となる.真菌同定において生化学的検査や形態学的検査は今なお主要な検査法であるが,より迅速かつ正確に原因真菌を同定するためには,質量分析装置や遺伝子検査の活用が求められる.加えて,血液などの無菌検体より真菌を検出した場合や本来感受性のある抗真菌薬を投与しているにもかかわらず,治療に難渋する場合などでは薬剤感受性試験も重要となる.検査にあたる臨床検査技師は病原真菌や真菌検査に関する知識や技術を習得し,常に抗真菌薬適正使用支援に貢献できる検査データを提供していくことが求められる.また,当院では2016年より近隣の医療機関からの検査依頼を受け入れ,病原真菌の同定や薬剤感受性試験の実施による真菌症診療支援を行っている.同定依頼を受けた菌種にはAspergillus属の類縁種や担子菌門に属する糸状菌も含まれており,分生子の形成が乏しく白色調の集落を呈する場合や菌糸のみの場合に多くの施設が同定に苦慮していることが示唆された.
  • 木村 俊一, 柴多 渉, 冲中 敬二, 阿部 雅広, 荒岡 秀樹, 三村 健介, 戸所 大輔, 掛屋 弘
    日本医
    真菌学
    会雑誌

    2023年 64 巻 3 号 87-95
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/31
    ジャーナル フリー
     ムーコル症,フサリウム症,トリコスポロン症,スケドスポリウム症などの希少深在性真菌症の診断・治療の多くはエビデンスが限られる.今回,希少深在性真菌症の診断・治療ガイドライン作成にあたり,システマティックレビューワーキンググループ(WG)が立ち上げられた.WGでは委員から候補となるクリニカルクエスチョン(CQ)があげられ,そのなかから,ムーコル症について2つ(治療期間,抗真菌薬の併用療法),フサリウム症(単剤,併用療法のどちらが推奨されるか),トリコスポロン属血流感染症(初期治療の第一選択),スケドスポリウム症(初期治療の第一選択)について1つずつ,また,眼感染症から糸状菌による内因性眼内炎の治療の6つのCQに取り組むことが決定された.システマティックレビューを進め,2022年10月の第66回日本医
    真菌学
    会総会・学術集会で進捗状況を報告した.本稿では,その後の進捗も含めて,システマティックレビューWGの取り組みについて報告する.
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