抄録
計算問題の学習が不完全な者に対しその誤りの方略(バグルール)を効果的に検出し,診断するシステムを提案する.各学習者の診断にはテストを行なうことが必要であるが,その評価に必要なテスト項目数は少い方が良いことはいうまでもない.そのため本研究では教材構造とそのバグルールとの間にツリー構造を仮定し,ベイズ的アプローチにより診断に最適な項目を出題する適応型テストのアルゴリズムを開発した.さらにどのバグルールをもっているか,あるいは完全習得しているかの可能性の程度を事後確率によって示した.また,実データを用いたシミュレーション分析を行い,バグルールの同定とその推定精度が有用であることを確認した.