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56件中 1-20の結果を表示しています
  • 小西 陽一, 福冨 文武
    日本食品化学学会誌
    2008年 15 巻 2 号 51-56
    発行日: 2008/08/20
    公開日: 2017/12/01
    ジャーナル フリー
    Threshold of toxicological concern(TTC) concept has been applied by JECFA which was established by the cooperation of FAO and WHO and it is the method to evaluate the toxicity of environmental chemicals and to determine human exposure threshold value by the chemical structures and the reliable exposure estimates which does not affect the human health. The characteristics of flavoring substances are often the components of usual food, known chemical structures, very low dose exposure, and the lacking toxicological data of many of them. TTC concept has been utilized for the risk assessment of flavoring substances in U.S. and Europe and the decision trees for the assessment process are different between Japan and U.S. or Europe. Now-a-days, great attentions have been paid by consumers to the safety of food containing flavoring substances and therefore, it is important issue to supply the exact knowledge for the safety of flavoring substances per se to the consumers. In this paper, it is discussed that the test systems of flavoring substances for risk assessment by collecting useful information internationally. It is considered that the risk assessment of flavoring substance might be performed in the different way from that of other environmental and intended to be proposed decision tree using TTC concept for flavoring substances.
  • *鈴木 雅之, 飯塚 叔子, 槇島 聡, 土井 悠子
    Journal of Applied Glycoscience Supplement
    2010年 2010 巻 Cp1-8
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/11/02
    会議録・要旨集 フリー
  • 河部 真弓
    谷本学校 毒性質問箱
    2016年 2016 巻 18 号 71-79
    発行日: 2016/09/28
    公開日: 2022/12/26
    解説誌・一般情報誌 フリー

     環境中には多くの化学物質が存在しており、さらに科学技術の進歩により次々に新しい医薬品、農薬、食品添加物、生活に必要な化学物質あるいは生産過程で必要な化学物質など、多種多様なものが作り出されている。我々はその多くのものの恩恵にあずかっている一方、中には発がん性を示す物質もあり、健康に多大な影響を及ぼしているのも事実である。そのような発がん物質の検索には従来より、ラットあるいはマウスといったげっ歯類を用いた長期がん原性試験が実施されてきた。このがん原性試験では、非常に多くの動物を使用し、またその結果が得られるまでには3年以上の期間と、莫大な費用を要することから、膨大な数の化学物質についての発がん性を調査するのはほぼ不可能と言っても過言ではない。

     短期で発がん性をスクリーニングする方法として、Ames試験などのin vitroでの種々の遺伝毒性試験が開発されてきたが、非遺伝毒性物質であるbutylated hydroxyanisole(BHA)に発がん性が報告1)されてから多数の非遺伝毒性物質に発がん性が証明され、in vitroの遺伝毒性試験のみで評価するのは不十分であり、発がん性の有無、あるいは標的臓器を総合的に評価するためにはin vivoでの試験法が必要不可欠とされた。そこで注目されたのが当時の名古屋市立大学医学部第一病理学教室の伊東信行教授らが開発を手掛けていた「中期発がん性試験法」である。

     発がんはイニシエーションおよびプロモーションの過程を経て起こるとされている。この「中期発がん性試験法」はその仮説に基づいて短期間で発がん性を検索する試験法である。つまり、イニシエーションとして発がん物質を投与して発がん標的臓器の細胞に変異細胞を形成させ、次にプロモーションとして変異した細胞が増殖して前がん病変が形成される。 その病変の程度を指標として発がん性の有無を評価するのがこの「中期発がん性試験法」である。

     「中期発がん性試験法」には、肝臓、皮膚、甲状腺、胃、大腸、腎臓、膀胱あるいは乳腺を標的臓器とするモデル2-16)、あるいはこれらの臓器を含めた多臓器を標的とするモデル17,18)が開発されてきた。このうち、肝臓および多臓器を標的とする試験法は、1997年に行われた第4回日・米・EU医薬品規制調和国際会議(ICH)の中で、長期がん原性試験の代替法として推奨され、その後、1999年厚生省医薬安全局審査管理課長通知として「医薬品のがん原性試験に関するガイドラインの改正について」が発出され「がん原性検出のためのin vivo追加試験」として明記されるに至っている。さらに、この中期発がん性試験と同じく「トランスジェニックマウスを用いた短期発がん性試験法」も代替法として認められている。今回は300以上もの化学物質の検索データを持つ「中期肝発がん性試験」、ガイドラインにも明記されている「中期多臓器発がん性試験」、また近年、経皮剤開発に必要不可欠となってきた「中期皮膚発がん性試験」、さらにトランスジェニックマウスと中期発がん性試験法を組み合わせた「超短期皮膚発がん性試験」について紹介する。

  • *杉山 大揮, 沼野 琢旬, 宇田 一成, 森岡 舞, 土井 悠子, 河部 真弓, 米良 幸典
    日本毒性学会学術年会
    2017年 44.1 巻 P-82
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/29
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】医薬品市場では近年、iPS細胞を始めとする再生医療分野が新薬開発の新たな担い手として注目され、これからの成長産業のひとつである。再生医療製品の開発においては、細胞の腫瘍形成のリスクが最も懸念される問題であり、造腫瘍性細胞の有無を評価するための「造腫瘍性試験」は重要な動物実験であると位置付けられている。そこで今回、より高感度にヒトの細胞や組織の生着を示す重度免疫不全動物(NOGマウス)を用いて、高性能無菌飼育装置(個別換気システム)飼育環境下における各種毒性学的パラメータについて検証した。
    【方法】動物は7週齢の雌雄NOGマウス(NOD/Shi-scid,IL-2RγKO Jic);(インビボサイエンス株式会社)を用い、13週飼育試験(雌雄各20匹を2匹/ケージで飼育)及び26週飼育試験(雌雄各10匹を3~4匹/ケージで飼育)を実施した。高性能無菌飼育装置(個別換気システム)は、MSRSⅡ(ORIENT BIO Inc.)を使用した。一般状態の確認・体重推移・摂餌量・摂水量・血液学的検査・血液生化学的検査・肉眼的病理学検査・器官重量・病理組織学的検査について、13週飼育試験と26週飼育試験の比較を行った。
    【結果・まとめ】13週飼育試験において一般状態では、飼育期間中を通して、鼻部の脱毛(2/40例)、後肢の創傷(2/40例)がみられたが、その他に特記すべき異常所見はみられなかった。体重・摂餌量・摂水量では、飼育期間中を通して特記すべき変化はみられなかった。血液学的検査・血液生化学的検査・器官重量では背景データと比較して特記すべき変化はみられなかった。現在、13週飼育試験の病理組織学的検査及び26週飼育試験が進行中であり、その結果とあわせてNOGマウスの高性能無菌飼育装置(個別換気システム)飼育環境下における各種毒性学的パラメータ検証結果について報告する。
  • *今井 則夫, 沼野 琢旬, 土井 悠子, 勝呂 繭子, 河部 真弓, 萩原 昭裕, 古川 文夫
    日本毒性学会学術年会
    2014年 41.1 巻 P-231
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/26
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】中期多臓器発がん性試験法ではN-nitrosodiethylamine (DEN)、N-nitroso-N-methylurea (MNU)、N-butyl-N-(4-hydroxybutyl)nitrosamine (BBN)、1,2-dimethylhydrazine dihydrochloride (DMH)、diisopropanolnitrosamine (DHPN)でイニシエーション処置を行う。そのうち、特にDMHは組織障害性が強く認められることから、現在の投与用量を半減した場合の腫瘍の発生率及び個数について検討を行った。
    【方法】F344/DuCrlCrlj雄ラットを用い、これまでと同様の方法でDENを実験開始時に1回100 mg/kgを腹腔内投与し、その後2週間BBNを0.05%の濃度での飲水投与と同時に MNUを20 mg/kgの用量で4回腹腔内投与した。その後、実験3週から4週の2週間、DHPNを0.1%の濃度で飲水投与し、DMHについては、これまでと同様の40 mg/kg及びその半量の20 mg/kgを4回皮下投与した。イニシエーション処置終了時から25週経過後に剖検を実施し、DMHの標的臓器である大腸を中心に腫瘍の発生頻度及び発生個数について検討した。
    【結果及びまとめ】生存率は40 mg/kg群で75%、20 mg/kgでは80%で差はみられなかったが、20 mg/kg群では、飼育期間中を通して40 mg/kg群と比較して体重の有意な高値がみられ、また、イニシエーション処置期間中の摂餌量、摂水量も高値を示した。肉眼的病理学検査では、大腸の腫瘤の発生頻度は40 mg/kg群で20例中14例(70%)、20 mg/kg群では20例中9例(45%)であり、平均発生個数は40 mg/kg群で1.3個、20 mg/kg群では0.6個であったが、腫瘤の大きさに差はなかった。本学会では、病理組織学的検査による全身標的臓器の過形成病変及び腫瘍性病変の発生率から、DMHの用量を下げた場合に中期多臓器発がん性試験として評価が可能であるかどうかを検証し、報告する。
  • *勝呂 繭子, 河部 真弓, 沼野 琢旬, 秋山 真弓, 浦野 浩司, 堤 秀樹, 米良 幸典
    日本毒性学会学術年会
    2016年 43.1 巻 P-54
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/08/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】我々はrasH2マウスの皮膚を用いてより短期に発がん性の有無を評価できる「超短期皮膚二段階発がん性評価法」の開発を進め、評価法として確立した。このモデルでは、イニシエーターとして7,12-dimethylbenz[a]anthracene (DMBA: 12.5 μg/100 μL)を用い、発生メカニズムが異なる既知の2種の皮膚発がんプロモーターである12-O-tetradecanoylphorbol 13-acetate(TPA)又はbenzoyl peroxide (BPO)の投与により、8週間で皮膚発がんプロモーション作用の検出が可能である。しかし、過去の検討において、皮膚発がん物質である4-vinyl-1-cyclohexane diepoxide (4VCD)について評価したところ、皮膚発がん性の検出ができなかったことから、今回は用量及び投与頻度を変えて再検討を実施した。
    【方法】雌のrasH2マウス (7週齢、各群10匹)の背部にDMBA (12.5 μg/100 μL)を1回経皮投与し、その1週後より4VCD(10, 15, 20 mg/mouse)又は媒体のアセトンを週7回経皮投与した。皮膚腫瘤の外表観察を週1回行い、実験8週で剖検した。
    【結果】4VCD投与群では、20 mg群で実験5週時に、15及び10 mg群で実験6週時に皮膚腫瘤の発生が認められ、実験終了時の腫瘤発生率はそれぞれ80%、50%、及び50%であった。腫瘤の平均発生個数はそれぞれ1.8個、0.9個及び0.6個であり、用量との関連が認められた。一方、媒体投与群では腫瘤の発生は認められなかった。
    【まとめ】rasH2マウスの皮膚に12.5 μg/100 μL用量のDMBAでイニシエーション後、皮膚発がん物質である4VCDの投与により皮膚腫瘤の発生が認められ、その発生個数には用量との関連が認められた。以上の結果、超短期皮膚二段階発がん性評価法は、皮膚発がん物質あるいは皮膚発がんプロモーターの検出が8週間で可能であり、経皮剤開発におけるスクリーニング評価法として有用なモデルであると考えられた。
  • *沼野 琢旬, 土井 悠子, 今井 則夫, 萩原 昭裕, 米良 幸典
    日本毒性学会学術年会
    2015年 42.1 巻 P-219
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/03
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】
    中期皮膚発がん性試験で用いるICR系マウスのIGS(International Genetic Standard)生産システムへの移行に伴い、現在、同試験において使用している非IGSマウスとの皮膚腫瘤発生に対する感受性について、陽性対照物質である12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate (TPA)を用いて検討した。
    【材料と方法】
    動物は7週齢の雌のIGSマウス[Crl:CD1(ICR)]及び非IGSマウス[Crlj:CD1(ICR)][日本チャールス・リバー株式会社(CRJ)]を用いた。
    背部被毛を剪毛した全動物に、イニシエーション処置として7,12-Dimethylbenz[a]anthracene(DMBA)を100 µg/100 µLの用量で1回経皮投与した。
    その1週後より19週間に渡り、IGS及び非IGS群にTPAを4 μg/200 μLの用量で週2回経皮投与した。また、TPAの用量反応性を検討するため、IGSマウスを用いて同一期間、TPA 4 μg/200 μLを週1回又は2 μg/200 μLを週2回、経皮投与する群も設けた。対照群にはDMBA投与の1週後より19週間、媒体のアセトンを週7回経皮投与した。
    【結果・まとめ】
    TPAを4 µg/200 µLの用量で週2回投与したIGS及び非IGS群では、共に実験7週時より腫瘤の発生がみられ、発生率は実験14週時に100%に達し、腫瘤の発生時期並びに発生率に生産システム(IGS/非IGS)による違いはみられなかった。 またTPAを4 µg/200 µLの用量で週1回、2 µg/200 µLの用量で週2回投与した群では、共に実験8週時より腫瘤の発生がみられ、4 µg/200 µL(週1回)投与群の発生率は実験20週時に100%に達した。対して2 µg/200 µL(週2回)投与群における腫瘤発生率は、実験終了時で90%であった。また対照群に腫瘤発生はみられなかった。
    個体あたりの平均腫瘤発生個数は、TPAを4 µg/200 µLの用量で週2回投与したIGS群で22.4個、非IGS群で21.2個、同用量で週1回投与した群では14.9個、2 µg/200 µLの用量で週2回投与した群では11.4個であった。
    現在、マウス背部皮膚に発生した腫瘤の病理組織学的検査を進めており、検査結果とあわせIGSマウスにおけるTPA処置による皮膚腫瘍発生への影響を報告する。
  • *沼野 琢旬, 原 智美, 杉山 大揮, 萩原 顕昭, 河部 真弓, 青木 豊彦
    日本毒性学会学術年会
    2023年 50.1 巻 P2-182
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/03/08
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】近年、様々な創薬基盤技術を用いた医薬品の研究開発により、低分子医薬品だけでなく、様々な新規モダリティによる医薬品が臨床的に実用化されているが、新規モダリティのデリバリー経路として、吸入経路が注目されている(Hall et al. Toxicol Pathol., 2021)。吸入による薬物の安全性評価には、大規模な吸入曝露施設や大量の被験物質が必要とされ、また、吸入曝露条件下では、薬物が鼻腔を含む上気道でトラップされ、下部呼吸器への到達量は約2割と、標的臓器である肺への直接曝露には課題がある。当社は、これまで独自の気管内投与手技を確立し、吸入経路による薬剤の安全性評価の初期スクリーニングとしての有用性を報告してきた。今後、吸入投与のため様々な媒体が検討されることから、今回、6つの媒体について、マウスを用いて単回気管内投与し、これら媒体の影響を経時的に検討した。【方法】本試験では、媒体として注射用水、生理食塩液、10%マルトース溶液、0.1%Tween80、10%PEG400、10%DMSOを選択した。7週齢の雄Crl:CD1(ICR)マウスに、各媒体を100 uL/bodyの容量で単回気管内投与した。また、ゾンデの挿管のみを行うsham群も設定した。投与後、一般状態観察、体重測定を行い、投与1、3、7及び14日後に各群の5匹を剖検し、血液生化学的検査、肺胞洗浄液の検査、器官重量及び病理組織学的検査を実施した。【結果】実験期間を通して動物に死亡はみられなかった。一般状態ではsham群を除いた全例で投与後に一過性の捻髪音がみられたが、いずれの媒体投与群においても体重並びに血液生化学的検査に媒体投与の影響はみられなかった。本学会では、肺胞洗浄液の検査、器官重量及び病理組織学的検査の結果を含め、各媒体の影響を報告する。

  • *宇田 一成, 樋口 仁美, 土井 悠子, 今井 則夫, 原 智美, 杉山 大揮, 米良 幸典
    日本毒性学会学術年会
    2016年 43.1 巻 P-246
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/08/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】
    中期皮膚発がん性試験は投与局所(皮膚)における発がん性評価を目的とし、従来の長期発がん性試験と比べ、使用動物の削減(Reduction)、大幅な試験期間の短縮などのメリットがある。近年では従来医薬品の塗布剤や貼付剤への剤型変更、新製剤または効能追加などによる製品寿命(LCM)の延長戦略により、投与局所(皮膚)の発がん性評価が可能な中期皮膚発がん性試験が用いられている。
    昨年、中期皮膚発がん性試験で用いるICR系マウスのIGS(International Genetic Standard)生産システムへの移行に伴い、同試験において使用している非IGSマウスとの皮膚腫瘤発生に対する感受性の影響について発表した(第42回日本毒性学会学術年会)。今回は雌雄のIGSマウスを用いて皮膚腫瘤発生に対する雌雄差について検討した。
    【方法】
    動物は7週齢の雌雄IGSマウス(Crl:CD1(ICR);日本チャールス・リバー株式会社)を用い、全動物の背部被毛を約2×4 cmの広さで剪毛した後、イニシエーション処置として7,12-Dimethylbenz[a]anthracene(DMBA)を100 µg/100 µLの用量で単回経皮投与した。
    その1週後より、雌雄各20匹に陽性対照物質である12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate (TPA) を4 µg/200 µLの用量で週2回、19週間経皮投与した(TPA投与群)。また、イニシエーション処置1週間後より雌雄各20匹にアセトンを19週間反復経皮投与する群を設けた(陰性対照群)。
    投与期間中は発生した皮膚腫瘤を経時的にカウントし、各群における腫瘤発生率及び平均腫瘤発生個数を算出した。
    【結果・まとめ】
    TPA投与群では、雌雄共に実験7週時より腫瘤の発生がみられ、発生率は実験18週時に100%に達し、腫瘤の発生時期並びに発生率に違いはみられなかった。また、投与終了時におけるマウス1匹当たりの平均腫瘤発生個数は雄で20.0個、雌で18.8個であった。なお、陰性対照群に腫瘤の発生はみられなかった。
     現在、背部皮膚に発生した腫瘤の病理組織学的検査を進めており、その結果とあわせてIGSマウスの皮膚腫瘤発生に対する雌雄差について報告する。
  • *勝呂 繭子, 沼野 琢旬, 河部 真弓, 米良 幸典, 古川 文夫
    日本毒性学会学術年会
    2015年 42.1 巻 P-206
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/03
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】近年、経皮吸収型製剤の対象となる疾患領域が広がりつつあり、LCMを目的とした経口剤から経皮剤への剤形変更の開発が増加傾向にある。今回は、2年間がん原性試験の代替法として用いられている、rasH2マウスを用いた26週間短期発がん性試験法による、経皮剤の発がん性評価の可能性について検討した。【方法】雌雄のrasH2マウス(8週齢、各群10匹)の背部皮膚を剪毛し、ICRマウスへの440~594日間反復経皮投与で肺への発がん性が認められている1,2-ジクロロエタン(126 mg/100 µLアセトン)を週3回、また、経皮投与試験の媒体として一般的に使用されるアセトン及び80%エタノール各100 µLを1日1回経皮投与した。さらに陽性対照群として、実験開始時にMNU(75 mg/kg)を単回腹腔内投与する群を設けた。実験26週で剖検し、全身諸器官の病理学的検査を実施した。【結果】雌の1,2-ジクロロエタン投与群で、実験17週以降に5/10例の死亡が認められた。肉眼的病理学検査では、1,2-ジクロロエタン投与群の雄で9/10例に、雌で全例に肺の変色斑/変色域又は腫瘤が観察された。これらの所見は、病理組織学的には肺胞上皮由来の過形成、腺腫又は腺癌であった。腺腫及び腺癌の発生率は、それぞれ雄で80%及び50%、雌で70%及び100%であり、アセトン投与群と比較して統計学的に有意な高値を示した。MNU群においては腫瘍性病変が全例に認められ、使用したマウスの発がん感受性に問題のないことが確認された。【まとめ】ICRマウスへの反復経皮投与で肺への発がん性が認められた物質を、rasH2マウスに経皮投与した結果、26週間で肺の発がん性が示された。一方、アセトン及びエタノールでは発がん性は示されなかった。この結果から、rasH2マウスを用いた経皮剤の発がん性評価は可能であると考えられた。今後は経皮投与により発がん性を示す物質あるいは非発がん物質を用いたさらなる検証を実施していく予定である。
  • *勝呂 繭子, 河部 真弓, 沼野 琢旬, 古川 文夫, 浦野 浩司, 堤 秀樹
    日本毒性学会学術年会
    2012年 39.1 巻 P-210
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/24
    会議録・要旨集 フリー
    【背景】rasH2マウスの皮膚を用いてより短期に発がん性の有無を評価できる「超短期皮膚二段階発がん性評価法」を開発する目的で、イニシエーターとしてDMBA(50 μg/100 μL)を用いたモデルの検討をこれまで実施してきた。このモデルは、過去の検討で既知の皮膚発がんプロモーターであるTPA(第36回トキシコロジー学会にて報告)やBenzoyl peroxide (BPO)を投与することにより8週間で皮膚腫瘍が発生することが確認されている。しかし、溶媒又は非発がん物質の投与によっても少数の腫瘍が発生するという問題点が認められたことから、再度DMBAの用量の検討を行った。【方法】雌のrasH2マウス (7週齢、各群10匹)の背部皮膚にDMBA (12.5又は25 μg/100 μL)を1回経皮投与し、その1週後より既知の皮膚非発がん物質であるOleic acid diethanolamine condensate (OADC, 30 mg/kg b.w. ) 及びその溶媒の99.5%エタノールを週7回、Benzethonium chloride (BC, 1.5 mg/kg b.w.)及びその溶媒の無水エタノールを週5回投与した。さらに陽性対照群としてBPO (20 mg/200 μL)を週5回投与する群 (各群5匹)を設けた。実験8週で剖検し、皮膚の病理学的検査を実施した。【結果】実験5週時にBPO投与群で皮膚腫瘤の発生が認められ、DMBA 12.5 μg処置群及び25 μg処置群でそれぞれ7週及び6週時に発生率が100%に達し、剖検時の平均発生個数はそれぞれ29.2個及び35.6個であった。一方、OADC、BC、及び溶媒投与群では腫瘤の発生は認められなかった。【まとめ】rasH2マウスの皮膚に12.5又は25 μg/100 μLの用量のDMBAでイニシエーションをした結果、プロモーターの投与により皮膚腫瘍が発生した一方で、溶媒又は非発がん物質による腫瘍の発生は認められなかった。この結果から、DMBAの用量は12.5 μg/100 μLで十分量と考えられ、今後もこのモデルを用いたデータの蓄積を進めていく予定である。
  • *小林 憲弘, 河部 真弓, 古川 文夫, 久保田 領志, 杉本 直樹, 広瀬 明彦
    日本毒性学会学術年会
    2012年 39.1 巻 P-143
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/24
    会議録・要旨集 フリー
    幾つかの研究において,妊娠動物におけるナノマテリアル暴露が,胎仔の奇形を誘発することや,胎仔に移行して発達・機能障害を引き起こす可能性が報告されていることから,ナノマテリアルの慢性毒性ポテンシャルについて詳細な検討が必要である.本研究では,暴露したナノマテリアルが血流に乗って全身を循環して生殖・発生毒性を引き起こす可能性について検証するために,多層カーボンナノチューブ(MWCNT)について妊娠ラットを用いた尾静脈内投与試験を行った.MWCNT(MWNT-7)を雌ラットから採取した血清に添加し,超音波バスを用いて30分間超音波処理を行ったところ,MWCNTは血清中によく分散し,投与中にMWCNTの凝集・沈降は認められなかった.このMWCNT懸濁液を妊娠7,8,9,および10日のCrlj:CD(SD)ラットそれぞれ5匹ずつに,予備試験で投与可能な最大量と判断された0.5 mg/kg bwの用量で投与し,妊娠20日に帝王切開して病理組織学的にMWCNTの組織への沈着を確認するとともに,胎仔への影響について検討した.母動物の病理組織学的検査では,心臓,肺,肝臓,腎臓,脾臓,および脳においてMWCNTの沈着が確認され,肺において好中球浸潤および肉芽腫がみられたことから,投与したMWCNTは血流に乗って全身を循環したと考えられる.胎仔の検査では,着床痕数,黄体数,胚・胎児死亡数(早期および後期吸収胚),生存胎児数,性別,生存胎児体重,生存胎児胎盤重量,および生存胎児外表観察のいずれにおいても,MWCNT投与の著明な影響は認められなかった.以上の結果から,暴露後に血流に乗ったMWCNTが生殖・発生毒性を引き起こす可能性は低いと考えられた.今後は,呼吸器系へ暴露した場合の肺の炎症や機能障害等を介した生殖・発生毒性について検討するために,MWCNTの気管内投与試験を実施する予定である.
  • *今井 則夫, 萩原 昭裕, 沼野 琢旬, 土井 悠子, 玉野 静光, 髙橋 祐次, 菅野 純
    日本毒性学会学術年会
    2012年 39.1 巻 P-117
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/24
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】過硫酸アンモニウムは金属及び有機化合物との接触により分解して活性酸素を放出し酸化作用を示す。食品工業においては小麦粉の改良剤として永年使用されている。過硫酸アンモニウムの安全性評価の一環としてラットにおける90日間反復投与毒性試験を実施した。【方法】各群雌雄10匹の6週齢F344系ラットに、過硫酸アンモニウムを0、240、1200及び6000 ppmの濃度で基礎飼料に混じて自由に摂取させた。投与期間中、毎日一般状態を観察し、体重、摂餌量及び摂水量を週1回測定した。投与最終週に眼科学的検査、尿検査を行った。投与期間終了後、腹部大動脈より採血し、血液学的検査及び血液生化学的検査を行った。放血致死後に剖検を行い、主要器官の重量測定、全身諸器官の病理組織学的検査を実施した。【結果】投与期間中に死亡例はみられず、一般状態、眼科学的検査、血液学的検査、肉眼的及び病理組織学的検査において被験物質の投与による影響は認められなかった。雄6000 ppm群において、体重増加の抑制、摂餌量及び摂水量の低下がみられた。尿検査では、pHの低値、尿比重及び尿中電解質の高値、血液生化学的検査では、アラニンアミノトランスフェラーゼ、総コレステロール、リン脂質、トリグリセリド及び総蛋白の有意な低値がみられ、器官重量では、脳、肺、腎臓、副腎及び唾液腺の相対重量が有意な高値を示した。これらの成績は、摂餌量及び摂水量の低下に伴う体重増加の抑制に関連した影響と考えられた。雌6000 ppm群では、体重に変化は認められなかったが、摂水量、尿検査及び血液生化学的検査では雄と同様の変化がみられ、器官重量では唾液腺の相対重量が有意な高値を示した。雌雄1200 ppm及び240 ppm群では、被験物質投与の影響は認められなかった。【結論】過硫酸アンモニウムの無毒性量(NOAEL)は雌雄共に1200 ppm群(雄では72 mg/kg/day、雌で83 mg/kg/day)と判断した。(厚生労働省食品・添加物等試験検査費による)
  • *土井 悠子, 萩原 昭裕, 勝呂 繭子, 今井 則夫, 玉野 静光, 髙橋 祐次, 菅野 純
    日本毒性学会学術年会
    2012年 39.1 巻 P-116
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/24
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    【目的】パラオキシ安息香酸ブチルは広い範囲の微生物に対して抗菌作用があり、保存料(食品添加物)として使用されている。他のパラオキシ安息香酸エステル類と組み合わせて使用され、食品への使用量は制限されている。今回、パラオキシ安息香酸ブチルの安全性評価の一環としてラットにおける90日間反復投与毒性試験を実施した。【方法】雌雄各群10匹の6週齢F344系ラットに、パラオキシ安息香酸ブチルを0、0.3、0.8および2.5%の濃度で飼料中に混じて90日間、自由に摂取させた。投与期間中、毎日一般状態を観察し、週1回体重、摂餌量および摂水量を測定した。投与最終週に眼科学的検査および尿検査を行い、投与期間終了後、腹部大動脈より採血し、血液学的検査および血液生化学的検査を行った。また、放血致死させた後に剖検を行い、採取した主要器官の重量を測定するとともに、全身諸器官の病理組織学的検査を実施した。【結果】投与期間中に死亡動物はなく、一般状態、眼科学的検査、尿検査、血液学的検査及び肉眼的病理学検査においてはパラオキシ安息香酸ブチルの投与に起因すると考えられる毒性変化は認められなかった。体重の有意な低値が雌雄の2.5%及び0.8%群で認められた。血液生化学的検査では、アルカリホスファターゼ(ALP)およびγ-グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-GTP)の有意な高値が雌の2.5%あるいは0.8%群で認められた。器官重量では肝臓において雄の2.5%群及び雌の2.5%群及び0.8%群で有意な高値が認められた。病理組織学的検査では、胃の境界縁及び前胃の扁平上皮過形成が雌雄の2.5%群で、前胃の扁平上皮過形成が雌雄の0.8%群でそれぞれ認められた。【結論】以上の結果より、本試験条件下における無毒性量(NOAEL)は、雌雄ともに0.3%群(雄では179 mg/kg/day、雌では215 mg/kg/day)と判断した。
     (厚生労働省食品・添加物等試験検査費による)
  • *沼野 琢旬, 徐 結苟, 二口 充, 深町 勝巳, 清水 秀夫, 古川 文夫, 酒々井 眞澄, 津田 洋幸
    日本毒性学会学術年会
    2012年 39.1 巻 O-32
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/24
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    【背景と目的】化粧品、食品、塗料などに用いられているナノサイズ二酸化チタニウム(nTiO2)は吸入曝露による健康被害が懸念されている。nTiO2は主にルチル型とアナターゼ型に分けられ、これまでに我々は、ルチル型nTiO2に肺発がんプロモーション作用があること、そのメカニズムに、マクロファージの誘導、酸化ストレス、MIP1αが関与すること、さらにMIP1αがヒト肺がん細胞株 (A549) の増殖を促進することを見出した。本研究ではアナターゼ型 nTiO2の肺内噴霧による肺組織および培養マクロファージに対する影響をルチル型と比較検討した。
    【材料と方法】雌SDラットにアナターゼ型およびルチル型nTiO2生食懸濁液を1回あたり500 ug/mLの濃度で0.5 mL肺内噴霧した。2週間に計8回噴霧した後に屠殺剖検した。肺組織を取り出し、MIP1αの発現量および8-OHdGレベルを測定し、肺組織に誘導されたマクロファージの数を定量した。nTiO2を初代培養マクロファージに曝露させ、その培養上清によるA549の細胞増殖率を測定した。
    【結果と考察】アナターゼ型nTiO2投与群の肺組織におけるMIP1α発現量およびマクロファージ誘導数は、対照群に比べて有意に上昇していたが、ルチル型nTiO2投与群より有意に低下していた。有意差は無いが、8-OHdG量にも同様の傾向を認めた。電顕では、いずれの型も肺胞マクロファージに貪食されていた。ルチル型nTiO2で処理したマクロファージの培養上清はA549細胞の増殖率を有意に増加させたが、アナターゼ型では有意差は無いが増殖率の増加傾向を示した。アナターゼ型はルチル型と比べて肺組織および培養マクロファージへの影響は弱いことが示唆された。影響の違いはアナターゼ型とルチル型との結晶構造の違いに依存している可能性がある。よってnTiO2のヒト健康への影響を考えた時、その形状を考慮する必要がある。
  • *小林 憲弘, 沼野 琢旬, 中島 弘尚, 河部 真弓, 久保田 領志, 広瀬 明彦
    日本毒性学会学術年会
    2013年 40.1 巻 P-2
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/14
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    近年,ナノマテリアル曝露による生殖・発生毒性を示唆する報告が散見されている.ナノマテリアルの慢性毒性影響を評価する上で,生殖・発生毒性に関する知見を収集することは重要であると考え,我々はこれまで多層カーボンナノチューブ(MWCNT)を対象物質とした生殖・発生毒性試験を行ってきた.昨年は,妊娠ラット・マウスを用いた尾静脈内投与試験を行い,投与日(妊娠7~10日)によらず,催奇形性はみられないことを報告した.今回は,妊娠マウスを用いた気管内投与試験を行い,胎仔への影響について検索した.マウス血清あるいは2%CMC-Naを用いて液中分散させたMWCNTをそれぞれ妊娠9日のICRマウスに0,3,5 mg/kg bwの用量で単回気管内投与し,妊娠18日に帝王切開して胎仔への影響について検討した(各群5匹ずつ).その結果,生存胎仔体重および胎盤重量に用量依存的な減少傾向がみられた.また,各媒体の投与群ともに,胎仔の外表異常がみられた.CMC-Na分散液投与群では,3 mg/kg投与群において欠指,唇裂,および伸展拘縮が合計7例みられたが,より高用量の5 mg/kg投与群では外表異常はみられず,用量-反応関係が明確ではなかった.血清分散液投与群では,5 mg/kg投与群において欠指および伸展拘縮がそれぞれ1例ずつみられた.黄体数,着床痕数,胚・胎仔死亡数,生存胎仔数,および性別については,対照群と比較して有意な差はみられなかった.以上の結果から,血清,CMC-Naのどちらの媒体を用いた場合でも,妊娠9日のマウスに3–5 mg/kgの用量で気管内投与した場合,生存胎仔体重,胎盤重量の減少をもたらし,胎仔の奇形を引き起こすことが示唆された.今後は,各群の試験動物数を増やした気管内投与試験を行い,用量-反応関係を明らかにするとともに,気管内投与においてのみ催奇形性がみられた原因究明を行う.
  • *伊藤 光, 小野 隆弘, 小川 三由紀, 河部 真弓, 萩原 昭裕, 玉野 静光
    日本トキシコロジー学会学術年会
    2008年 35 巻 P-079
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/06/25
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    [目的]ラット中期肝発がん性試験におけるF344/DuCrlCrlj、Slc:WistarHannover(RCC)およびCrl:CD(SD)系ラットの3系統の肝発がん感受性を比較検討した。 [方法]各系統のラットとも、6週齢の雄各群15匹(計60匹)にN-nitrosodiethylamine (DEN)を200 mg/kgの用量で1回腹腔内投与し、その2週間後より肝発がんプロモーターであるPhenobarbital Sodium Salt(S.PB)を0, 30, 125および500 ppmの濃度で6週間混餌投与した。実験第3週経過時に全動物について2/3肝部分切除術を行い、実験期間8週間で屠殺剖検し、肝臓の前がん病変である胎盤型glutathione S-transferase(GST-P)陽性細胞巣を画像解析装置(IPAP)を用いて定量的解析を行った。 [結果]肝臓重量では、F344ラットの30, 125および500 ppm群で、絶対および相対重量の有意な高値が用量に関連して認められた。WistarHanラットおよびSDラットの500ppm群では絶対および相対重量で有意な高値が、また125ppm群では相対重量で有意な高値が認められた。肝臓のGST-P陽性細胞巣の単位面積あたりの個数および面積は、F344ラットおよびWistarHanラットの30, 125および500 ppm群で用量に関連した高値が認められた。一方、SDラットでは125ppm、500ppm群で有意差は認められなかったものの高値傾向が認められた。 [結論]ラット中期肝発がん性試験におけるS.PBの肝発がんプロモーター作用に対する感受性は、F344、WistarHan、SDラットの順であり、SDラットは特に感受性が低いことが明らかとなった。加えて、F344ラットと同様、WistarHanラットも同試験に利用が可能と考えられた。
  • *青木 豊彦
    日本毒性学会学術年会
    2023年 50.1 巻 S15-2
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/03/08
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    近年、医薬品、化学物質や農薬などの非臨床安全性試験は、特にGLP試験を中心として、CROで実施されることが当たり前になってきた。しかし、例えば、医薬品においては低分子化合物から、抗体医薬、核酸医薬、遺伝子治療、再生医療と創薬modalityが多様化してきており、それらの安全性評価においても難易度は高まっており、試験責任者と同様、病理評価を担当するパソロジストにおいても委託者からCROに求められる要求レベルは増大している。このような背景の中、本シンポジウムでは、CROにおける病理評価のあり方、パソロジストの育成の他、Whole Mount imaging (WSI)、digital pathologyなどの新規技術やツールへの対応、など、CROにおける現況と課題を論じてみたい。

  • *堀田 佳資, 今井 則夫, 土井 悠子, 河部 真弓, 青木 豊彦
    日本毒性学会学術年会
    2023年 50.1 巻 P2-183
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/03/08
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    【目的】近年、様々な創薬基盤技術を用いた医薬品の研究開発により、低分子医薬品だけでなく、様々な新規モダリティによる医薬品が臨床的に実用化されているが、新規モダリティの薬物デリバリー経路として、吸入経路が注目されている (Hall et al. Toxicol Pathol., 2021)。吸入による薬物の安全性評価には、大規模な吸入曝露施設や装置や大量の被験物質が必要とされ、また、吸入曝露条件下では、鼻腔を含む上気道で薬物がトラップされ、下部呼吸器への到達量は約2割と標的臓器である肺への直接曝露には課題がある。当社は、これまで独自の気管内投与手技を確立し、吸入経路による薬剤の安全性評価の初期スクリーニングとしての有用性を報告してきた。今後、吸入投与のため様々な媒体が検討されることから、今回、7つの媒体について、ラットを用いて7日間反復気管内投与し、これらの影響を経時的に検討した。

    【方法】本試験では、媒体として、5%PEG400、5%DMSO、0.1%Tween 80、生理食塩液、注射用水、マッキルベイン緩衝液(pH 7.0)及びPBSを選択した。8週齢の雄Crl:CD(SD)ラットに、各媒体を1 mL/kg の容量で7日間気管内投与し、また、ゾンデの挿管のみを行うsham群を設定した。投与後、一般状態観察及び体重測定を実施し、実験開始8日後及び7日間の回復期間終了後に剖検し、血液学的検査、血液生化学的検査、器官重量、肺胞洗浄液の検査並びに病理組織学的検査を実施した。

    【結果】実験期間を通して動物に死亡はみられず、一般状態観察においては、sham群を除くすべての投与群で投与後一過性に捻髪音がみられた。また、体重は各媒体群に影響はみられなかった。本学会では、その他の検査項目の解析並びに病理組織学的検査の結果も含めて報告する。

  • *沼野 琢旬, 杉山 大揮, 原 智美, 今井 則夫, 萩原 昭裕, 宮田 裕人
    日本毒性学会学術年会
    2021年 48.1 巻 P-155
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/08/12
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    【Aim】

    Several animal models of pulmonary fibrosis in rodents have been developed to search for the potential therapies for pulmonary fibrosis. The most common model is the bleomycin (BLM)-model in mice because of smaller size. Intratracheal instillation method enable administration of the test material directly to the lung. In the present study, we investigate the fibroblastic change of lung intratracheally dosed with BLM using 2 strains of mice.

    【Method】

    Male C57BL/6J mice (C57BL), 6-week old and Crl:CD1(ICR) mice (ICR), 9-week old were intratracheally dosed with BLM (0, 12.5 or 25 µg/body). Organ weight and histopathology of the lung were examined on 21- or 28th day after the instillation.

    【Results】

    No deaths occurred in the vehicle-treated group. Moribund animals were observed on day 21 or 9 in the 12.5 or 25 µg/body treated C57BL group, on day 12 in the 12.5 µg/body treated ICR group. The survival rate at day 21 was 91.7% in the 12.5 or 25 µg/body treated C57BL group and 100 or 58.3% in the 12.5 or 25 µg/body treated ICR group. Lower body weight values were observed in the 25 µg/body treated groups of both strains compared to the vehicle groups. Higher values of absolute and relative lung weights were observed in the 12.5 and 25 µg/body treated groups of both strains compared to the vehicle groups. The lung fibroblastic lesions were observed in both strains at 21st day after the BLM instillation. These changes were considered to be the effect of BLM instilled in the lung. In this presentation, we will report the detail results of histopathological findings in both strains.

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