【目的】子宮頸がんは発生原因が、ヒトパピローマウイルス(HPV)であることが解明された。さらにこの前がん病変を発見するには、子宮頸がん検診の受診率向上と細胞診検査の精度を上げることが重要である。近年婦人科細胞診領域に、液状法が導入されはじめている。そこで、従来の塗抹細胞診と液状細胞診、ハイリスクHPV検査結果の比較検討をしたので報告する。
【対象】当施設の平成23年1月から12月までの、子宮頸部細胞診を施行した18,956例を対象とした。
【方法】子宮頸部よりブラシを用いて擦過採取した従来法18,956例と、同意を得られたスプリットサンプル標本1,227例は液状法(TACASバイアル少量法)、とハイリスクHPV検査を行った。
ハイリスクHPVはBML(ハイブリットキャプチャー法)へ依頼した。
【結果】従来法の不適正率は0.2%(44/18,956)で液状法では0%(0/1,227)であった。
液状法の判定は従来法と比較し、95.2%(1,168/1,227)の一致率であった。
ASC-US以上の判定については、液状法が従来法よりも感度が高かった。
高リスクHPV検査の陽性率は6.9%(85/1,227)であった。
従来法及び液状法ともに陰性(NILM)であった1,137例中27例、2.4%(27/1,137)が高リスクHPV陽性であった。さらに追跡調査でCIN1又はLSILが48%(13/1,227)認められた。液状法の方が従来法よりも、細胞が均一に塗抹され、さらに血液の影響が少なく異型細胞の検出が容易であった。
【結論】液状法は、不適正標本を減らし、さらに異型細胞の検出感度を向上させる可能性が示唆された。また、HPV併用液状法によって、ASC-US管理と検診感度の向上が期待できると考えられる。
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