総合健診
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原著
Timed Up & Go testに影響を与える運動機能因子の検討
我満 衛奥本 怜子西畑 満純伊藤 紀恵帰山 ゆかり大和 優子黒田 岳雄大瀧 美惠
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ジャーナル オープンアクセス

2014 年 41 巻 5 号 p. 586-590

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抄録

 Timed Up & Go test(TUG)は下肢筋力や平衡性、日常生活機能との関連が強い。本研究では、介護予防事業に参加した65歳以上の女性188名を対象とした。そして、TUGに影響する運動機能因子を抽出し、さらに最も影響の強いものを検討することを目的とした。TUGと握力、開眼片足立ち、5m全力歩行時間、年齢、BMIの関連をピアソンの相関係数を用いて分析したところ、年齢とBMIでは、TUGとの相関は示されなかったが、開眼片足立ち、5m歩行時間、握力においては有意な相関が認められた。相関を認めた開眼片足立ち、5m歩行時間、握力とTUGとで、重回帰分析を行ったところ、平衡性の評価指標である開眼片足立ちがTUGへの影響が最も強いことが明らかとなった。一般的にTUGは、加齢や肥満度が高くなるに伴い低下する。しかし、本研究の対象は、加齢や肥満度による平衡機能への影響は認められなかった。TUGでは、椅子からの起立直後、方向転換時や椅子への着席時など平衡機能を要する局面がみられることから、平衡機能の維持がTUG成績に特に重要となることが示唆された。

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© 2014 一般社団法人 日本総合健診医学会
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