屋久島各地で分離された
B. thuringiensis 53株について, カイコ,
Bombyx mori ならびにヤマトヤブカ,
Aedes japonicus に対する殺虫活性を検討すると共に, これら菌株が保有する
cry遺伝子の同定をPCR法によって行った。
PCR法に供した oligonucleotide primer は, 生物検定にカイコならびにヤマトヤブカを材料とした関係上,
cry1Aa, 1Ab, 1Ac, 1Ba, 1Ca, 1Da, 1Ea, 1Fa, 2Aa, 4Aa, 4Ba, 10Aa, 11Aa遺伝子用に用意した特異配列とした。
serovar
kurstaki 24株のcry遺伝子は Jano 9-2-2 1株のみが serovar
kurstaki HD-2タイプの
cry1Ac, 1Ab, を保有していたが, 残る23株はHD-1タイプの
cry1Aa, 1Ab, 1Ac, を保有していた。また,
cry2Aaについては serovar
kurstaki すべてが保有していた。serovar
galleriae 14株はすべて
cryAbと
cry2Aa遺伝子を保有していた。本実験において, それぞれの serovar 基準株と比較して
cry遺伝子比較して
cry遺伝子構成が異なっていた菌株は serovar
thuringiensis Koma3k-1, serovar
kenyae Onos2-3, serovar
israelensis Aiko2-1-1であった。
殺虫活性検定において, カイコに対する殺虫活性から対照区として供試した serovar
kurstaki HD-1を上回るLD
50値を示したのは serovar
kurstaki Jano 9-2-1であり, また, ヤマトヤブカに対する殺虫活性が対照区として供試された serovar
israelensis を上回ったのは Aiko 2-1-1であった。これらの2株については新たなcry遺伝子構造を有する可能性が示唆された。
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