ボランティアをめぐる議論は,活動者の増加や関心の高まりの一方で,
受け入れ側からは活動者の確保の困難性という見解が提示されている本
稿では,ボランティアをめぐる楽観論と悲観論を読み解く上で,従来とは
異なるボランティアが出現しつつあることに着目し「エピソディック・
ボランティア」という概念を用いて整理した.そして,社会福祉協議会設
置のボランティアセンターへの聞き取りを行い,このような外部環境の変
化に対して, どのように認識し対応をしているのかを明らかにし,対応の
妥当性について検討した.
エピソディック・ボランティアは,①文化,②組織,活動分野,活動の
選択,③参加の期間と量,④受益者との関係において,従来型のボランティ
アとは異なると指摘されている.そして,自己実現を目的に組織への短期
的な参加を好むが,個人の中では連続性を持った活動となる.
このような外部環境の変化に対しての支援は,その方向性は示されて
いても十分に確立されているとは言い難いことが確認された.特に,ボ
ランティアの自由意志と継続の困難性には,継続性を意識した活動支援
だけでなく連続性を意識した支援が求められる.そのため,今後は単独
組織を基盤にするのではなく,地域社会を基盤に複数の組織とボランティ
アをも巻き込んだ協創の視点による支援が必要となる.そして,社協ボ
ランティアセンターには協創の取り組みの中核組織としての役割が期待
される.
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