盛んに増殖をしているマウスのエールリッヒ腹水癌細胞から核および核小体を単離精製し, そこに存在する
DNA
ポリメラーゼ
の諸性質およびその含量を検討した. 細胞内での
DNA
ポリメラーゼ
の分布を調べるに当って, これら酵素の細胞内分布は, 細胞をホモジェナイズする溶液等によって左右され易いので, 全く異なる2つの方法で, 核を単離した. 1つは低張液, MgCl
2および界面活性剤であるNonidet P-40を用いる方法で, 他は等張液とCaCl
2のみで, 界面活性剤は用いない方法である. 核, 核小体およびクロマチンから
DNA
ポリメラーゼ
を抽出し, DEAE-セルロース・カラムクロマトの後, α, βおよびγを夫々選択的に測定した. 核と核小体では, 夫々のDNA含量に比例しで
DNA
ポリメラーゼ
も存在した他, 核小体クロマチンにも強く結合している
DNA
ポリメラーゼ
が存在したので, その複製に関与していることを示唆している.
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