総合健診
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41 巻, 5 号
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原著
  • 志賀 朋子, 関口 真紀, 石垣 洋子, 東岩井 久, 千 哲三, 吉田 勝美, 二谷 悦子, 小澤 信義
    2014 年 41 巻 5 号 p. 568-573
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/11/01
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】子宮頸がんは発生原因が、ヒトパピローマウイルス(HPV)であることが解明された。さらにこの前がん病変を発見するには、子宮頸がん検診の受診率向上と細胞診検査の精度を上げることが重要である。近年婦人科細胞診領域に、液状法が導入されはじめている。そこで、従来の塗抹細胞診と液状細胞診、ハイリスクHPV検査結果の比較検討をしたので報告する。
    【対象】当施設の平成23年1月から12月までの、子宮頸部細胞診を施行した18,956例を対象とした。
    【方法】子宮頸部よりブラシを用いて擦過採取した従来法18,956例と、同意を得られたスプリットサンプル標本1,227例は液状法(TACASバイアル少量法)、とハイリスクHPV検査を行った。
     ハイリスクHPVはBML(ハイブリットキャプチャー法)へ依頼した。
    【結果】従来法の不適正率は0.2%(44/18,956)で液状法では0%(0/1,227)であった。
     液状法の判定は従来法と比較し、95.2%(1,168/1,227)の一致率であった。
     ASC-US以上の判定については、液状法が従来法よりも感度が高かった。
     高リスクHPV検査の陽性率は6.9%(85/1,227)であった。
     従来法及び液状法ともに陰性(NILM)であった1,137例中27例、2.4%(27/1,137)が高リスクHPV陽性であった。さらに追跡調査でCIN1又はLSILが48%(13/1,227)認められた。液状法の方が従来法よりも、細胞が均一に塗抹され、さらに血液の影響が少なく異型細胞の検出が容易であった。
    【結論】液状法は、不適正標本を減らし、さらに異型細胞の検出感度を向上させる可能性が示唆された。また、HPV併用液状法によって、ASC-US管理と検診感度の向上が期待できると考えられる。
  • ─午後からの胃がん検診に向けた本学園の試み─
    佐藤 友美, 春間 賢, 藤田 有香, 中山 佳津代, 高尾 俊弘
    2014 年 41 巻 5 号 p. 574-585
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/11/01
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】職域における午後からの胃X線検査の有用性と胃がんリスクに応じた胃がん検診を検討した。
    【対象と方法】平成24年7月より6か月間、川崎医科大学附属川崎病院では職員定期胃がん検診時に同意が得られた35歳以上の職員240名を対象として、検診前に血清ペプシノゲン値(PG)と血清ヘリコバクター・ピロリ(HP)抗体価を測定した。その検体検査の組み合わせによって胃がん発生のハイリスク群とローリスク群を選定した。胃がんリスクの評価はPGI≦70ng/mLかつPGI/II比≦3.0をPG陽性、HP≧10μ/mLをHP陽性とし、PG(-)HP(-)をA群、PG(-)HP(+)をB群、PG(+)HP(+)をC群、PG(+)HP(-)をD群、HP除菌後(成功)をE群、再燃(除菌成功後)をF群とした。胃がん検診はC群、D群は上部消化管内視鏡検査、それ以外は直接胃X線検査を実施した。今回の胃X線検査対象者で前年度にX線検査を実施した者は、同意を得た場合に限り午後からの検診とし、そのX線診断結果を前年度と比較検討した。午後からの胃X線検査の場合、朝食は午前7時までの摂取または最終摂取時間より約6時間以上は絶食とした。飲水は検査実施1時間前までの摂取は可能とした。統計解析は読影診断結果の複合効果の想定には3元配置分散分析を用い、p値を算出し、p<0.05で有意差ありと判定した。
    【結果】240例中胃がん発見率0%、リスク評価別分類はA群69.2%、B群15.0%、C群10.8%、D群0.8%、E群3.3%、F群0.8%で、胃X線検査は午前83名(39.2%)、午後129名(60.8%)、内視鏡該当者28名(11.3%)となった。午後からの胃X線検査には有害事象は認められず、診断結果には問題は認められなかった。
    【考察】胃がんリスク評価により胃がんリスクに応じた胃がん検診の実施や午後からの胃X線検査は胃がん検診受診率の向上と、効率的かつ効果のある検診が期待できると考えられた。本研究により川崎学園では、平成25年度より35歳以上の全職員対象に胃がんリスク評価を実施し、胃がんリスクに応じた検診を導入している。
  • 我満 衛, 奥本 怜子, 西畑 満純, 伊藤 紀恵, 帰山 ゆかり, 大和 優子, 黒田 岳雄, 大瀧 美惠
    2014 年 41 巻 5 号 p. 586-590
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/11/01
    ジャーナル オープンアクセス
     Timed Up & Go test(TUG)は下肢筋力や平衡性、日常生活機能との関連が強い。本研究では、介護予防事業に参加した65歳以上の女性188名を対象とした。そして、TUGに影響する運動機能因子を抽出し、さらに最も影響の強いものを検討することを目的とした。TUGと握力、開眼片足立ち、5m全力歩行時間、年齢、BMIの関連をピアソンの相関係数を用いて分析したところ、年齢とBMIでは、TUGとの相関は示されなかったが、開眼片足立ち、5m歩行時間、握力においては有意な相関が認められた。相関を認めた開眼片足立ち、5m歩行時間、握力とTUGとで、重回帰分析を行ったところ、平衡性の評価指標である開眼片足立ちがTUGへの影響が最も強いことが明らかとなった。一般的にTUGは、加齢や肥満度が高くなるに伴い低下する。しかし、本研究の対象は、加齢や肥満度による平衡機能への影響は認められなかった。TUGでは、椅子からの起立直後、方向転換時や椅子への着席時など平衡機能を要する局面がみられることから、平衡機能の維持がTUG成績に特に重要となることが示唆された。
大会講演
日本総合健診医学会 第42回大会
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