抄録
樹脂埋め込み型高周波MCMプロセスにおける配線の損傷や断線対策として, 埋め込み樹脂に添加するフィラーの小径化および均一化を図った。また, この新樹脂の有用性を実装, プロセスおよび高周波特性の両面から検証した。実装およびプロセス面からは, Siフィラー径を~10μm以下にすることにより埋め込み樹脂の研削面粗さ~0.44μm, BCB層間樹脂面の平坦性~0.25μm (従来樹脂の1/2以下) が得られ, 配線の損傷や断線を防止できることを明らかにした。また, Cu電極やAuバンプの研削加工面粗さとして0.2~0.3μmが得られ, 配線との接続に十分供し得ることおよび新樹脂と同時に研削可能なことがわかった。高周波特性に対しては以上の検討を基にSi-MOSFETを用いた電力増幅MCMを試作し, 1.42GHzにおいて出力電力28.5dBm, 電力付加効率40%を得た。この結果から, 新埋め込み樹脂がGHz帯で動作する高周波MCMの実現に有用であることを実証できた。