2025 年 33 巻 p. 134-138
階層的な細孔構造を有する多孔質ゼオライト粒子(以下,階層多孔質ゼオライト粒子)の細孔設計は,環境触媒における揮発性有機化合物の吸着速度を向上させる手法として注目されている.しかし,ミクロ孔・メソ孔・マクロ孔の導入は,ゼオライトの結晶性や機械的強度を低下させ,骨格構造の部分的崩壊を引き起こす可能性があるため,このような階層構造の合成は依然として困難である.本研究では,単一粒子モデリングと実験的細孔設計を両輪として,高性能な環境触媒の開発を目指している.本記事では実験的アプローチとしてテンプレートを用いたスプレープロセスにおける合成条件を体系的に検討した.トルエンをモデル化合物として,得られたゼオライト粒子の吸着特性を評価した結果,最適化された階層多孔質ゼオライト粒子は,テンプレート未使用の凝集型粒子と比べて高い吸着速度を示した.これは,階層的細孔ネットワークによる物質移動の促進に起因する.本研究は,高効率なゼオライト系環境触媒の設計指針を提供する.