各種繊維素材の平織物と絹織物のフラウンホーファ像を対比し, 光回折手法による絹織物構造の数値化の検討を行い, 次の事項を明らかにした。
1. フィラメント糸織物は織糸の斑が少ないため回折パターンの次数は高く, 5~6次を示す。スパン糸織物は織糸の節や斑のために, パターンの次数は3以下である。
2. パターンの次数は製織斑よりも織糸の斑の方が大きく影響する。
3. 本手法は相対的な手法であるために,
開口率
からパターン情報を補正する必要がある。この
開口率
は5種類が考えられた。そして, 織物の構造因子である織糸の量から計算した
開口率
I
0と実際の
開口率として開口率
IIを求めた。
4. この
開口率
I
0でパターンの次数を補正し, パターン指数を求めた。この値は織物構造特性とよく対応する。このパターン指数と
開口率
を対比し, 実際の
開口率
による補正を加えることにより, パターン指数は織物のテクスチャー (表面状態) を順位づけることが出来ると推察された。
5. 絹羽二重は独特のパターンをもち, 合繊織物にはそれに相当するパターンは見られなかった。
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