逆浸透法で馬鈴薯汁液を濃縮処理する場合の技術課題である, 馬鈴薯成分の季節変化による逆浸透処理性能低下原因の解明, および性能低下防止対策について実験した. 馬鈴薯汁液の組成は, 殿粉製造開始後約2カ月 (9~10月) 間はほぼ一定で, 以後製造が終了する12月中旬にかけて汁液中の全蒸発分濃度が増大する. これと同期して, それまで実施していた膜洗浄では除去できない汚染物が膜面に付着し, 逆浸透処理性能が低下する.
この原因は, 汁液中のチロシンなどポリフェノール類を含むたん白質が酸化され生成したメラニン質の膜汚染物が膜面に付着したためである.
膜汚染物のメラニン化防止には, 装置を密封構造とし空気と汁液の接触を防ぎ, かつ, 汁液を高pH (pH≧6), 低温度 (≦25℃) 領域に保ち, たん白質の酸化速度を低下することが有効である. これらの対策を施した装置により, 殿粉製造期間 (9月上旬~12月中旬) を通して, 安定した逆浸透処理性能が得られることを明らかにした.
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