日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
Print ISSN : 1341-027X
ISSN-L : 1341-027X
研究ノート
豆類ポリフェノールの抗酸化活性ならびにα-アミラーゼおよびα-グルコシダーゼ阻害活性
齋藤 優介西 繁典小疇 浩弘中 和憲小嶋 道之
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 54 巻 12 号 p. 563-567

詳細
抄録

7種類の食用豆類から80%エタノールと70%アセトンを用いた2段階抽出により全ポリフェノールを調製して,抗酸化活性,α-アミラーゼおよびα-グルコシダーゼ活性に対する抑制効果を比較した.ポリフェノール含量の多い豆は,順にアズキ,インゲンマメ,コクリョクトウ,黒ダイズ,リョクトウ,ダイズであったが,種子の大小や種皮色との関係は認められなかった.しかし,各豆類のモノマー型およびオリゴマー型ポリフェノール含量と抗酸化活性との間には高い正の相関関係が認められた.また,エンドウとダイズポリフェノールに占めるオリゴマー型ポリフェノールの割合は低く,α-アミラーゼおよびα-グルコシダーゼ活性の抑制作用はほとんど認められなかった.これに対して,アズキ,インゲンマメ,コクリョクトウ種子ポリフェノールには,オリゴマー型ポリフェノールが67-76%を占めており,抗酸化活性と共にα-アミラーゼおよびα-グルコシダーゼ活性の抑制作用を示した.リョクトウや黒ダイズポリフェノールは,α-アミラーゼ活性抑制作用はほとんど認められなかったが,α-グルコシダーゼ活性の抑制作用が認められた.これらの結果から,豆類ポリフェノールのオリゴマー型ポリフェノールは抗酸化活性作用とα-アミラーゼおよびα-グルコシダーゼ活性の抑制作用を有しているが,モノマー型ポリフェノールは主に抗酸化活性作用のみを有していることが推察された.

著者関連情報
© 2007 日本食品科学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top