日本食品科学工学会誌
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無機元素組成による黒大豆「丹波黒」の一粒産地判別
法邑 雄司鈴木 忠直小阪 英樹堀田 博安井 明美
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2006 年 53 巻 12 号 p. 619-626

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抄録

丹波黒の無機元素組成による産地判別モデルを構築し,丹波黒一粒による産地判別の可能性について検討を行った.
国産,中国産計66点の丹波黒について,約100粒をマイクロ波試料分解装置により酸分解し,ICP-AES法及びICP-MS法により計24元素測定した.後進ステップワイズ法により選択した6元素(Ba, Ca, Mn, Nd, W, Ni)とKの濃度比により,全試料66点について国産,中国産を正しく分類する線形判別モデルを構築した.
モデルの構築に用いた試料65点,及び新たに収集した試料32点の計97点からそれぞれ一粒ずつ取り出し,同様に各元素とKとの濃度比を求めた.6元素とKとの濃度比を,構築した判別モデルに代入したところ,約84%(97点中81点)が適中した.さらに,ICP-MS測定の15元素から選択した3元素(Cd, Cs, V)とKとの濃度比により線形判別モデルを構築し,一粒による産地判別について検討したところ,約94%(97点中91点)を適中し,判別精度の向上を図ることができた.

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© 2006 日本食品科学工学会
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