山岳地域における事故や
遭難
が多発しており,警察庁が毎年発表する「山岳
遭難
の概況」では1961年の発表開始以来,今日まで増加傾向が続いている.行政や山岳団体による啓発活動等が行われてきたが,増加傾向に歯止めをかけ,山岳
遭難
事故を減少させるような具体的対策はいまだ見出されておらず,有効な
遭難
防止策の立案と実行が急務である.
事故の背景や発生原因等を,登山者の属性や行動特性との関連から解き明かすために, 2020年9月~10月に, コロナ禍を受けての登山日数や対象山域,宿泊形態,事故への備え等の質問も加えた全国規模のWebアンケートを実施した(全44問,有効回答3248件).
予定も含めた年間登山日数については,2019年は11~20日が最多(23.4%)であったが,5日未満が25.0%となり, 近郊の低山が増える(41.0%),日帰り登山が主流になる(50.9%),テント泊を行う(25.5%)等の変化も見られた.また,約52%の人が事故に備える意識には変化がないと答えており,登山道の未整備状態や山小屋の営業中止,救助隊員の感染予防の必要性等の状況も続く中での,安全面への課題も明らかになった.
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