肝性脳症
を呈したporta-systemic shunt症例に対し, 早期胃癌手術の際, shunt血管を結紮し, 肝機能の改善をみた症例を経験した. 症例は70歳の女性, 見当識障害にて来院, 血中アンモニア濃度199μg
llと高値を呈し, 血管造影検査にて左胃-短胃静脈-左腎静脈のporta-systemic shuntが確認され,
肝性脳症
の原因と診断した. 上部消化管内視鏡検査にて早期胃癌が発見されたため, 幽門側胃切除術施行. 術中門脈圧測定をshunt閉塞前後で行い, 門脈圧の上昇を認めず, 門脈造影上, 肝内外門脈に形成不全を認めなかったため1期的にshunt 閉鎖術を施行した. 術後経過良好であり, 以後肝機能検査値もほぼ正常化した. 肝硬変を伴わないporta-systemic shuntによる
肝性脳症
に対しては, shunt血管閉塞前後の門脈圧の計測や門脈造影などの評価を行えば, shunt閉塞により良好な予後が期待できると考えられる.
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