本研究は, カン・ビンの回収において, デポジット施策の導入が消費者行動にどのような変化を及ぼすかを分析するためのモデルを作成することを目的としたものである。そのために, まず, 効用最大化理論に基づき消費者行動モデルを定式化し, 次に, デポジット施策が実施されたときの消費者の行動変化に関する意識調査データに基づいてモデルのパラメータを推定した。意識調査においては, デポジットの方式として既に用いられている上乗せ方式と奨励金方式に加え, 新たにこれらの併用方式を提案した。モデル推定においては満足できるモデルが得られ, デポジット施策が導入されたときの消費者行動を推定されたモデルに基づき解説した。その後, このモデルを用いることにより, 調査で示したデポジット施策の3方式別に, 上乗せ金額や奨励金額の違いによる飲料の購入本数やカン・ビンの返却本数の推定を行うことができることを示した。
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