2025 年 49 巻 2 号 p. 333-340
本実践では,高校3年生の物理の文章題解決において,問題文に関係する原理や法則を想起する,問題文で求められていることを推論するといった処理方略の使用を促す「予習ワークシート」を作成した.また,授業では予習ワークシートを用いながらペアで問題解決を行わせる際に,相互作用を活性化させる目的で,解答用紙を残して席を移動させ,他者が途中まで作成した解答用紙を用いて問題解決を行わせる「移動式問題演習」を行った.その結果,3ヶ月の指導を通じて,関連する知識を活性化させながら考える,リード文から設問を予想するなど,文章題解決に必要とされる処理方略の使用得点が有意に増加しただけでなく,普段の学習における精緻化方略や説明方略の使用得点,メタ認知を要するモニタリング方略の使用得点,さらには物理学習に対する内容関与的動機の得点も有意に増加しており,本実践の指導が学習の質の向上に寄与した可能性が示唆された.