ミルクサイエンス
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Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus の生産するフマラーゼの精製とその性質
鄭 昌敏宮本 拓片岡 啓米屋 武文
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1999 年 48 巻 2 号 p. 73-77

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抄録

 フマル酸からの高いリンゴ酸生成能を示したLactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus 7235を用いて, この菌株の生産するフマラーゼを精製するとともにいくつかの性質を調べ, 次のような結果を得た。
 1. 供試菌の無細胞抽出液から, 除核酸, 硫安分画, クロマトフォーカシング, ゲルろ過, イオン交換クロマトの操作によって277倍の比活性に精製し, SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動で単一の蛋白質であることが確認された。
 2. 精製フマラーゼの分子量はゲルろ過法により163,000と推定された。一方, SDS-PAGEで得られたサブユニットの分子量は52,000であることから, 夲酵素は3量体であると推定された。
 3. 夲酵素の最適pHは5.5, 最適温度は45℃で, 20~45℃の範囲で安定な活性を示した。
 4. フマル酸に対するKm, Vmaxはそれぞれ15.38 mM, 4.17 Uであった。
 5. 各種金属イオンのうち, Al3+は活性を1.6倍促進させたが, Cu2+, Zn2+は活性を阻害した。

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© 1999 日本酪農科学会
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